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VRChat 2024.08.28

VRChatでの国際交流に便利 多言語対応の翻訳システム「VRCT」を試してみた

ソーシャルVR「VRChat」では、日本人だけでなく、多くの海外ユーザーが参加し、お互いに交流を楽しんでいます。しかし、大きな問題となるのが「言葉の壁」です。「VRChat」には標準翻訳機能などは用意されておらず、国際交流の際には、自分で日本語以外の言語を話すか、テキストチャットの使用がほぼ必須となっています。

「VRCT」は、この状況を改善することを目標とした、クリエイター(みしゃさん)によるプロジェクト。アバターのチャット欄に、音声をリアルタイム翻訳したテキストを表示できるソフトウェアです。

「VRCT」は、英語や中国語、フランス語、ドイツ語、オランダ語など多数の言語に対応しています。また多くの言葉の“方言”が実装されているのも特徴。例えば英語の場合「イギリス英語」や「アメリカ英語」といった、複数のアクセントから、一番マッチするものを選択することができます。

インストールの手順

「VRCT」本体は、マーケットサイトBooth上で無料配信されています。みしゃさんのストア(m’s software)のストアページからダウンロードして解凍するとインストーラーが表示されるので表示に従って操作を進めます。


(フォルダを解凍した後、このアイコンをクリック)


(UI言語は日本語、翻訳機能は「使用する」にあらかじめ設定します)

インストールが完了すると下記のメイン画面が表示されます。マイクの使用が求められた場合は「許可」をクリックしてください。「VRCT」で翻訳機能を使用するためには、画面左の「翻訳」と「音声認識(マイク)」を有効化します。

「VRCT」は、デフォルト状態では“オフライン翻訳”を使って音声を訳すシステムになっていますが、“翻訳エンジン”設定から「Google」や「Bing」に切り替えることが可能。DeepLの認証キーを所有している場合は、それを使用することもできます。

また、「VRChat」内のチャットボックスに加えて、オーバーレイツール「XSOverlay」にテキストを送信できる機能も実装されています。

「VRCT」を使用するためには、あらかじめ“OSC”を「VRChat」側で有効化しておく必要があります。OSCの設定は、スティック操作から開ける“エクスプレッションメニュー”や、オプション欄から行います。

翻訳機能を試してみた

本記事では、和英翻訳をテストするため、「VRCT」を“日本語(元音声)→英語(翻訳テキスト)”に設定して試験を行います。

「VRCT」が上手く動作すると、以下のようにテキストボックスが表示されます。せっかくなので、まずは自己紹介してみました。

筆者が喋った日本語「私はもぐらVRライターです」の後ろに、英文テキスト「I`m a VR Writter」が表示されました。もぐら(mogura)という固有名詞は認識されませんでしたが、意味としては、ほぼ完璧に翻訳できている印象です

次はもうちょっと長く、かつ少し“ややこしいこと”を喋って検証を行います。

1枚目では「私は今、メタバースVRChat(を)遊んでいます」と喋りましたが、メタバース(Metaverse)が正しく翻訳されず、「MetaTrader」と英訳されてしまいました。筆者の喋り方もあるかと思いますが、新しい単語については“判定”が厳しいのかもしれません。

2枚目では「このワールドは、VRChatの初期ホームワールド(です)」とテスト。訳文は「This world is the first home world of VRChat」なので、ほぼ完璧と言っていいでしょう。

最後は、あえて早口言葉に近いレベルまで加速させて喋ってみました。結果は、以下の通りです。

「VRChat」というワードが“VR cc”になったのですが、その他は、しっかりと翻訳してくれました。

何度かテストした感覚としては、喋るときにハキハキと発声すると翻訳(と音声認識)の精度が高まる印象でした。例えば「私はもぐらのVRライターです」の場合「私は/もぐらVRの/ライターです」といった風に喋ると、認識率がアップする感覚です。

他にも「テキスト入力からの翻訳」や「スピーカーから認識した音声翻訳」といった機能も用意されており、シチュエーションに合わせて使い分けることができそうです。

国外交流にとっても便利なツール

「VRCT」は、自動翻訳を「VRChat」で気軽に使える、非常に便利なツールです。簡単にインストールできる上、無料でダウンロードできるのも嬉しいところ。設定から、より高精度な翻訳モデルに変更できますが、テストした限りでは通常版でも、特に問題は感じませんでした。実際に会話していて、不都合が出た場合に切り替えるのが良いかと思います。

同ツールは最大3つまで、“翻訳セッティング”を保存可能(例:「日本語→英語」「日本語→韓国語」「日本語→中国語」)。英語を使うフレンドと喋った後、切り替えてアジアの友人とトーク…といった使い方もできます。

パブリックインスタンスはもちろん、フレンド+といった場所でも、友人経由の海外勢と出会うことのある「VRChat」。「VRCT」を使って、コミュニケーションにトライしてみませんか?

「VRCT」のダウンロードはこちら

執筆:井文


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