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業界動向 2026.02.04

【CES 2026レポート】​「ARグラス」と​「AIグラス」。​メガネ型デバイスに​見る、​用途の​分化と​現実的な​進化

​米国ラスベガスで開催されたCES 2026に​おいて、​ウェアラブルデバイス、​特に​「メガネ型デバイス」の​領域で​興味深い​傾向が​見られました。​

これまで​メガネ型デバイスと​いえば、​現実​空間に​映像を​重ねる​「ARグラス」が​主流でしたが、​今年は​生成AIの​活用に​主眼を​置いた​「AIグラス」の​出展が​目立ち、​両者の​違いが​徐々に​明確に​なりつつあるようです。​
どのようなデバイスが見られたのか、実例をもとに紹介していきます。

​CESで​見かけた、​象徴的な​「メガネ型」デバイス

会場では、​ARから​AI/​実用性への​シフトを​象徴するような​デバイスが​いくつか​見受けられました。​

1. Nuance Audio​(聴覚拡張グラス)

「ARではない​メガネ型デバイス」の​わかりやすい例です。​ディスプレイを​一切持たず、​見た目は​普通の​太めの​メガネ​その​ものですが、​ビームフォーミング技術(電波や音波を特定の場所へと集中させる技術)を​使って​「前方の​人の​声を​聞き​取りやすく​する」と​いう、​聴覚の​サポートに​特化した​機能を​持っています。視覚情報を​重ねるのではなく、​テクノロジーで​人間の​身体機能を​自然に​補う方​向へ​進化している​わかりやすい例です。​

公式サイト: ​https://www.nuanceaudio.com/en-int

2. Even Realities G2(情報表示特化型AIグラス)​

こちらは​ディスプレイ付きですが、​動画を​見る​ための​ものでは​ありません。​ 緑色の​単色ディスプレイに、​AIからの​通知や​スピーチの​原稿などを​「文字情報」と​して​シンプルに​表示します。​AR的な​没入感を​目指すのではなく、​日常に​必要な​情報を​さりげなく​視界の​端に​置く​ことに​徹しており、​デザインも​普通の​メガネと​見分けが​つかない​ほど​洗練されています。

日本でも、新型の「Even G2」が昨年の11月から発売されており、​ディスプレイで見える領域が拡大。AIが音声でナビゲートする機能や多言語の翻訳機能なども有しています。さらにスマートリング「Even R1」と連携して、片手でのディスプレイ操作も可能となりました。

公式サイト:https://www.evenrealities.com/smart-glasses

3. LLVision Leion Hey​(翻訳・字幕表示グラス)

​ ​「ARとAIの技術を​コミュニケーションの​ために​使う」と​いう​実用的な​アプローチの​例です。​ 相手が​話している​言葉を​リアルタイムで​レンズ上に​「字幕」と​して​表示します。​AIに​よる​多言語翻訳は​もちろん、​聴覚に​障害が​ある方との​会話を​サポートする​用途と​しても​注目されています。​「映像を​見る」のではなく​「言葉を​見る」ことに​特化しており、​まさに​生活を​助ける​ツールと​しての​進化を​感じられました。​

公式サイト:https://www.llvision.com/

AIグラスとの​併用・連携が​視野に​入る、​注目の​ウェアラブルデバイス

AIグラスなどの​メガネ型デバイスが​普及するに​つれ、​課題と​なるのが​「操作方​法」や​「入力の​プライバシー」、​そして​「生体情報の​活用」です。​ 単体での​利用だけでなく、​AIグラスと​組み合わせる​ことで​利便性を​高める​可能性の​ある​特徴的な​デバイスを​紹介します。​

Wearphone

本体は少し​大きめですが​、一見すると​通常の​マスクのようにも​見える​ウェアラブルデバイスです。​口元を​覆う​ことで、​周囲に​声を​聞かれる​ことなく​通話や​音声入力が​可能に​なります。​ AIグラスへの​音声入力は、​公共の​場では​抵抗感が​あるのが​現状のため、Weaphoneのような​デバイスを​併用する​ことで、​プライバシーを​保ちながら​AIアシスタントと​自然に​対話する​環境が​整う​可能性が​あります。​やや​サイズは​大きい​ものの、​マスクと​いう​日常的な​形状を​採用している​点が​特徴です。​

公式サイト:https://verne-tech.com/jp/wearphone/waitlist

AIVELA Ring Pro

指輪型の​多機能デバイスです。​一般的な​ヘルスケア計測に​加え、​タッチ操作や​ジェスチャーに​よる​デバイスコントロール機能を​備えています。​ AIグラスの​操作に​おいて、​ツル​(テンプル)を​触る​動作や​音声コマンドが​煩わしい​場面でも、​手元の​指輪で​さりげなく​操作を​行う​ための​入力デバイスと​して​機能する​ことが​期待されます。​

公式サイト:https://www.kickstarter.com/projects/ldh/aivela-ring-pro-all-in-one-smart-ring-to-master-your-day?lang=ja

Mudra Band

Apple Watchに​取り付けて​使用する​バンド型デバイスです。​手首の​神経信号を​感知する​SNC​(Surface Nerve Conductance)​センサーを​搭載しており、​指を​動かすだけで​接続した​Apple機器などを​ジェスチャー操作できます。​ 画面に​触れる​ことなく、​指先の​微細な​動きだけで​操作できる​ため、​AIグラス上の​インターフェースを​ハンズフリーで​操作する​ための​コントローラーと​して​有効な​選択肢と​なり得ます。​

公式サイト:https://mudra-band.com/

OVOMIND

装着者の​感情状態を​リアルタイムで​分析・取得できる​リストバンド型デバイスです。​ 生体信号から​ユーザーの​緊張や​興奮などの​感情を​読み取ります。​これを​AIグラスと​連携させれば、​例えば​ユーザーの​感情に​合わせて​AIが​応答を​変えたり、​ゲーム体験を​変化させたりするなど、​コンテキスト​(文脈)を​理解した​高度な​インタラクションが​可能に​なると​考えられます。​

公式サイト:https://ovomind.com/ja/

まとめ:「映像」の​AR、​「活用」の​AI

これまで​市場を​形成してきた​「ARグラス」は、​主に​映像コンテンツの​視聴や、​リッチな​視覚情報の​表示を​目的と​してきました。​一方、​今回​多く​見られた​「AIグラス」は、​AIアシスタントを​活用する​ための​インターフェースと​しての​役割が​強く、​両者は似て非なる​ものと​して​分化し始めている​印象を​受けます。​

ディスプレイ搭載が​主流だが、​目的は​異なる​

今回見かけた​AIグラスの​多くは、​音声入出力だけでなく​多くの​プロダクトが​ディスプレイ搭載モデルと​なっていました。​

しかし、​ディスプレイが​あるからと​いって、​これまでの​「ARグラス」と​同じでは​ありません。​ARグラスが​空間への​映像投影や​没入感を​重視するのに​対し、​AIグラスの​ディスプレイは、​あくまで​AIからの​回答や​通知を​シンプルに​表示する​役割に​留まっています。​

​「ディスプレイの​有無」で​分類するのではなく、​「何を​体験させるか​(映像か、​情報か)」に​よって、​ARグラスと​AIグラスは​別の​カテゴリと​して​扱われ始めているようです。​

​「メガネ」と​いう​形状の​再評価

この​流れを​見ていると、​デバイスに​対する​考え方が、​より​現実的な​方​向へ​シフトしているように​感じます。​「ARと​いう​新しい​視覚体験を​見せる​ための​装置」を​作ろうと​するのではなく、​「メガネ」と​いう​古くから​存在し、​装着負担の​少ない​形状を​そのまま​流用すると​いう​アプローチです。​

近未来的な​新しい​ウェアラブル体験を​目指すのではなく、​使い​慣れた​「メガネ」と​いう​道具に、​便利な​機能を​アドオンする。​今年の​CESで​見られたのは、​技術的な​大革新と​いうよりも、​デバイスが​日常に​馴染むための​「地に​足の​ついた​進化」だったのかもしれません。

「映像を見る」ための進化と、「AIを使う」ための進化。 「メガネ」という共通の形状をとりながらも、それぞれの目的がはっきりと分かれ始めたことで、ユーザーにとっては自分のライフスタイルに合ったデバイスを選びやすくなってきています。

何か一つの正解に収束するのではなく、用途に合わせて選択肢が自然に広がってきた。そんな変化を感じる展示内容でした。


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