日々クオリティの高い作品がアップされ続けている、VTuber(バーチャルユーチューバー)や、バーチャルクリエイターの動画。その中から独断と偏見で「この動画は是非見て欲しい」というものをご紹介。特にユニークな作品や技術力や企画力の高い作品、時事性のある作品などをさらに深掘りし、今のVTuberの面白さ、頑張り、才能をキャッチしていきます!
スタバに60万のVisionProつけてる変な人がいました。
「変な人」という表現は今のところあっている気がしますが、想定されているヘッドマウントディスプレイの未来はこういうことじゃないでしょうか。おめがシスターズによる新作動画では、ガジェットに強いおめがレイによるAppleVisionProの実用動画がアップされました。
まだ60万円と高価とはいえ、日本でも入手できるようになったVisionPro。見どころはバーチャル寄りというよりは、リアルとバーチャルの境界線の融和・切り替えや、現実世界の拡張です。だとしたら外で使わない手はない。率先して一歩踏み出してくれた、という動画です。
パススルーの映像があまりにも解像度が高くきれいなため、かぶっているのに普通に歩けるほどVRHMDをつけている感覚がない、という部分を初心者であるおめがリオが体験して熱弁。詳しいレイ、知らないリオ、というおめシス解説スタイルは今回も見やすいです。
チョウチョが手に止まるシーンと、そのあとすずめを見間違えるシーンは、VisionProのすごさを感じさせるものだと思います。そのくらい現実とバーチャルが渾然一体となっているところまできました。
今は「変な人おめがレイ」としてネタ動画化されていますが、スマートフォンを持って歩くのが当たり前になったように、HMDを町中で被って仕事をする、なんて時代が来ても全くおかしくない、と感じさせてくれる説得力がある動画でした。
生粋の男オタク3人の前にピーナッツくん本人が現れた結果…【会シリーズ】【ピーナッツくんの会後編】
おすすめのコンテンツを男たちが集まってワイワイ話しながらおすすめするのが楽しいYouTuberのおませちゃんブラザーズ。ピーナッツくんについて紹介する回では、ピーナッツくん本人が登場するというサプライズがありました。
基本的にはオタク的妄想や願望を「ここがいいよね」としゃべりながらだべる雰囲気の心地よさが、魅力の紹介につながっているチャンネルです。その空気を活かして、ピーナッツくんが登場した後に、ピーナッツくんとデートをするときのプランをファンの3人が本人の前で発表するという、完全妄想100%の夢プレゼンを行っています。どういう状況なんだ、と困惑するノリもピーナッツくんのキャラクター性とうまくマッチしていました。
この妄想プレゼン、三者三様で熱く語られているのですが、それぞれがピーナッツくんという存在を多角的に切り取った紹介になっているのが興味深いところです。趣味の多いピーナッツくんという点から、彼が好きなものの話題が次々話題に出てきます。人との接触をあまり好まないという視点から、どうやったら適度な距離感を保てるかも論じられます。
各々の視点に対してピーナッツくんが自身のジャッジをすることで、その視点から見た場合の本当のピーナッツくんの姿が更に深堀りできる、という仕組みです。
ファン側の理想と本人の意見が両方楽しめる動画として秀逸な内容になっています。
ピーナッツくんの新曲「Yellow Big Header」のPVも公開されました。nerdwitchkomugichanのヘビーなビートにのせて、冒険に飛び出すピーナッツくん、チャンチョ、コバルト田中の三人。キャッチーでテクニカルなリリックはピーナッツくんの得意とするところで、疾走感も抜群です。コールできるパートもあり、今後もライブのキラーチューンとしても確実な一作です。
valkneeのチャンネルにアップされた「Even If feat. ピーナッツくん」のMVにも出演しています。ラッパーコラボとしてのPV内では、ふたりのかけあいの息はぴったりです。valknee側がピーナッツくんワールドに入り込んでいるスタイルなのもユニークです。
アルバム「BloodBagBrainBomb」をリリースし、ライブツアーも敢行中、POP YOURS 2024にも出演と、音楽方面でのピーナッツくんの活躍は目を見張るものがあります。
【VRChat】人見知りでも質問デッキがあればスムーズに話せる説【エンジンかずみ / NAGiSA】
エンジンかずみが制作した、5分ごとに強制的に新しい人と二人きりになって会話する、というコミュニケーションワールド「NAGiSA」は、現在常に誰かが遊んでいるくらいに人気のスポットです。
オープンしたばかりのときにエンジンかずみがVTuberやVRChat活動者やインフルエンサーを集めてこのワールドをプレイするイベントを開催しました。その様子をなでしこ大和が一通り録画し、実際にここではどんな体験ができるのか、雰囲気をわかりやすくまとめています。
こちらには筆者のたまごまごも参加させていただいており、動画にも出させていただいています。
知らない人と強制的に二人きりになるとき話せるかという点に関しては、ハードルは正直高いと思われます。ただ少しでも話すきっかけがあれば5分は本当に一瞬で楽しい、というのをなでしこ大和の動画はうまく捉えています。なでしこ大和は相手に「次の人への質問」を出してもらう、というテクニックを用いて、会話デッキを独自に構築。話をうまく弾ませています。
この動画では普段から話す人が多く出演しているので、コミュニケーションのスムーズ度はかなり高い映像になっていると思います。とはいえこのくらいワイワイ楽しめる可能性を秘めている、VRSNSの「人との交流」を実験的に深めているワールドなので、終わった後フレンドがたくさん増えるくらいの楽しい体験は十分可能です。もちろん話が合わない人と出会う可能性も大きいので、そのあたりも念頭に入れ注意しつつ、この動画の空気感を参考に「NAGiSA」に挑戦してみるのもありかもしれません。
【 #メスガキ決定戦 】ざぁこ♡ざぁこ♡メスガキ決定戦♡【VTuber VS AITuber】
心導しるべが行ったのは「メスガキ決定戦」。夢眠ゆらめと月夜野アルマを招いて、質問にセリフで解答してもらいます。果たしてどちらがよりメスガキ的か…という対決なだけでも十分面白いのですが、どうも観ているとおかしい、発言を観ていると納得感と違和感の両方があるような…。
実は月夜野アルマは「AITuber」。AIが会話を考え発言しています。今回の解答はすべてAI CAST月夜野アルマとしてのもので、トーク中のツッコミ発言も同様です。夢眠ゆらめは生身感のある発言やネタを仕込んだボケを入れていますが、月夜野アルマのちょっと異なる雰囲気の直球発言は味わいが独特でユニークです。
同様に心導しるべと魔法少女アイマインのアイリーン(AI CAST)による「オタクに優しいギャル決定戦」も行われています。
彼女たちが属しているPictoriaはAIキャラクター活動を推進しており、その内の一人が先輩にあたる紡ネンです。配信のたびに多くのファンが集まって、AIの彼女との対話を楽しんでいます。またライブドアニュース24ではAIキャラクターがニュースの原稿作成・音声による読み上げ・配信までを自動で行うシステムを構築し、24時間配信を行っています。
月夜野アルマらAITuberの配信は自分から話題を切り出すこともありますが、基本的にリスナーの質問を読み上げて、それに対して答えていくスタイルが多いです。この回答が絶妙で、キャラクター性が保たれつつ、いかにも彼女らしい独自の口調で返しをしてくれます。
欲しいものをちゃんと与えてくれる、かと思えば想定外な話にぴょんと飛ぶ、AI配信者ならではの面白さは、人間の面白さとは別軸として存在しています。
【#大空スバル生誕祭2024】大空スバル生誕祭2024:Happy Birth Day Stream【ホロライブ/大空スバル】
大空スバルが行った生誕祭で発表された「スバ友アンケート2024」は、VTuberを知るうえでとても貴重な資料のひとつになりそうです。以前も「スバ友アンケート」は実施されており、そこからの変化を比べると更にファンの姿がよく見えてきます。2022年版(2021年調査)はこちら。2021年版はこちら。
中でも観ている人の男女比率の推移はわかりやすいです。男性が多いのは変わらないですが、じわじわと女性視聴者が10%を越え始めているのは巨大化するファン層の中でも大きな変化です。
どのくらい長いファン歴を持っているのか、どのような配信を好むのか、ガチ恋しているか否か、好きなユニット(組み合わせ)などなど、168万人の登録者を抱えるVTuberのファンの思考がかなりむき出しになって見えます。いわば需要を視覚化したものです。
これ自体は大空スバルのファン、という関係性ありきではありますが、今のVTuberファンの動向を知るヒントにもなりそうです。後半のプレゼント開封も観ていてほっこりできるものばかり。特に轟はじめの大ファン個別通話風ビデオは、自身の2D画面をフル活用したユニークなものになっています。
彼女が誕生日にアップした歌ってみた動画は、飛び降りをしようとしている相手に向かってポジティブを超えたポジティブさをぶつけ、寄り添う作品である「君が飛び降りるのならば!」のカバーでした。常に明るく楽しく前向き、という太陽のような生き方の大空スバルだからこそ、抜群の説得力を持って出せる作品になりました。センシティブな内容が含まれる曲なのでドキッとする部分もありますが、これを誕生日に選び歌った大空スバルの姿勢こそが、ファンには大きなプレゼントになっているはずです。
鯨の子‐Tele 歌ってみた(cover)【くじさき/Kuzisaki】
くじさきのアップした「鯨の子」のカバーは、原曲の持つ脱力感と熱気をうまく再現しつつ、本人の持つポップな明るさがうまく融合した、聴いていてテンションが静かに上がるような曲になっています。適度に力みすぎていないからこそ、一番エモーショナルなバランスで心情が伝わってくるボーカルです。
特筆すべきは彼女が現実世界に飛び出した状態での映像のリアリティです。部屋から飛び出し、夜の中を駆け回り、明け方の市場を抜けて、朝の光の中で国立科学博物館の鯨のオブジェへと向かい、はしゃぎまわる様子が手持ちのカメラで撮影されているかのように表現されています。手ブレ映像の中のくじさきの3Dの姿は完全に現実世界に溶け込んでおり、違和感が全くありません。まるで観ている側が、夏の夜にくじさきと共に徹夜で遊んでいるかのような錯覚すら覚えます。
この歌の歌詞は「僕ら」の存在感がいろいろな言葉で表現されています。それを聴く側が受け止めるためにも、現実社会にくじさきが存在しているという認識は重要なファクターです。「一番デカいクジラに会う」という言葉を掲げ、実際スリランカまで足を運んでいるパワフルなくじさきの、思いの一端が感じられるようなMVでした。
「VocaDuo2024」作品紹介
『歌い手 × ボカロP × 絵師 × 動画師 × MIX師 等』でチームを組み曲を完成させる企画「VocaDuo2024」の作品が多数アップされています。VTuber・VSingerも多数参加しているこの企画の中から何組かご紹介します。ハッシュタグ検索による一覧はこちら。
絵本のような世界観が魅力的な姫宮りんごらのグループ・ジンギスカンの作品「ネバーランドテイル」。孤独な君と僕の出会いと別れを描いた、物語仕立ての内容です。姫宮りんごの歌声は繊細で、歌詞の中に出てくる言葉のニュアンスを丁寧に表現しています。純粋さゆえに生まれる寂しさを伝える語り部として、優しいメロディと共に物語を心に刻んでくれる作品です。
帛田ヌキ、天舞音叫子、範・タイワンらによるグループ♰神卍仏♰の作品「アルカイックスマイル」は曲の入りからハードなサウンドが響くメタルロック。デスボイスによる「神仏大合体」のボーカルはインパクト抜群です。高音ボーカルとのギャップも印象的。パワー満点の刺激的な楽曲を、過激な言葉の数々で彩り激しく美しく歌う様子は、グループ制作ならではの味があります。
抜群の幻想性を誇るのはみたにみくらによるユニット・朔望月の作品「くらげの骨」。重厚な音作りは海の中の暗さを感じさせてくれます。儚さを表現しつつストーリーテラー的でもあるメインボーカルと、サビで混じり合う歌声のハーモニーは、深海奥深くに響いているかのようでもあり、海上に向かって浮き上がっていく泡のようでもあります。MVは歌詞・映像ともに物語性がかなり高め。共感を招く描写が多い中、額縁をいれることで客観視もしている表現など、かなり凝った作りになっています。
雨宮みやびらによる楽曲「morphine」は、電子音へのこだわりが非常に強く、心地よい作品です。音楽担当は桶屋。概要欄に「電子音、それは優しい薬。」とあるように、心の痛みを止めるモルヒネとしての効果を電子音からもらえるかのような、落ち着きとまどろみを感じさせてくれるリズミカルなトラックになっています。
苦しみの表現に長けた雨宮みやびのボーカルは、音楽に救いを求めて手を伸ばしているかのようにすら感じられるほど真に迫るものがあります。重く温かい電子音と迫力のある歌声は、バランスのいいmixで絶妙に調和しています。そこにセンスのいいイラストとデザイン、清涼感と酩酊感のあるMVがひとつになったことで、高い完成度の作品として仕上がっています。
VSingerユニットとして注目したい、マリー=コルシックとルイ=コルシックの二人組、Guillotine la poupee(ギヨティーヌラプーペ)。VocaDuo2024では「おのれ」という新曲を披露しています。
コンセプトである”Gothic × twins”が十二分に活かされた、怪しくも美しい作品です。サビでは彼女たちの持ち味であるゴシックなハーモニーが存分に味わえます。ふたりがそれぞれ別の歌詞を歌い重ねる表現は、ミュージカルのような多角的な物語性も感じさせてくれます。
彼女たちのチャンネルは世界観がしっかりしているため、どれかひとつの作品が気に入ったらソロ曲含む他のMVも楽しめると思うので要チェックです。また配信ではふたりの仲の良いトークや歌枠なども楽しめます。
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