ARグラス関連技術を開発するCellid株式会社は、ARグラスのリファレンスデザイン(検証用モデル)を発表しました。同社が独自開発した光学シースルーディスプレイ方式のウェーブガイド技術を採用し、軽量小型化を実現しています。
リファレンスデザインの発表に併せて、ARグラスを活用した新規ビジネス創出を目指す事業開発パートナー及び、自社ブランドのARグラス開発を目指すOEMパートナーの募集プログラムも開始しています。
今回発表されたリファレンスデザインは、最先端の光学シースルーディスプレイ方式のウェーブガイド(DOE方式)を採用することで、軽量化を実現しました。同社は「通常のメガネと変わらないデザイン、軽量化(約58g)を実現し、従来のヘッドマウントディスプレイ型に比べて日常的に長時間使用しても疲れにくい装着感」とコメントしています。発表では視野角や解像度について言及がありませんが、Cellidはこれまで最大で60度の視野角を実現する技術を有しており、「ウェーブガイドで世界最大級の広視野角を実現する」としています。今回のARでどの程度の視野角が実現しているか気になるところです。
8MPの高解像度カメラと、3軸IMUセンサーを搭載。現実空間における物体や位置を認識可能です。AndroidおよびWindowsのデバイスと接続し、独自のSDKを活用することで、各ユースケースに応じたAR空間やARコンテンツを構築できます。
また、SDKには生成AIのAPIを標準搭載しており、例えば目の前にある機器の使用方法を尋ねると、機器を自動認識して操作手順を表示することができるとのこと。ARマーカーを活用したコンテンツ表示も可能で、機器マニュアルなどをハンズフリーで確認できます。今後はアイトラッキングやジェスチャー認識機能の追加も計画しているとのことです。
なお、Cellidが開発したウェーブガイド技術はディスプレイ学会であるThe Society for Information Displayが主催の「2024 Display Component of the Year Award」を受賞。日本企業としてはSony、東レ、ジャパンディスプレイに次ぐ受賞となっています。
同社は現在、国内外の大手企業とARグラスの普及に向けた共同開発および量産化に取り組んでいます。
今回開始が発表された事業開発パートナープログラムでは、ARグラスを活用した新規ビジネス創出のためのアプリケーション共同開発や実証実験が可能。参加企業には、ARグラスに適した業務やサービス設計、実証実験、アプリケーション開発などのサポートを提供できるとのことです。
またOEMパートナープログラムでは、ARグラスの自社開発を目指す企業を募集。参加企業は「リファレンスデザインをベースとした自社ブランドのARグラス開発が可能となる」としています。
(参考)プレスリリース