総務省は、「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」が取りまとめた「報告書2024(案)」について、2024年9月19日から10月8日までの間、意見を募集するパブリックコメントを実施しています。この報告書案では、メタバースの市場規模とユーザー数の将来的な拡大を見据え、ユーザーにとってより安心・安全なメタバースを実現するための原則や、国際的な議論への貢献を目指した内容が盛り込まれています。特に注目すべき点は、「メタバースの原則(第1.0版)」の提案です。
今回の意見募集は、e-Govのパブリックコメント欄を通じて行われ、郵送での提出も可能です。総務省は、この意見募集を通じて幅広い立場の人々からの意見を収集し、最終的な報告書に反映させることを目指しています。
報告書案の中核を成す「メタバースの原則(第1.0版)」は、メタバースの自主・自律的な発展に関する原則と、メタバースの信頼性向上に関する原則の2つの柱から構成されています。前者には、オープン性・イノベーション、多様性・包摂性、リテラシー、コミュニティに関する項目が含まれており、後者には透明性・説明性、アカウンタビリティ、プライバシー、セキュリティに関する項目が盛り込まれています。
(「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」 報告書2024(案)別紙2より引用)
これらの原則は、メタバース関連サービス提供者(プラットフォーマーおよびワールド提供者)の役割に焦点を当てています。例えば、自由で開かれた場としてのメタバースの尊重、相互運用性の確保、知的財産権の保護、多様な発言の確保、障がい者等の社会参画の促進などが挙げられています。また、ユーザーのプライバシー保護やセキュリティ確保、子ども・未成年ユーザーへの配慮なども重要な項目として含まれています。
報告書案では、メタバースの技術動向や利活用事例についても詳細にも言及。VR・ARデバイスの市場動向や技術的進化、生成AIとの連携によるメタバースの新たな可能性、産業応用(インダストリアルメタバース)の事例なども紹介されています。
さらに、今後の検討事項として、国際的な議論の状況フォロー、リアルとバーチャルの融合の進展が社会に与える影響の検討、没入型技術全般を用いた多様なメタバースの利活用促進に係る課題の検討などが挙げられています。
報告書案及び概要資料、提出方法、様式については総務省の公式ページをご確認ください。
(参考)総務省