2016年8月24日から開催されていたCEDEC2016では、VR関連の技術やデモが展示される「VR NOW!」コーナーが設置されました。 数回に分けて、興味深かった展示を紹介しています。
今回紹介するのは、『Virtual ISU: 座位姿勢での擬似歩行運動によるロコモーションインタフェース』(立命館大学 教授・大島 登志一氏 北野 貴士氏 柴田 龍輝氏 枝元 蛍氏 株式会社エイミング 石原 大貴氏)です。
今回紹介するインタフェース「Virtual ISU」は、椅子の上に圧力センサーの付いたクッションを置き、その上に体験者の太ももが当たるように座ると、その場で自転車を漕ぐように膝を交互に上げ下げすることにより、VRで前に移動することができるものです。
Virtux社が開発中の「Omni」などVR内で歩くことができるデバイスはありますが、日本の住宅環境を考えると、場所を取りすぎてしまいます。また、HMDを着用しながら立って身体を動かすのは転倒の危険もあり、「Virtual ISU」は座りながら歩いた気分になれる装置となっています。
庭の中に点在する数字の書かれた看板を数字順に巡るデモも体験できました。前に進むだけでなく、曲がりたい方向に思い切り顔を向けることで、曲がることもできます。
前進しているときは足を動かすスピードとVR内の歩行スピードの差に違和感はありません。移動を伴うVRコンテンツは体験者によっては酔う可能性がありますが、筆者の体験としては、体自体が動いているので酔いは感じにくかったものの、膝の上げ下げは同じ時間、普通に歩くより疲れました。
圧力センサーは、椅子の座面の柔らかさによって調整が必要なので、どの椅子でもこのクッションを置くだけで使える、という段階ではまだありません。体験者は座ったまま足を動かすので、現実で歩く感覚とは違いますが、VR内の歩行システムとしては、メリットもあります。身体に装着しないので交代するのも手間がなく、体格の違いも関係ありません。ワープ方式と違い、どのボタンを押してなど説明がなくとも、直感的に歩くことができます。とてもコンパクトなので持ち運びも楽。体験者は座っているので転倒、衝突の危険も減るでしょう。家庭にも置きやすく、イベントにも向いたデバイスです。
同様に座ったまま足で操作するコントローラーとしては「3D Rudder」が登場しています。こちらは床に円形のデバイスを置き、足をその上にのせて傾けることで動けるようになるというもの。9月15日から開催される東京ゲームショウにて展示されます。