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VR動画 2018.10.17

70分間の超長編VR映画がお披露目 キリストの7つの奇跡を描く

先週、ロンドンにて開催された英最大規模の映画祭第26回レインダンス・フィルム・フェスティバルのプレミア上映会が行われ、VR映画「7 Miracles」が初披露されました。

本映画の上映時間は70分間となり、VR映画の中では最も上映時間の長い作品のひとつとなっています。あらゆる角度からの写真をつなぎ合わせて3D画像を構成するphotogrammetry技術と、映像の中を自由に動き回ることができるVolumetric動画の技術を駆使し、8K3D映像で製作されたVR映画です。

映画の中から体験できる

「7 Miracles」は10分間の7つのチャプターから構成されています。それぞれのチャプターではイエス・キリストが行ったとされる奇跡が映画の中で体験できます。従来の映画のように映像を外から見るのではなく、VRストーリーテリングの特徴となる、映像の中からの映画体験が可能なことに加え、立った視点ではなく座った視点から快適に視聴できるように製作されています。

Vive Focusに対応

本映画は、視聴用デバイスとして、スマートフォンやPCへの接続を必要としない一体型ヘッドセットのVive Focusに対応しています。Vive Focusは現在中国国内向けのみで販売されていますが、クリスマスシーズンに合わせてアメリカとイギリス市場での開始が予定されています。

製作者から見るVR映画の将来性

本映画の製作に当たっては多額の費用と技術リソースが使用されていますが、2年間の歳月を掛け作品を作り上げてきた出演者とスタッフは、VRを使った新しいタイプのストーリーテリングの手法に将来性を見出しています。

ディレクターのRodrigo Cerqueira氏は、VR/ARコンテンツ制作を手掛けるPanogrammaのCEOです。同社では2010年から2015年にかけて数百点の短編作品を制作していましたが、ワールドカップで1時間ほどの長時間作品に携わった経験から、長編コンテンツへの可能性を見つけたと語ります。同氏は、Vive Focusで可能になった前後左右上下を自由に操作できるなどの新しいVR技術は、より多くの新しいことを人々が試す機会を提供すると考えています。

映画「ワンダー・ウーマン」や「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」を製作した経験を持つエグゼクティブプロデューサーのEnzo Sisti氏によると、撮影には80名から100名ほど加わり、撮影期間は15日間、撮影後の作業に10ヶ月ほどの歳月がかかったとのことです。撮影時は、360度カメラで撮影するため、出演者以外のスタッフはエキストラに扮したり、どこかへ隠れることが必要だったと振り返っています。

イエス・キリストを演じたDejan Bucin氏は、撮影時について、カメラの前で演じるというよりも劇場で演じる感覚に近かったと語っています。また、従来の映画では撮影用の機器や機材、スタッフが常に視界に入っていることと異なり、VR映画の撮影には全てのものが無くなるので、見られていることを意識しなくなり、演じるというよりもより現実に近くなっているように感じられたと感想を述べています。

「7 Miracles」はVive Focusのほか、HTC ViveやOculus Riftなど全てのメジャーなVRヘッドセットに対応し、今年後半に配信予定です。

(参考)VRFocus
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