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プロのホラークリエイターがVRホラーゲ―ムを体験してみたら?(後編)

大作からちょっとした小品まで、VRゲームの中でも充実度の高いジャンル、VRホラー。プレイヤーからは「リアルな恐怖体験が魅力」「怖さが半端ない」との感想がよく聞かれますが、実際にお化け屋敷を制作しているような、“プロのホラークリエイター”の目にはどのように映るのでしょうか?

前回は「バイオハザード7VR(グロテスクバージョン)」に挑戦し、深い考察を披露してくれたホラークリエイター・夜住アンナさん。今回はバイオとは毛色の違うホラー作品「Five Nights at Freddy’s VR」をプレイ。今回は本作考察に加え、夜住さんが考えるホラー作品の魅力や可能性についてお聞きします。

前編はこちらから:

プロのホラークリエイターがVRホラーゲ―ムを体験してみたら?(前編) | Mogura VR

プロのホラークリエイターがVRホラーゲ―ムを体験してみたら?(前編) | Mogura VR

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今回挑戦する「Five Nights at Freddy’s VR」とは?

https://www.youtube.com/watch?v=SGyXEN6gBCE

「Five Nights at Freddy’s VR」は、ピザ屋の夜勤警備員となり、襲いかかってくるマスコットの怪物から身を守るホラーゲーム。監視カメラの映像からマスコットの位置を確認しつつ、近づいてきたらシャッターを締めて侵入を防ぐ必要があります。シャッターはバッテリー消費式のため、締め続けることは不可能。もし侵入を防げなければ、恐ろしい怪物が目の前に…! あなたは恐怖の深夜バイトを乗り切ることができるのか…!?

名作ホラーのVR版「Five Nights At Freddy's VR」配信開始 | Mogura VR

名作ホラーのVR版「Five Nights At Freddy's VR」配信開始 | Mogura VR

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ゲームスタート

ーー前回はPSVRを使用しましたが、今回はOculusQuestでの操作に変更しています。

夜住:

コントーローラーから振動が伝わってくるのがリアルですね。

赤いスイッチでシャッターを開閉

ーー前のボタンをポチポチ押すと、監視カメラの表示が切り替わります。

夜住:

赤を押したらシャッターが閉まるんですね。このシャッターを閉じるためのバッテリーって補充できないんですか?

――できないです。

夜住:

あちゃー……(笑)おっと、何かが近くに来てるみたいですね。

マスコット襲来!

夜住:

うわ、意外と大きいですね(笑)! (慌ててシャッターを締める)サイズの大きさは相手に威圧感を与えられますね。

マスコットをやり過ごしつつ、バイト続行…

ーー今回のゲームは怖さを感じられますか?

夜住:

「バイオ7VR」とはまた違った怖さですね。時間が経過するほどに焦らされるというタイプだと思います。こちら側に攻撃手段がなく、がんばって自衛するしかないというのも、怖さの要因になっていますね

突然画面から消えてしまうマスコットたち

ーー監視カメラというギミックは恐怖感に結びついているでしょうか?

夜住:

必ず近くにいるはずなのに見当たらないという視覚的恐怖もありますね。さっきから全然見当たらない……視界が制限されているからこそ感じられる恐怖と言えばいいのでしょうか……。

チラチラと映り込むうさぎのマスコット(ボニー)

ーー今回のモンスターの造形はいかがでしょうか?

夜住:

ギャップがかわいくて好きですね。キャラクターはカワイイ方がIPとしての人気が高くなるので良いと思います(※後日調べてみるとボニーはフィギュア化されていました)。

ーーしかし「カワイイ」と「コワイ」は真逆の感情のように思えます。

夜住:

こういうお仕事をしていると、全てのモノに“ホラー”のフィルターがかかって見えてしまうところがあるんです。それで町中で気になるモノを見かけると「コワイ!(カワイイ!)」って思いながら、ついつい集めちゃうってことがありますね。

ただ私の中ではウサギはホラーに見えるかも。また、人は表情を読み取って察する能力に長けているので、心と身体(表情)が一致していないと、違和感を感じ脳が危険信号を出します。よくサイコパスの演出に使われるものですね。ちなみに、マスコットをそれぞれで特性が変わったりもするんですか?

ーーマスコットごとに特性はありますね。

夜住:

ゾンビものだと、パッと見だけでどんなアクションを仕掛けてくるか分かるところがあるんですけど、マスコットの場合は何を仕掛けてくるのか分かりづらいという点も、このゲームの面白さに繋がっているように感じました。

その後、なんとか時間まで防ぎきり、時計は6時に(第一ステージクリア)

夜住:

あ、終わりました。長い夜でしたね……。

バイト代ゲット!

夜住:

あ、お菓子もらえた!! 嬉しいですね、これ!

ーーここまでプレイしての感触はいかがでしょうか?

夜住:

そもそも深夜のピザ屋って日本のホラー作品ではまず登場しないので、文化の違いを体験できて良いですね。全体的な色合いもそうですが、ホラーゲームなのに、ご褒美にお菓子をもらえるっていう発想が海外っぽくてかわいいです。

ーーこういったボタンを操作するようなギミックのあるお化け屋敷は現実にもありますか?

夜住:

こういったシステムはあまりないかもしれません。でも、私にとってもいい体験になっているなと思います。

ーーそれはどういうことでしょう?

夜住:

普段であれば、ホラーをつくる私達がこちら側の監視ルームにいて、画面を歩いている怪物側の方にお客さんたちがいるはずなんですよ。今はちょうど立場が逆転しているような感覚を体験できている状態ですね。

ーー普段のお化け屋敷の逆になっているんですね。

夜住:

これを突き詰めていけば、本格的にお客さんが脅かす側にまわる企画も生まれるかもしれません。実際、お客さんからも「脅かす側だったらやってみたい!」という感想をいただくこともありますし。なかなかハードルが高いのですが、このゲームのような感じならアリかもしれませんね。

ーー普段はこういった監視室から、私達が驚く姿を見られているわけですか?

夜住:

見てますよ! 企画にも寄りますけど、監視ルームからの景色は結構おもしろいです(笑)中には恐怖のあまり動けなくてしゃがんでしまう方もいるので、気を使うこともあります。

また、お化け屋敷の中で、ひとつのグループの進みがズレてしまって、ドッキリする仕掛けを見逃してしまうこともあるので、そういったタイミングを合わせるために調整することもありますね。脅かしも人に合わせて接客をしているという感じです。しっかりお客さんそれぞれの性格も確認しつつ進めていますね。

夜住アンナさんに聞くホラーの醍醐味とは?

ーーゲームプレイの方、おつかれさまでした。

夜住:

ありがとうございました。楽しかったです。

ーーここからは夜住さんのホラークリエイターという職業についてインタビューさせていただきます。まず、そもそもこの職業に就いた経緯はどういったものでしたか?

夜住:

もともと小さい頃から怖い絵やホラー映画の美しさに惹かれて、ずっと好きだったんです。ただこの世界に飛び込んだ直接のきっかけは、東京の会社が開催していたホラーイベントで衝撃を受けたからでした。「ゾンビキャンプ」という企画で、ゾンビがいるキャンプ場の中を一泊二日するというサバイバルイベントだったんです。さながら「ウォーキング・デッド」の世界のようでしたね。

ーーゾンビ役の方が押し寄せてくるんですか?

夜住:

来ましたね! 一回でも当たって捕まったら感染して死亡扱いになってしまうんですよ(笑)。参加者の人達も本当に楽しそうで、みんなが笑顔になっている空間だったんです。そこで「ホラーでこんなに人を幸せに出来るんだ」と気づいて、自分も携わってみたいと考えるようになりましたね。

ーーホラークリエイターという職業はどうすれば就けるんでしょうか?

夜住:

今のところ専門学校や求人があるわけでもないので、イベント運営会社に所属して、ホラー系の企画書を出すのが一番安心できる道ですね。私も学生の頃は趣味でホラーイベントを企画していて、これが職業につながるとは思っていませんでしたが、(ホラーも企画している)イベント会社を見つけてからは「本業にしよう!」と思って飛び込みました。周りのホラークリエイターの方々も動機も道筋もバラバラですが「ホラーが大好き」というのは共通していることだと思います。

ーー去年はサンリオピューロランド「PURO HALLOWEEN PARTY~KAWAII MASQUERADE~」の1部のお仕事を手がけられていましたが、手応えはいかがでしたか?

夜住:

ありがたいことに評判は良かったですね。特に女性のお客様から怖さだけでなく美しさもあるダークファンタジーな世界観を楽しんでいただけたようです。「怖くても見てみたい」という好奇心をくすぐるコンテンツが提供できたようで嬉しかったですね。

ーー夜住さんのホラーを作る上でのこだわりはどういったものでしょうか?

夜住:

あくまで私の場合ですが、単純な恐怖を煽り立てるようなコンテンツではなく、神秘的な美しさを組み合わせて、ひとつひとつの仕掛けをじっくりと見せることにこだわりがあります。一般的なお化け屋敷では、幽霊が飛び出すと驚いて焦ってそのまま逃げちゃってお終いになりがちですが、じっくり見られるような時間と空間を演出することで、舞台の裏に隠れた物語や世界観を読み取ってもらいたいという思いがあります。

https://www.youtube.com/watch?v=cTXKJRSh5Rw

(美しすぎるお化け屋敷「THE WITCH(ザ・ウィッチ)」)

ーー舞台に込められたコンセプトやメッセージ性も見つけてほしいということですね。

夜住:

ちょっと哲学的な話になりますが、日頃から私たちの社会は死を遠ざけようとするあまり、人の死体や動物の残骸などを見ないように、全部蓋をしてしまうところがあると思います。「死ぬ」というのは私たちの未来の形で、いつか必ず向き合わないといけないものなのに。死について考えることは生を考えるのと同じくらい大切だと、ホラーコンテンツを通して気づいて欲しいなと考えています。

ーーお化け屋敷を通して、現実の死に対して想像する機会を与えたいと。

夜住:

もちろん、あくまでエンターテイメントなので、ちょっとでもそういう気持ちが伝わればいいかなという感じです。死を見つめ直すことで「悔いなく生きるにはどうすればいいだろう?」「自分にとって大切なものはなんだろう?」と考えてくだされば、より人生が輝かしいものになると思うので、そんな想いを込めながら制作していますね。

VR×ホラーが人間の倫理観を揺るがす

ーー今回VRホラーを体験して、あらためて気づいたことなどはありますか?

夜住:

VRのホラー演出に関してはメリットもデメリットも両方あるなという感じです。例えばバイオハザードの一人称視点は、リアルに腕を斬られたような感覚を疑似体験できるなど、理想的な没入感があるのです。ただ、うっかり顔をそむけたり、ぜんぜん違う場所を向いてしまったりすると、演出を見逃してしまう可能性がとても高いですね。どこかでそういった演出漏れをカバーできるような仕組みがあると良いかもしれません。

また意外に思ったのが「Five Nights at Freddy’s VR」のように自分が動かなくてもホラー演出が飛び出してくる点ですね。システム上酔いにくくなりますし、ホラー屋敷を自由に動き回れる方向に進化するのではなく、あえてその場所から動けないという条件を利用してホラーを生み出すというのは面白い発想だなと思いました。

ーーご自身でVRコンテンツを作るとすれば、どういった作品を制作したいですか?

夜住:

サイコパスな女性殺人鬼が登場するような作品を作ってみたいですね。被害者は美しさに惹きつけられて彼女に近づくけれど、次第に餌食にされていく感じだと面白いかもしれません。死体を飾ったりオブジェにしたりといった美術にもこだわりたいですね。

ーー最近ではお葬式体験といったシミュレーション的なコンテンツもありますが、そういった作品制作への興味はありますか?

夜住:

興味はありますね。VRではないですけれど、今後やりたいと思っているアイデアのひとつに「美しすぎる地獄巡り」という企画があります。お寺でお経を読んでもらったり、あの世へ行くための銭を払ってもらったり、生前の大切な誰かに別れのメッセージを残したりといった体験を経て、死後について考えてもらうという内容です。

ただ先日、韓国のテレビ番組で放映された母親が亡き娘とVRで再会する、といった企画が賛否両論を巻きおこしましたよね。よりVRがリアルになるほど、デリケートな領域に踏み込むことになるので、その点は気をつけていきたいところです。

個人的には、リアルとエンタメのバランスをうまくとることが大事だと思います。死の表現をよりリアルにしていくだけではダメで、面白くするにはエンタメを組み込まないといけません。人の倫理観を揺さぶるようなギリギリのラインを攻めつつも、きちんと楽しいものに仕上げることが重要ですね。

ーーあくまでエンタメとして仕上げるのも、ホラークリエイターの役割だと。

夜住:

そうですね。現在進行中の企画のひとつに、大切な人のことについてじっくりと考えられるお化け屋敷というものがあります。毎日忙しくて、ゆっくり誰かのことを考える時間のない現代社会で、非日常の中で周囲の人たちに思い馳せられるような空間を生み出したいです。このように誰かを幸せにできるようなホラーコンテンツを、これからも生み出していきたいですね。

――ありがとうございました。

プロの視点から明らかになったVRホラーの魅力

今回の企画は「プロのホラークリエイターは、VRホラーゲームを怖いと感じるのか?」という素朴な疑問がきっかけではじまりました。結果的には夜住さんによる分析で「バイオハザード7VR」の恐怖を引き立たせる工夫の数々が判明し、「Five Nights at Freddy’s VR」とホラークリエイターの意外な共通点が見えてきました。

またインタビュー中に話題に上った、ホラーコンテンツを制作する上でのリアルとエンタメのバランス感覚についての話は、今後のVRコンテンツの動向を観察する上でも重要なことのように思います。

今後もさまざまな専門家たちにVRについて語っていただきたいと考えています。今回ご協力いただいた夜住アンナさんのプロフィールはこちらから。

執筆:ゆりいか


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