NTT株式会社と株式会社NTTドコモは、NTT東日本の次世代光通信技術「APN for IOWN(アイオン)」の実証実験の成果を発表。VTuberとのファンミーティングでスタジオと遠隔地をリアルタイムで繋ぎ、高品質かつ低コストなイベント開催を実現したと説明しました。さらに、参加者の両手でVTuberとハイタッチできるセルフハプティクスも成功したと公表しました。
今回はオンライン記者会見で公開された内容を紹介します。
「APN for IOWN」を活用した高品質なVRファンミーティングを実現し、運営コストも約20%削減
そもそも「APN for IOWN」の「APN(All-Photonics Network)」とは、通信ネットワークのすべての区間で光波長を専有して、大容量のデータを低遅延かつ省電力で実現する新技術です。従来のWANサービスよりも無駄なく通信できるため、例えば、コンサートやイベントの映像をリアルタイムで伝送するといった技術に活用できると期待されています。
「IOWN」は、年々増加している膨大な電力消費という課題を解決するための次世代情報通信基盤の構想を指します。つまり「APN for IOWN」は、持続可能な次世代通信ネットワークと言えます。
今回、NTTとNTTドコモは、複数のVTuberが出演し交流ができるファン参加型ライブ「ConnectVFes(2026年3月15日開催 )」 の特別イベントにて、「APN for IOWN」を活用した実証実験を行いました。
本イベントでは、NTTドコモのXRスタジオ(東京都港区台場)と離れた場所にある実験会場(東京都武蔵野市) を「APN for IOWN」で接続。高品質・高臨場なVRファンミーティングを実現し、ファンとのリアルタイムなコールアンドレスポンスを可能としたそうです。
従来型の一般的なVTuberのライブは、スタジオでのモーションキャプチャーで収録・撮影し、XRコンテンツを生成、各配信プラットフォームや会場に配信する仕組みとなっています。
しかし現地開催では、短距離間で遅延なく映像・音声を伝送するためにライブ会場内に仮設スタジオを設置する必要があり、機材・スタッフ等の移動といったコスト負担の大きさが問題となっていました。一方で、インターネット配信では高品質な映像や自然な会話の提供が難しく、事前収録では臨場感に欠けるため、十分な盛り上がりを生み出せないケースもあります。
今回の実証実験では、スタジオ設備と会場設備の接続に「HDMI信号変換技術を搭載したインターフェース変換装置」を活用しており、映像・音声品質の劣化や通信に起因する遅延変動なく、遠隔地への映像・音声伝送が可能であることを実証。 ライブ会場内に仮設スタジオを設置する現地開催と比較して、運営コストを約20%削減できたと明らかにしています。
参加者自身の手を利用した、VTuberとのハイタッチを実現
また、今回の実証実験を象徴するのが、バーチャル空間におけるファンとVTuberのハイタッチを、「セルフハプティクス(自身の身体を利用した触覚技術)」によって実現したことです。
本来バーチャル空間ではキャラクターと触れることはできません。しかし、NTTが研究開発したセルフハプティクスによるVR触覚コミュニケーション技術と、市販のVRヘッドセットを組み合わせることで、参加者がVR空間でVTuberとハイタッチした触覚を実感できたと述べました。
具体的には、まず参加者はVRヘッドセットを被り、VR空間上にはバーチャルキャラクターとファンのアバターが描写されます。VR空間で会話していると、徐々にファンのアバターの左手が外側にずれて描画され、バーチャルキャラクターの左手がファンの左手とシンクロします。実空間でファンが自身の両手を重ねると、VR空間でバーチャルキャラクターとハイタッチした実感が湧くという仕組みとなっています。
説明によれば、描画位置を実空間の位置とずらした視覚効果を用いることで、視界的な錯覚とリアルな触覚により、実際には自分の手に触れていながら、あたかもバーチャルキャラクターと物理的にハイタッチしているかのような感覚を得ることができるそうです。
本VRファンミーティング実験参加者(計39名)を対象に実施したアンケートの結果、「ハイタッチをした感覚」や「バーチャルキャラクターとの一体感」などの項目において高い評価を得たとのこと。また、参加者全員がファンミーティング体験の満足度について「やや満足」以上と回答するとともに、 「また参加したい」との意向を示したという結果となりました。
今後NTTとNTTドコモは、「APN for IOWN」をはじめとする最新技術を活用し、VTuberとファンがリアルタイムにインタラクティブな交流を行えるサービスを提供するなど、新たなエンターテインメントサービスの創造を目指すと明かしました。また、NTTグループだけでなく、パートナー企業や国内外のスタジオや会場とも連携し、ビジネスを拡大していくと述べました。
「APN for IOWN」は「大阪・関西万博2025」のNTTパビリオンや「SHINAGAWA TECH SHOWCASE 2026」 などでも採用されており、すでに高い評価を受けています。今回のセルフハプティクス技術と合わさることで、VTuberとファンとのファンミーティングがより精度の高いものへと進化することに期待が膨らみます。








