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VTuber 2022.12.30

「この動画がすごい!」2022年VTuberおすすめ動画を振り返り!

毎週MoguLiveにて掲載しているシリーズ「この動画がすごい! 今週のおすすめVTuber動画」。2022年も数多くのVTuber・バーチャルタレントによる傑作動画・配信がアップされました。
今回はその中から特に印象的だった動画・配信を、関連動画と一緒に独断と偏見でチョイス。企画系動画・配信から2022年のVTuber界を振り返っていきます(音楽動画は今回対象外としています)。

2021年版はこちら。
「この動画がすごい!」2021年VTuberおすすめ動画を振り返り! – MoguLive

4年後の自分に凸られる海老名あるく【#2018年組VTuber #VTuber切り抜き】

VTuberの配信を切り抜いてまとめる「切り抜き動画」の文化を題材に、架空のVTuberの配信の切り抜きを制作し、物語を作っていくメタフィクションチャンネル(実在しない)切り抜きチャンネルは、新しいスタイルのストーリー表現手法として注目されています。

キャラクターとして画面に映っているけれども、間違いなく生活をしている誰かが画面の向こうにいる。そのアクターには触れることなく「存在=VTuber」としての会話のみで物語が進んでいく、というVTuberへの向き合い方がしっかりしているのも特徴です。

特に「4年後の自分に凸られる海老名あるく」は4年前の2018年の切り抜きを4年後の2022年に観る、というリアルタイムな時系列に大きな意味がある作品。他の作品でも現在のVTuberの流行ネタをいち早く取り入れているのもユニーク。VTuberが好きな人全てに観てもらいたい、人の生き様がVTuberによって表現された映像作品シリーズです。

【ゲスト多数!新髪型お披露目!】昭和老人会♪宝鐘マリン3周年記念歌謡祭【hololive/宝鐘マリン】

ホロライブのメンバーは活動周年記念や誕生日におおがかりな3Dライブをやることがありますが、宝鐘マリンの3周年記念歌謡祭はその中でも異例のコンセプトを持ったものでした。それは昭和の音楽番組を再現するというもの。全編に渡って4:3の画面比率、アナログのようなノイズのかかった画面、懐かしい感じのフォント、歌番組風のレトロな背景セットとこだわりが見られます。

白上フブキと大神ミオの、ツッコミのないギャグを交える懐かしいノリの司会進行も面白い。歌っている曲はほとんどが昭和の名曲揃い。OPで出演者全員が並んで拍手するのも昭和的。めちゃくちゃ研究され、一切妥協無しで昭和を貫こうとした大掛かりなライブ配信でした。なにより、参加者たち全員が歌とダンスに関してはおふざけなし。アイドル力全開で挑んでいるからこそできる企画です。

にじさんじの奇怪な物語

赤羽葉子ギルザレンⅢ世による企画は、某テレビのドラマ番組をオマージュしたショートミステリー集番組でした。にじさんじのメンバーのキャラクター性の幅の広さと、それぞれが持つ演技力をふんだんに用いて、奇妙な物語が「6+α」紡がれています。

企画、シナリオ、動画編集を赤羽葉子とギルザレンⅢ世が行っている力作。それぞれの作品の主人公は、本人。物語のキャラクターをバーチャルな自分が演じるという、当て書き脚本のフィクション構造も物語として挑戦的です。

自身にキャラクター性のあるVTuberの演劇は、じわじわと注目を集めている最中。その技術の結晶のひとつとも言える作品です。

★初心者歓迎★月ノ美兎ちゃんのなりきりチャット★

大規模コラボなのに音声ほぼなし。インターネットに精通したにじさんじライバー(一部それ以外)が「なりきりチャット」でその「なりきり」力を発揮する。月ノ美兎による企画「月ノ美兎ちゃんのなりきりチャット」はインターネットに詳しい人ならニヤニヤもの、そうでない人には一触即発ハラハラものの、文字オンリーの配信です。

にじさんじライバーに、にじさんじライバーがなりきってチャットする、というメタな遊び方を全員が理解し、うまくロールプレイしているのは芸術的ですらあります。なりチャが他の場所にさらされている、といわれて視聴者のコメントが流れる展開はゾクッとさせられる部分も。

元々この「月ノ美兎ちゃんのなりきりチャット」は、誰でもコメントを書き残せるようにする「フリーチャット」動画を開いておくVTuberならではの文化をパロディ化したものだった、という時点で月ノ美兎のインターネット力がよくわかります。月ノ美兎の企画力とにじさんじライバーの演技力が生んだ奇跡的な配信でした。

【VRChat】めっちゃ英語の練習になるワールド行ってみたらすごい人がいっぱいいた【EN-JP Language Exchange World】

ワールド制作や音楽イベントやサークル活動など、VRChatでの文化の発展は著しいものがあります。学習活動に勤しんでいるVRChatの教室に入ってレポートしているのがレオン・ゼロミヤ。国際交流をしながら日本語・英語を学ぶワールドや、ベテランダンサーからダンスを学ぶ教室に突撃して、実際にその様子を撮影、アップしています。

メタバースで行われている文化は、実際に行ってみないとなかなかわからないもの。それをしっかり映像で記録して見せてくれているのは非常に貴重。普段はエンタメ中心のレオン・ゼロミヤだからこそ、VRChat文化を多くの人に伝えるインフルエンサーとして大切な立ち位置の存在になっています。

[VR VLOG #10] 夏だ!ひんやりプールと海底列車 | Summer Vlog! swimming pool and underwater train [ #VRChat #惑星ちる ]

2022年は「Vlog」スタイルの動画・ShortsをアップするVTuberが多く、クオリティが高い作品を沢山観ることができました。惑星ちるのVlogはVRChatを利用したもので、ぷち旅行+やりたいこと挑戦動画というテイスト。基本はカメラに向かって話しかけるVlog形式なのですが、映像技術が非常に高いため、ショートフィルム作品といっても差し支えないくらいのクオリティになっています。

撮影のアングルと構図、被写体深度、色味の調整など、カメラ技術に長けている人をうならせるような画作りがされており、また編集でのこだわりも数多く見られます。
惑星ちるのかわいらしさと、世界を美しく撮影する技術、その世界と自分の心をつづる彼女の言葉の丁寧さが生んだ作品群です。

惑星ちるは音楽方面でも積極的に活動をしています。Vlogと音楽動画、根底は惑星ちるの世界観表現としてつながっているようにも感じられます。あわせてみると、よりVlogの表現の深みに触れることができるはずです。

【VTuber×360度動画】観光大使と一緒にバーチャル観光 in 長瀞【埼玉バーチャル観光大使春日部つくし】

埼玉バーチャル観光大使に就任した春日部つくし。今年はちょこたび埼玉公式チャンネルで積極的に埼玉PR動画を公開し、話題を呼んでいます。中でも360度観光動画シリーズは、春日部つくしと一緒に旅しているかのような錯覚におちいるほど、没入度の高い映像。ぐるりと埼玉の景色を観られる、PR動画としては最適な作りになっています。

その他にもさいたま名所案内デート動画、他のVTuberとのコラボ動画として埼玉土産でもてなす「つくしカフェ(仮)」なども配信しています。現実世界に飛び出すVTuberならではの、凝った映像表現が随所に観られるので、それぞれの映像をチェックしてみてください。

また春日部つくしが声を担当しているVOICEVOXの合成音声キャラクター「春日部つむぎ」は、現在ニコニコ動画やYouTubeで人気になっています。動けるようになった春日部つむぎと春日部つくしがコラボする、というユニークな配信も行われ、春日部つくしの活動の柔軟性に驚かされます。

どれがコーサカのシナリオ!? 王選手権

MonsterZ MATEは頻繁に企画を行い、その企画には準メンバー的に天開司や佐藤ホームズらが登場しています。どの企画も面白いのですが、中でも今年らしい内容だったのは、TRPGのシナリオのティザーを数多くの作家に書いてもらい、その中でコーサカの書いたものをあてる、という贅沢すぎるネタの使い方のクイズ企画。

有名なTRPG配信者ぱぱびっぷや、どっとライブのもこ田めめめなど、クリエイターの本気を使った、全力の遊びになっています。2本目の動画は「無いシナリオを妄想して盛り上がる」という、TRPGの楽しさがよく分かる内容です。

昨年今年と、VTuberでのTRPG配信熱がどんどんあがってきています。ゲームマスターとして慣れてきた人も増え、プレイヤーも熟練し、新しく始める人はどんどん増えています。有名シナリオが続々と生まれ、かなり凝ったキャンペーンを配信で行うVTuberがたくさんいます。作品のための音楽が作られ、イラストが書き下ろされています。VTuberとTRPG・マーダーミステリーの相性の良さが光る1年でした。

VTuberとそうでない人が、TRPGのステージの上では同じ世界線に立って演技できる、というのは魅力のひとつ。来年度はさらなるプレイヤー・ゲームマスターが生まれ、活性化が起こることに期待です。

石像OLの夏LOOKBOOK【無地むーじ】|ロトスコープ:LOOKBOOK of stone statue office worker

VTuberの見せ方としてはかなり珍しい映像を披露しているのが無地むーじ。彼女は石像のOLで、材質は不明。時に腕が折れたりもしてしまう中、自身の日常をVlogやLOOKBOOK形式で撮影しています。

カメラで撮影した映像をトレースしてアニメーションを作る、ロトスコープという技法を用いている無地むーじ。折れた腕を接着したり、化粧で眼球を塗ったり、二重を彫刻刀で掘ったりするアニメーションが、彼女の特異な存在感を引き立たせます。ファッション・化粧系YouTuberやインスタグラマースタイルをキャラクター性に昇華したVTuberとして、人気を博しています。

ぶっちゃけ実写撮影って楽なん?

今年VTuberファンのみならずYouTubeを観ている多くの人を驚かせたのが、おめがシスターズの実写体、顔だけVTuberスタイル。「部位チューバー」と呼ばれることもあります。今までも顔に3Dモデルを被せる配信アプリはあったのですが、キャラクター性重視のVTuberは2Dとフル3Dが当たり前、という常識を破りました。

VTuberの中でもかなり早い段階から、現実社会に飛び出して行ったのがおめがシスターズ。新しい活動方法を自ら作ったことで、活動の幅は格段にあがりました。このスタイルを活かして、自動車に乗ってでかけるなど今までできなかったことを次々実践しはじめています。

ガジェットに強くて、部位チューバーなスタイルもとれるおめがシスターズ。外に出て撮影できるモーションキャプチャー機器「mocopi」の紹介ができるのは、彼女たちのスタイルならでは。2023年は、おめシススタイルの「顔だけVTuber」は、「mocopiを使った外録画VTuber」と対を成して増えていくかもしれません。

【おめがってる?】モデリングできないから被り物作った【おめがってない】

あらゆるものを自力で作り上げていくDIYなVTuberとして注目を集めているヘアピンまみれ。中でも多くの人を驚かせたのが、おめがシスターズの顔だけVTuberに衝撃を受け、ならばアナログにお面を作ってしまおうという企画。観るとわかりますが、普通の人がやらなさそうな本格的な手作りをしています。

自分でパペットも制作しており、3Dモデルも完全に0からスタートしてBlenderで制作。なんでもつくる上に、その過程をしっかり動画で見せてくれるのがこのチャンネルの魅力です。

プロイラストレーターなら図鑑情報だけでポケモンが本物そっくりに描ける!!|お絵描きポケモンハートゴールド #00

漫画家・イラストレーターのVTuber伊東ライフのポケモン実況配信は、視聴者参加型で、かつゲームにあまり興味のない視聴者でも引き込まれるような、エンターテイメントのおいしいところを詰め込んだものでした。「ポケモン」を全然知らなかった伊東ライフがプレイ中、出会ったポケモンを図鑑情報と名前のみで連想してお絵かき。視聴者採点で高得点ならはじめてゲットできる、というしばりです。伊東ライフのイラストのうまさも味わえますし、ゲーム進行に深くかかわる採点も楽しいです。

週一で先週のポケモンプレイの切り抜き動画がアップされ、その次の日にイラストポケモン実況をする、というループも視聴者にとても見やすく親切。伊東ライフの盛り上げ方がうまいので、「ポケモン」知識があってもなくても、コメントと採点で参加する楽しさがたっぷりあります。何度も楽しめるおいしいポケモン配信シリーズになっています。

【架空】戦国武将・織田信長を彼氏だと思い込んで匂わせ配信をしてみよう!【Vtuber/瑠璃野ねも】

なぜこんなネタを思いつくのかという驚きと、それを1時間ぶんまわすマシンガントークが面白い瑠璃野ねも。謎企画は数多くあるのですが、中でもわかりやすくユニークだったのは「織田信長を彼氏だと思い込んで匂わせ配信をする」というテクニカルなもの。YouTube・VTuberの恋愛ネタは時折地雷になりがちですが、それを織田信長との匂わせというネタにおとしこんでパロディ化したことで、誰もが安心して笑えるエンタメに変えています。

他にもミュート中に何を話しているか当てよう、視聴者コメントでこっくりさんもどきをやろうリスナーの後方彼氏面をしよう真っ白な朝顔観察日記を安価で埋めようなど、想定外な発案と止まることのないトークで視聴者を楽しませてくれる瑠璃野ねも。唯一無二なスタイルのエンターテイナーとして、見逃せない存在です。

【古事記】これさえ見ればわかる!日本神話のすべて【古代日本史VTuber きら子】

古代日本史を扱っているVTuberきら子による解説動画は、誰もが名前を知っていて、でも中身はほとんどしられていない「古事記」における日本神話を、まさに「これさえ見ればわかる!」というクオリティとわかりやすさで紹介したものです。

なにより解説が聴きやすい。いにしえの存在が優しく丁寧に教えてくれる、という空気でくつろぎながら楽しめるのは大きいです。他にもバーチャル奈良旅行や、日本史一問一答読み上げ配信など、様々な切り口で古代日本史を楽しめるように活動しています。

学術系VTuber、趣味・雑学特化型VTuberの活動が目立った2022年。さらに新しい切り口から楽しんで学ばせてくれるVTuberたちの活動に期待したいです。

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