2026年6月16日、SoftBank傘下で半導体設計を手がけるArmが、XR酔いの軽減を狙った技術の特許を米国で取得しました。出願は2023年7月24日で、名称は「Method for minimising motion sickness for head-mountable extended reality」です。
この特許では、ヘッドセット機器の表示映像内の動きを解析する仕組みの利用を想定しています。映像の動きをあらかじめ定めたしきい値と比較したうえで、必要と判断すると超音波トランスデューサーへ制御信号を送ります。刺激するのは、内耳にあって平衡感覚をつかさどる前庭系です。見えているものと平衡感覚が伝える情報にずれが生じると、不快感やめまい、乗り物酔いのような症状につながるとされますが、今回の技術で、そのずれを埋めるのが狙いです。
具体的な手段として挙げられているのは、出力を抑えながら狙った一点に超音波を集める低強度集束超音波と呼ばれる方式です。たとえば映像がわずかに左へ動いた場合、装着者にも左方向へ動く感覚を与えます。映像の動きが大きければ、音響放射力を強めて刺激の度合いを合わせるといった対応も想定されています。片耳あたり1つ以上のトランスデューサーを並べ、超音波の向きを絞るビームフォーミングによって内耳の特定部位を狙う構成にも触れています。
対応策は前庭への刺激だけではありません。XRアプリ側に映像の動きを抑えるよう求める方法、画面をフェードさせる方法、視界の周囲を暗くするビネットを加える方法も記されています。このほか、装着者の姿勢や動き、設定した好み、センサーから得た情報をもとに刺激を変える案も含まれます。体感と映像の動きが合わない場合には、再調整を行うと説明しています。
前庭への刺激で酔いを抑える発想自体は、今回が初めてではありません。過去には超音波ではなく電気刺激を使う手法も検討されてきました。ただし直接的な前庭刺激を備えた市販のXRデバイスは、現時点で存在しません。
なお、特許は企業が保護を求めた範囲を示すものであり、記載された技術がそのまま製品に載るとは限らない点には注意が必要です。
参考
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