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イベント情報 2022.10.21

学生の好奇心を「人生を変える体験」に繋げてほしい XR Kaigiが学生無料キャンペーン

「つながり、共有し、高め合う」を目的に、Moguraが2019年から開催しているXR/メタバースのテックカンファレンス「XR Kaigi」。4回目となる今年は、クリエイティブファーム「THINK AND SENSE」と株式会社Moguraが共同で、学生100名を無料招待するキャンペーンを実施する。入場料が無料なだけでなく、関東圏以外から来場する一部の学生には交通費や滞在費も負担する。

学生100名招待という企画にはどのような狙いや想いがあるのか、THINK AND SNESEプロデューサーの稲葉繁樹氏とMoguraの代表・久保田がその裏側を語る。

密度の濃い時間を過ごせるカンファレンスをつくりたい

久保田瞬(以下、久保田):
Moguraでは、2019年から「XR Kaigi」というイベントをやっています。VRやAR、メタバースなどをテーマとした催しは他にもありますが、こうしたバーチャル領域はビジネスサイドのイベントが多い状況です。それは当然、成長業界だからということもあります。

一方、バーチャル領域では、テック業界に属している開発者の方々も多くいます。テック業界で重要なことは、知見を共有することです。色々な人たちが、数年先や数十年先というビジョンに向かって頑張っている状況ですが、各企業でバラバラにやっていると全体の動きが分からなくなってしまいます。そこで「開発者やクリエイターがそれぞれの知見を語り合うカンファレンスのようなものができたらいいよね」という話が持ち上がり、「XR Kaigi」が始動しました。

その後コロナ禍の影響でオンラインに移行しましたが、当初から考えていたコンセプトやスピリットは変えずに毎年年末に続けています。

――「XR Kaigi」の開催にあたって参考にしたイベントはあるのでしょうか?

久保田:
海外では当たり前のように開かれているXRがコンセプトのカンファレンスですね。わかりやすい例でいうと、ゲーム業界では「GDC(Game Developers Conference)」という世界最大のカンファレンスがあります。そこでVRが盛り上がったときにVRに特化した「VR Developers Conference」がセットで行われていました。

2016年はVRだけで20~30ほどの講演や展示フロアがあり、「VR酔いを軽減するにはどうすればいいか?」「VRとストリーテリングとは?」といった話題が繰り広げられていました。僕は取材で行ったのですが、明らかに熱気が違うんですよ。ひとつの場所にみんな集まって、1日~2日間はその話ばかりしているんです。それだけ密度の濃い時間を作り上げるために「場所を作ること」は大事なんだなと思いました。

――XR Kaigiはオンラインでの開催を経て、2021年からはオンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド開催になっています。オンラインだけで「場を作ること」は難しかったのでしょうか?

久保田氏:
オンラインは正直……バーチャル空間も使ってみましたが熱気の伝わる場作りという意味では苦難の連続でした(笑)。参加者が目を輝かせながら話せる場所を作るのは(オンラインでは)難しかったかなと思いました。それにXRのカンファレンスの醍醐味の一つに、「最新のデバイスやコンテンツを体験する」ということがあるのですよね。どうしてもオフライン開催は必要です。

一方でオンラインならではの魅力もあります。例えば、現実のカンファレンスでは、同時に行われる複数のセッションの中から1つを選ばなくてはなりませんが、オンラインであれば、気になるセッションを好きなタイミングで見られますし、場合によっては倍速視聴も可能です。現実だと遠くから足を運ばないといけない参加者もいますし、参加できない人もいるでしょう。簡単にどこからでもアクセスできるのは強みです。そういった現実の面倒な制約に縛られないところは良いなと思います。

――XR Kaigiでは、開発者・クリエイター向けのイベントというのを強調していますよね。

久保田氏:
特に2021年末から話題になっている「メタバース」を冠したイベントでは(XR系の技術的な議論を考えるよりも)「ビジネスマッチングしましょう」という展開がメインになりがちな印象です。基本的にビジネスイベントのほうがマネタイズも進みますしね(笑)

もちろん商談の機会も重要ですが、例えば、ビジネスマッチングが成立した後には必ず、モノづくりをしなければなりません。実際にモノを作っている人たちに注目して、盛り上げなければならないと思いますね。

――今年の「XR Kaigi」ではリアルでの体験を重視しているのでしょうか?

久保田:
そうですね。昨年の「XR Kaigi」のフロアで稲葉さんに伝えた気がするんですけど、「来年は100ブースを目指します」という話を(笑)。

稲葉繁樹氏(以下、稲葉):
そうそう(笑)

久保田:
2019年の立ち上げ期は20でも30でもブースがあれば盛り上がっていくんじゃないかと思って始めたわけですが、その頃から、XR関連の会社の数は何倍にも増えています。そうした中で、出展者数が変わらないというのは、ありえないことです。イベントも合わせて大きくなっていくべきですからね。

リアルの場でできるだけ多くの人が出展ブースを訪れ、コンテンツに触れ、直接人と会話できる場を作りたいと考えていたので、今年は特にその点に力を入れています。

「THINK AND SENSE」は「レーベル」的な組織

――ここから稲葉さんにも話をお聞きします。THINK AND SENSEは2019年から毎年XR Kaigiのスポンサーをされていますね。どういった事情があるのでしょうか。

稲葉:
我が社でもXRというテーマに早い時期から注目していたこと、そして冒頭で語られていた現場の開発者の意思を重視する姿勢は、僕らがクリエイターファーストで仕事をしていることにも通じるものがあって、とても共感しました。だからこそ、毎年スポンサーをして僕らの旬な表現を常に「XR Kaigi」で発信しているんです。

そして「XR Kaigi」をきっかけに弊社のプロジェクトに参加してくれた方も多くいますし、同じカテゴリー内で活躍する人たちとも出会うことができました。XRを活用した産業がこれから成長していくのだなと実感しています。

(オンライン開催した2020年にはヴァーチャル空間制作をTHINK AND SENSEが手がけた。)

――THINK AND SENSEは株式会社ティーアンドエスというシステム開発の会社に所属しているクリエイティブスタジオですが、最近どんどんと拡大して実績を積んでいますよね。

稲葉:
僕が株式会社ティーアンドエスに入社した1998年頃、当時ティーアンドエスは「現実の都市計画では無限に増やせない土地を、インターネットであれば増やせる」という考え方で動いてました。そこから様々なインターネットサービスを、各企業と協力しながらチャレンジして作っていったんです。

その中の新しい取り組みとして松山周平を軸に立ち上がったのが、クリエイティブ部門の「THINK AND SENSE」です。組織構造としては、株式会社ティーアンドエス内の「THINK AND SENSE」部門という扱いですが、感覚的には様々なブランドと協力してコンテンツを発信する「レーベル」に近いですね。なので、昨年から集英社と共に運用している「集英社XR」に関しても同様で、表現者として発信する感覚でプロジェクトを動かしています。

また、僕らの動かしているプロジェクトの中には、具体的な案件として固まる前のR&D(研究開発)として扱っているものもあります。例えば、そこにはメディアアートもありますし、VR作品もあります。

今は「集英社XR」というレーベルの活動を、世界に届けていくことを目標に続けています。

――「THINK AND SENSE」は、昨年も集英社XRとして「XR Kaigi」に参加されていましたね。

稲葉:
あの頃はまだ駆け出しでしたが、1年掛けて仕込みが終わり、これからいよいよ大きくしていこうとしています。世界的な規模でユーザーを獲得していて技術投資力を持っている企業や、創作意欲にあふれている企業などとパートナーシップを結んでいきます。

また、不動産会社や交通会社など古くから各産業を支えているレガシーな日系企業と新たなプロジェクトを起こしたいと思っています。ティーアンドエスの元々の生業は「街作り」です。人間の暮らしの一番根幹となっている部分は「街」だと思っています。街には様々なモノがあふれていますが、それをうまく活用するためのアイデアはまだまだ少ないのではないでしょうか?

 僕らは知恵と勇気で、そういったアイデアをかたちにしていければ良いなと思っています。

久保田:
「THINK AND SENSE」を率いている松山周平さんをはじめ、チームの皆さんは、とても若い方が多いですね。

稲葉:
そうなんですよ。「週刊少年ジャンプ」の作家先生や担当編集たちも若い人が多いので、僕らの雰囲気と近しいものがあるんですよね。「まだまだ歴史の浅いXR領域であれば、自分でもワンチャンありそう」という考えの人も集まってきて、若い熱量をしっかりと受け止められる会社になってきたのは、弊社の良いところだなと思っています。

久保田:
そもそも、「THINK AND SENSE」にはダンサーさんなど様々な人が所属していることに驚いた思い出があります。

稲葉:
ラッパーやDJもいます。まさにレーベルですね。近しい例で言うと、ゲーム会社のスタイルがそれに当たります。ゲーム会社も音楽を自社で制作していたり、イベントを自ら運営していたりしますよね。一般ユーザーにキャラクターやストーリーを楽しませるには「楽しい人たちが楽しいことをやっている」のが重要だと思っています。

久保田:
昨年末に初音ミクの音楽イベント『MIKU BREAK』を見させていただきましたが、様々なジャンルの人たちが一丸となったからこそ達成できたプロジェクトだなと感じました。

稲葉:
『MIKU BREAK』はストリートカルチャーとXRのコラボでしたね。

久保田:
XRやメタバースの領域だけで仕事をしていると、どうしてもステレオタイプ的な発想になりがちですが、ジャンルの違う分野の人たちとあえて一緒にプロジェクトを進めることで、実現できるものがあると感じました。

なぜ学生に「XR kaigi」を体験してほしいのか?

――さて今回「XR kaigi」では学生100名を無料招待するという大掛かりなキャンペーンを実施します。そもそも、このキャンペーンに至ったきっかけは何だったのでしょうか?

稲葉:
個人的な思い出から話しますが、中学1年生のときに、あまりにも元気が良すぎて家庭教師を付けられたんです(笑)。その家庭教師の方が、世界3大建築会社のひとつ「OMA」の、ニューヨーク事務所代表を務めている重松象平さんでした。彼が僕にとって最初のメンター(指導者)のような立場の方で、様々なことを教わりました。

重松さんは1995年、阪神・淡路大震災があったときに開かれた「神戸まちづくりコンテスト」のコンペで大学院生ながら優勝されたことがあったんです。そのときに、若い人が震災という痛みと向き合いながらも世の中を良くしたいと思って活動する姿を見て、強烈なインスピレーションを感じました。

また僕の住んでいた福岡には、「Dice&Dice;」というセレクトショップがあったのですが、その2代目店長の泉さんという方にも非常に強く影響を受けています。泉さんは当時から自身のブランド「minotaur」を立ち上げて運営されていた方で、ファッションと音楽において、流行ではなく自分たちがいいと思うものをずっと発信されていました。僕が店に遊びに行くと「何がしたいの将来?」「こんな面白いアーティストや音楽がある」とかって、話しかけてくるんです。何物でもない若者にモノを売るのではなく、何か行動させようとする先輩だったんです。そんな泉さんとは東京・フランスはパリで会社化された「minotaur」で我々think and senseと一緒に新たなメディアアートやファッションの発信を活動させてもらっています。

振り返ってみると、重松さんも泉さんも、やりたいことを国内にとどまらず爆発的に進めるタイプの人でした。自分が社会人になってから思うことですが、企業の中にはそうしたクレイジーな原動力を持つ人こそが大事なんですよ。だからこそ、若い人たちには「やりたいことをやってほしい」と。「1人で走れないならチームで走ろうぜ」と呼びかけているんです。そのために、やりたいことのできる環境をつくり、クリエイティブを十分に発揮できるような体制づくりを心がけています。

なので「XR kaigi」でも、今回の学生キャンペーンをきっかけに、XRやメタバースに興味を持っている若手が「自分の人生を変えてしまうような体験」に出会ってほしいと考えていますし、そうした機会を提供したいと思っています。

先ほどオンラインの難しさについて語られていましたが、やはり現場の、関わっている人たちの熱量を感じて欲しいんですよね。特にコロナウイルスの拡大した社会の中で、学生はコミュニティと繋がるためのネットワークが欠けています。そういう意味でも、フィジカルで体験できる場の提供は重要だと考えています。

久保田:
その話を受けてですが、自分の中でずっとXR Kaigiについて葛藤があったのは、チケット代でした。テック系のカンファレンスのチケット代は、基本的に高額で、海外では3日間で10万円以上のものもあります。僕たちも最初はその慣例にしたがって毎年定価で1万円前後の価格設定をしていたのですが、結果的には、学生さんにはあまり優しくない状況が続いてました。

学生チケットに関する施策もこれまでやってはいたのですが、まだまだハードルが高く、オフラインでの参加障壁は高いものでした。そのタイミングで稲葉さんからも声がかかり「ぜひ一緒にやりましょう」ということで、ついに実現できたという背景があります。

XRやメタバースの面白いコンテンツを作っている人が学生さんだったということも少なくありません。一方、企業や組織に縛られずにクリエイティブを発揮する若い人たちに「XR Kaigi」はあまりアプローチできていないと感じています。だからこそ、今回の学生キャンペーンをきっかけにイベントに足を運んでもらい、これから一緒に何かプロジェクトを作り上げていければと思っています。

このキャンペーンが「XRで何かをやってみたいな」と思っている学生に届けば嬉しいですね。

稲葉:
XR業界は若い人たちに優しいよね(笑)。

久保田:
今の若い人たちの中には、息を吸って吐くかのようにスマホだけでハイクオリティな動画を作成する人もいます。このXRやメタバースという領域も、おそらく若い方の方が最初から3DCGの世界をよく知っているわけで、楽しみですよね。

稲葉:
むしろ学生から大人が学ぶことの方が多いかもしれません。

クリエイティブと開発が交わる領域

稲葉:
クリエイティブ分野と開発分野のそれぞれからXRやメタバースに強い関心を寄せる人が多くなってきていて、ふたつの分野が組み合わさっていけば、一般ユーザーにも届くようなコンテンツが生まれるだろうと思っています。僕らとしては、クリエイティブと開発のどちらも必要で、だからこそチームで仕事をする意義があることを伝えていきたいですね。特に社会的インパクトのある大きな仕事にこの業界は年齢なくチャンスがある。

久保田
エンジニアリングの分野とデザイン分野の両方をこなすような人たちも見られるようになりました。例えば、デバイスへの興味からエンジニアとして参加して、コンテンツを制作していくうちにだんだんとデザイン的なものの経験も積んでいくといったルートですね。また、アーティストが3DCGの表現やVRでの体験への興味から、開発の方にも向かっていくことがあります。次第に、クリエイティブと開発の距離が近くなってきている印象です。

稲葉:
最近では大手のIT企業がXRやメタバースに進出する事例も増えてきています。技術ドリブンになりがちですが、若い世代が体験したいというコンテンツやサービスが生まれるまで、ちゃんと投資できるかが重要だと思っています。

XRやメタバースは、そういった目標を実現するためにも重要なテクノロジーです。僕らは「集英社XR」というレーベルを、集英社と一緒に大きくできるようにチャレンジしていきます。集英社には人気のIPが多くありますし、海外で売れている日本のIPの多くの作品が集英社発であるとの情報もありました。そういったものを、さらに届けられる新しいメディア、新しいサービスを作っていきたいですね。

(2021年XR Kaigi オフライン出展ブース)

久保田:
集英社のような企業にあるコンテンツIPは長年培われてきたものなので、若い人たちが自分たちのアイデアだけでポッと利用しても、おそらくはうまくいきません。なので、年長者がコンテンツの魅力や文脈を伝えて、文化を繋いでいくことが大事なのかなと思います。「このコンテンツIPはずっと自分たちが守ってきたものだから、自分たちだけで運営します」ではなく、次の世代への橋渡しが大事です。そういったメッセージを伝えていくことも、ある意味「XR Kaigi」の役割のひとつなんだと思います。

2019年の「XR Kaigi」の交流会でのことですが、香川県から来たという学生さんが1人で一万円のチケットをわざわざ購入して参加してくれたんですね。本人に話を聞いてみたら「どうしても来たかった」んだと。その学生さんは、交流会の場でいろんな参加者の方に紹介されていたのが印象的でした。やはり、熱意あるかたちで来てくださると、こちらも応援したくなるんですよね。

なので、今回のキャンペーンをきっかけに参加される学生さんには、ぜひ熱意をもって貪欲な気持ちで来てくれたら嬉しいです

稲葉:
XR業界では、そもそも超越したリアリティ(Extended Reality)をイメージできる人間がいるのかという課題があります。この世の中で今までにないアイデアを考えることはとても困難で、あまりに発想が飛びぬけていたとしても、今度は一般ユーザーに理解してもらえないといった問題もあります。

超越したアイデア、今までにない発想、そして社会的批判にも耐えうる挫けない勇気も重要です。そうした素養を持つ人が、このXR・メタバース産業から生まれてきたらいいなと思っています。もちろん我々もそうあるべきと努力を重ねています。

「XR Kaigi 2022」オフラインイベントへ抽選100名無料ご招待!

株式会社ティーアンドエスのクリエイティブファーム「THINK AND SENSE」の後援により、12月22、23日開催の「XR Kaigi 2022」オフラインイベント(@東京・浜松町)に抽選で100名の学生を無料招待します。

今回のXR Kaigiオフラインイベントでは、デバイスや新たな技術などを体験できる出展ブースに加え、アワードや交流イベントなどリアルイベントならではのコンテンツを展開します。また、関東圏外から参加する一部の日本国内在住の学生の方(100名内20名の予定)には渡航費(交通費・宿泊費)も全額サポートされる予定です。

【無料招待へのお申し込みはこちら(10/31まで)】

https://bit.ly/3R10zXL

■エントリー期間
~2022年10月31日(金)
※抽選結果の通知は11月8日(火)前後を予定

■エントリー条件
現在学生の方(高等学校、大学、大学院、専門学校、高専)


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