ヒューレットパッカード(HP)が、新たなVRヘッドセットを開発中だと明らかになりました。同社は現在、Windows Mixed Reality(Windows MR)向けのヘッドセットを発売しています。現行製品とは全く異なるこのVRデバイスについて、メディアRoad to VRの記者が体験し、レポートを行っています。
現行製品とは全く異なるデバイス
HPは2017年末にWindows MR向けのヘッドセットVR1000-123jpを発売しました。このデバイスは、マイクロソフトがプラットフォームの開発を行い、HPの他Lenovoやデルなど、複数のパートナー企業がハードウェアを製造・販売しているVRヘッドセットです。各メーカーは基本的にマイクロソフトのレファレンスデザインをベースにしており、大きな違いはありません。
対して新デバイスは、HPが独自にデザインした全くのオリジナルであったと記者は報告しています。確かに、外部機器が不要のインサイドアウトのトラッキングなど、Windows MRヘッドセットの特徴は継承しています。一方でVR1000-123jpとの大きな違いもあるということです。
頭部に馴染むデザイン
”Copper”というコードネームのこの新デバイスは、一見するとOculus Riftのような外見です。スリムで頭頂部にストラップを設けており、ヘッドフォンがバンドについています。ストラップは頭部に馴染むよう丸みを帯び、フロント部分にはカメラが搭載されているということです。
またHPのVRプロダクトマネージャーJohn Ludwig氏は、”Copper”はごく初期のプロトタイプだと述べました。つまり、同社がこのデバイスの製品化を進めていることが確からしいと言えます。
圧倒的にシャープな映像
記者はCopperのデモも体験し、比較対象のサムスンOdyssey+と比べても圧倒的にクリアな映像だったと報告しています。
この明瞭性を生み出しているのが、Copperのディスプレイです。片目2,160×2,160の解像度は、体感でOdyssey+の2倍以上。レンズを通して見る映像は圧倒的なシャープネスがあったといいます。またディスプレイに網目模様が見えてしまうスクリーンドア効果もほとんど感じなかったということです。
Ludwig氏によれば、HPの既存顧客のフィードバックに基づくユーザーの要求は「とにかく解像度、解像度、解像度、そして次に使用感」。前者については、Copperのディスプレイによりほぼ満足されています。同社は製品化に向け、一層の改善も図っているとLudwig氏は説明しました。
また使用感については、デバイスのエルゴノミクスを根本からデザインし直すことで対応しようとしています。記者によればCopperの装着感はOculus Riftと類似しており、取り外しや装着も容易だったとのことです。
なお視野角については顧客要求があまり強くなかったことから、Oculus RiftやHTC Viveと同程度(100度前後)だということです。製品重量は公開されていませんが、明らかに軽く感じられたと記者は述べています。
HPはCopperをプロ向けの製品と位置づけています。但し出荷先は一般消費者も含め限定しないとのこと。価格については未公開です。
企業やプロ向けを想定
このような第1世代のWindows MRヘッドセットからのアップグレードにより、HPはCopperが企業や、映像の質を追求する個人のニーズを満たすと考えています。用途としては、トレーニング、建築、施設型VR等を想定しています。
同社はCopperのリリース時期について明らかにしていません。しかし同社が製品化を進めていることは確実と見られ、2019年に新たな展開が期待されます。
(参考)Road to VR
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