この夏、米国カリフォルニア州では大規模な山火事が続いています。この消火活動の現場で、ARを活用する動きがあります。活動するメンバーが現場の様子を詳細に知り、互いに情報を書き込みながら共有できるシステムです。
素早い対応が可能に
現在、アラメダ警察及びメンローパーク消防隊のメンバーが、「EdgyBees」と呼ばれるAR技術を用いています。このシステムでは、現場に散らばる隊員が、リアルタイムで更新される現場の地図を確認できるようになっています。
これまで隊員たちが用いていたのは、ガスパイプライン等が記された(物理的な)地図や、トランシーバーなどでした。AR技術を活用することで、よりスピーディーな対応を実現します。
リアルタイムの動画と地図を配信
技術を手がけたEdgyBees社のCEO、Adam Kaplan氏は「山火事のような自然災害では、メンバーや設備、危険が起こりうる場所の正確な位置を把握することが必要です」と話しています。そして、「『EdgyBees』は、リアルタイムの動画と地図情報を重ねて配信します。地図には、建物の配置、ユーザーが指定したマーカーといった様々な視覚データ、有用な情報が含まれています」と説明しています。
Kaplan氏によれば、この技術はスポーツキャスターが試合画面に書き込みをする様子から着想を得たとのこと。「EdgyBees」では、異なるメンバーが互いに情報を書き込み、やり取りすることも可能です。
「ソフトウェアと動画は、消火活動に当たるドローンのパイロット、地上部隊といったあらゆるメンバーで共有できます。画像は司令室にもストリーミング配信されるので、これをもとにすばやく指示を出せます」と同社はそのメリットを説明します。
導入コストの低さもメリット
またこの他「EdgyBees」の利点の1つは、プラットフォームをまたいでの開発が容易という点です。Kaplan氏によると、ソフトウェアはPC、iOS、Androidに対応。導入の手間が非常に少ないということです。
災害対応にARを活用する取り組みとして、ARヘルメットや酸素マスク、防災マスクなども開発されています。
(参考)ZDNet