政府が6月24日、国内投資を優先的に支援する「戦略17分野」の主要な製品・技術に、フィジカルAIを選出しました。2040年度までの官民投資の想定額は10.5兆円です。関連する半導体やバーティカルAIの領域を含めると、想定額は101.6兆円にのぼります。
フィジカルAIとは、画像・音声・動画・各種センサーの情報を統合し、現実世界を理解して行動を生成するAIです。物理的なタスクを遂行できるため、現実世界で動くあらゆる機械への実装が見込まれます。また、そのAIのデータ学習のために、現実の空間を記録した3Dのデジタルデータや、VR関連機器が活用されるケースがあります。
今回のロードマップは、実装先として市場見通しの多いAIロボットを中心に策定されました。AIロボット市場は、政府の見込みでは2030年頃を境に急拡大し、2040年には約60兆円規模へ成長するとされています。現在、日本は産業用ロボット市場で世界シェア約7割を持ち、モーターや減速機などの主要部品でも競争力があります。一方、サービスロボット市場でのシェアは1割強にとどまります。政府はこの強みを活かし、2040年に米中と並ぶ第三極として世界シェア3割超、20兆円の市場獲得を目指します。
関連分野への投資想定額も個別に示されました。フィジカルAIの実装を支える半導体、いわゆるフィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体には、2040年度までで68.0兆円を見込みます。先端半導体だけでなく、センサーやマイコンといったアナログ・レガシー半導体の需要増を取り込む狙いです。領域特化型のバーティカルAIには23.1兆円を想定します。バーティカルAIとは、データやAIモデル、アプリを組み合わせた特定領域向けのシステムです。3分野を合わせた101.6兆円という規模からは、フィジカルAIを起点に半導体や関連するAI領域まで含めて投資を促す構図がうかがえます。
参考
内閣官房 経済財政諮問会議(令和8年第8回)・日本成長戦略会議(第5回)
