2026年7月15日、NVIDIAは日本のフィジカルAIエコシステムに関する取り組みを発表しました。フィジカルAIとは、ロボットや工場設備にAIの認識・判断能力を組み込む技術です。同社はNVIDIA Cosmos、Isaac、Metropolis、Jetsonの各プラットフォームを通じ、日本の製造業やロボティクス分野における知能機械の展開を加速すると説明しています。
同時にNVIDIAは、新モデル「Cosmos 3 Edge」を発表しました。NVIDIA Nemotronを基盤とした40億パラメータのモデルで、ロボットや視覚AIエージェントが周囲を認識し、リアルタイムで推論し、行動を生成する処理を担います。開発者は特定のロボットや車両向けに約1日で調整でき、新型モジュールT2000・T3000を含むNVIDIA Jetsonなどに対応します。
NVIDIAはCosmos Coalitionの対象を日本にも拡大すると発表しました。Cosmos Coalitionは、世界モデルの開発者やフィジカルAIのリーダー企業が集まり、オープンな世界モデルの構築を進める枠組みです。参加企業はオープンモデルやデータキュレーションライブラリ、データセット、フレームワークを含むCosmosプラットフォーム上での開発に貢献できます。構築された世界モデルは、工場や物流網、農場、建設現場、病院、道路、住宅などでのフィジカルAIシステムの検証や最適化に役立てられる見込みです。AIRoA、FANUC、富士通、日立、川崎重工業、クボタ、NEC、ソフトバンク、ソニーグループ、安川電機など20社以上が参加の意向を示しました。
個別の取り組みでは、富士通がFANUC、安川電機、川崎重工業とともに協調制御プラットフォームの構築を検討しています。同プラットフォームはCosmosの世界基盤モデルやIsaacロボティクス開発基盤、NVIDIA Omniverse NuRecライブラリ、Newton物理エンジンを基に構築される見込みです。AIモデル開発やデジタルツイン、ロボット学習、シミュレーションから実機への移行、導入前の検証を支援する構想となっています。
産業分野の各社では、NEC、日立、OMRON、Preferred Networksが世界モデルや産業AI、フィジカルAIの研究開発にNVIDIA Cosmosを活用しています。ソフトバンクはNVIDIA Cosmos、Omniverse、Isaac Simを基盤としたフィジカルAI開発プラットフォームを構築中です。多数のフィジカルAI機器への接続性を見据え、AI-RAN分野の取り組みも進めています。Mujinは自社のMujinOSと組み合わせ、自律型ロボティクスや知能産業自動化へのCosmos活用を検討中です。TRON K.K.は組み立てやピッキング、検査、マテリアルハンドリングといった作業に特化したモデル向けのデータワークフローを開発しています。
分野別の適用例としては、川崎重工業がヘルスケアや造船、輸送、航空宇宙、エネルギーの各分野にフィジカルAI技術を適用しています。クボタは自律農業やスマート農業向けにCosmosベースの技術を検討中です。EnacticはNVIDIA Isaac GR00Tを高齢者介護向け半人型ロボットに活用しており、GROOVE XはJetson搭載のコミュニケーションロボット「LOVOT」を開発しています。Telexistenceは小売分野の自動化にIsaacを適用し、Cosmosの活用も検討中です。加えて、日立はスマートビルディング運用、OMRONは自動検査、清水建設は建設現場の安全管理という用途で、それぞれNVIDIA Metropolisを取り入れています。
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、フィジカルAIが次のAIフロンティアであると述べました。日本が製造業やロボティクスで培った強みとNVIDIAの技術を組み合わせ、次世代の知能機械を構築していく段階にあるとしています。
