日本電信電話株式会社(NTT)は5月13日、空中に多様な触感を非接触で再現できる新たな超音波技術を発表しました。「つるつる」や「ざらざら」といった皮膚感触を、専用デバイスを装着せずに手のひらで体験できるものです。
この技術は、超音波を皮膚の一点に集中させて圧力を生じさせ、そこに特定の周波数の振動を加えることで、空中に触感を提示します。装着型デバイスを用いずに、リアルな触り心地を体験できるのが特徴です。
研究を行ったNTTコミュニケーション科学基礎研究所では、人間の感覚メカニズムの解明を通じて、リアルな感覚体験の実現を目指しています。これまで、XRや遠隔コミュニケーションで触覚を伝えるにデバイスの装着が必要とされてきましたが、非接触の提示技術がその課題を解決する手段として注目されています。一方で従来の超音波技術では力の提示が弱く、表現できる触感も限られている、と考えたとのこと。
NTTはこの課題に対し、「触感の強度を高める刺激条件の調査研究」と「多様な質感を再現するシンセサイザの開発研究」という2つの研究を実施しました。
「触感の強度を高める刺激条件の調査研究」では、超音波の焦点を肌の上で5Hzの速さで回転させると、通常の約20倍の力を感じられることが確認されました。さらに、同じ5Hzでも振動より回転の方が約6倍強い力を生むことがわかり、力を強く感じさせる要因が「回転」にあることが明らかになりました。
「多様な質感を再現するシンセサイザの開発研究」では、5Hz、30Hz、200Hzの超音波を組み合わせて触感を合成する「超音波触感シンセサイザ」を開発しました。この装置はまず5Hzの回転によって押される感覚を生み出し、その強さを30Hzと200Hzの振動で変調することで、表面の質感を再現。指先に伝わる微細な質感を自在に調整することが可能になりました。なお、シンセサイザ開発研究は東京大学との共同で行われています。
今後、NTTは装着型デバイスに頼らずリアルな触感を再現するインターフェースやコンテンツの開発を進める方針です。遠隔でのふれあいや、バーチャル空間での触覚体験への応用が見込まれており、触感の再現精度向上や、脳の知覚メカニズムの解明にも取り組む予定です。
本研究成果は5月20日から開催される「コミュニケーション科学基礎研究所オープンハウス2025」で展示されるとのことです。
(参考)NTT(日本電信電話株式会社)



