6月4日デジタルハリウッド大学でVRクリエイティブアワード2016が開催され、ファイナリスト7作品のデモ展示と、審査員と一般投票による最終審査が行われました。
一般投票の仕組みは、その中から選ばれた7作品を実際に体験して、投票できるものです。どれも面白いですが、これまで紹介したことのない未体験のものの中から3つご紹介します。
ソードアート・オンライン ザ・ビギニング Sponsored by IBM
https://www.youtube.com/watch?v=CHNlez9S1HA
株式会社ワン・トゥー・テン・デザインの制作したVRコンテンツ。アニメ等を中心に人気の『ソードアート・オンライン』の世界を再現したものです。体験者は、MMORPG『ソード・アート・オンライン』のアルファテスターとしてゲーム内に入り、原作のように街中を歩き、迷宮でボスモンスターと、パーティーの仲間と共に戦うもの。2016年の3月に都内で開催された「アルファテスト」という限定の体験会で展示され話題になりました。
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3月のアルファテストでは複数人同時プレイが可能でしたが今回は一人ずつの体験。VR空間内の仲間はCGのキャラクターで、自分のアバターは事前に用意されたアバターとなります。
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Oculus RiftとLeapMotionとOvrvisonがついたヘルメットを被り、足には足踏みしたことを検知するセンサーをつけ、さらにOculusのカメラだけでなくKinectも使用します。
冒頭はアルファテスターであることの説明が音声でながれます。ログインしてゲームの中に入るところはまさにアニメ版のままです。
着いた先は賑やかな街の広場で、話かけてくる空中を泳ぐ水晶のようなマスコット、IBMが作ったコグニティブ・コンピューティング・システムのコグがいます。会話ができるわけではないですが、メニュー画面の操作方法や、移動方法、武器の使い方など教えてくれます。このコグ可愛いので触ろうとするとツツーと逃げていくのがますます可愛いです。
メニュー画面の開き方は、アニメで見たとおりに右手を上から下に振り下ろす方式。アニメ同様に空中に半透明のメニュー画面が現れ、指で決定を押す。効果音もそのまま再現されています。一番ワクワクする瞬間でした。
移動方法はその場で足踏みをすると見てる方向に進むというもの。膝を高く上げると反応しやすいので膝を真上に上げることになるため、現実で「歩く」という感覚とは異なります。それでも自分の意思で広場をつっきり店の軒先にある品物を自分の手で持ったり、払い落としたりできるとまさにSAOの世界の中に居ることを実感できます。
武器をメニュー画面で装備すると、迷宮のボスのいる扉の前へとシーンが変わります。本来なら一緒にいるアルファテスターがいるのですが、今回は一人。扉が開くとNPCの仲間がモンスターと戦っています。ボスが目の前に飛び降りてくると見上げるほどの大きさ、剣を振ると当たるのではと錯覚します。自分の武器を振り攻撃、両手を突き出してガードを繰り返し、ボスのHPを削っていきます。アニメと同様のパラメーターが減っていくのがわかります。
ボスの攻撃でこちらのパラメーターが真っ赤の瀕死状態になるとソードスキル発動のタイミングです。ソードアートオンラインの主人公キリトのように左手にも剣を持ち二刀流で両手を振りまわして、両手を振り下ろして発動。雷撃や爆発などのエフェクトとともにボスが吹っ飛び霧散しました。
キラキラとボスの欠片が舞い落ちる中、まわりの仲間も手を振り上げて喜んでいるところで、終了のお知らせです。「ログアウトしてください」というコグの指示でメニューを開き、見納めにもう一度周りを見回してからログアウトボタンを押しました。ログインしたときと同様にトンネルの中を通るような映像の先には、実際の現実に見えている光景。白衣を着たスタッフが「これで終了です」と顔を覗き込んでいるところです。ヘッドマウントディスプレイを外す前に外界の映像が見えることで帰還したという感覚を強く感じました。始める前には気分を盛り上げるためなのだろうと思っていた白衣が、HMD越しだと本当にどこかの研究施設で被験者としてあっちの世界にいたような、現実ですら、ソードアートオンラインの作品の一部になったような感覚に襲われました。
今回の仕組みは、ソードアートオンラインに登場するナーブギアとは比べようもないものです。しかし、技術面を演出面で補おうとする、原作への愛がひしひしと感じられるコンテンツでした。
SYMMETRY(シンメトリー)
SYMMETRYは、ディヴァースインクが建築業界向けに開発している制作ツール。VRの中に山を作ったり、地面を掘って海を作ったり、建物や人、車などを置けるなど好みの箱庭世界を作ることができます。HTC Viveを使うのであらゆる角度から眺めるだけではなく、箱庭の中に入って実際に歩くこともできます。
右手のコントローラーからは赤いレーザーが出て土地の編集。左手のコントローラーからは青いレーザーが出て建物などのオブジェクトを編集できます。右手と左手でそれぞれ色や質感、サイズや種類など数多くのボタンがあり、体験時間5分ですべての機能を覚えることはできませんでした。全ての機能を覚えて使いこなせるようになると、さらに活用可能性が広がりそうです。
体験では、スタッフに教えてもらいながらやりたいことをやってみました。筆者はウルトラマンが実際にいたらどう見えるかやってみたかったので、まずは地面に人を置いて巨大化させてみました。巨大化はサイズ変更のツールを選択して、サイズを変える白い箱をレーザーで指し自分の方に引っ張るだけです。それだけでぐんぐん巨大化していきます。
大きくなったところで箱庭に入ります、中に入ると巨大化した人の足元から見上げることができました。中に入って見上げると、外から見たより巨大さが足りないようだったので修正。見上げたまま同じようにサイズを大きくすることもできました。
モデルは女性のキャラクターですが、ウルトラマンの足元から見上げた気分を味わえました。
他の人が作った山の上ではどうみえるかと、頂上に瞬間移動したところ足場が悪く足を踏み外しました。周りの山肌が上に上がっていくので落ちたことに気づき、下を向いた瞬間、地面に激突。実際の足は地面についたままでも、落ちていく恐怖はまさにそのもの。いくら安全とはいえ、VR空間内でもあまり落ちたくはありませんね。
他の人が作っているのをその動きとモニターで見ているのも面白いです。コントローラーについてるタッチパッドの選択が感度が良すぎて動いてしまったことが気になったのと、実際は何mになるのかわかるようなスケール感の表示があるとさらに使いやすくなりそうです。
SKY CIRCUS
現在池袋のサンシャイン60の展望台にあるSKY CIRCUSの中から『スウィングコースター』が展示されていました。
スウィングコースターは楽器になり、ブランコ型のジェットコースターに乗って池袋の街中を急スピードでめぐるという内容。コースのレールが楽譜の五線になっているのでジェットコースターで滑走しながら音楽も流れてきます。実際のサンシャイン60にあるSKY CIRCUSでは同時に4人が楽器アバターになって楽しめますが今回は2人同時体験です。
足がつかないVRジェットコースターは何回か体験しましたが、体験者が楽器になって一緒にスタートし音を奏でながらという体験は初めてです。
スタートは一緒でもコースはそれぞれ違うようで筆者が見ていると、他のプレイヤーは右側を移動していたり、上の方を移動したり違うところ移動しています。
足がつかないブランコに乗ってるだけでも、重力や遠心力を感じるのは何回経験しても不思議なものです。また目の前の巨大扇風機で起きる風を受けるのでより臨場感が高まります。
足元の池袋の街並みはかなり細かく再現されており、池袋を知っている人ならどのあたりの上空から落ちているかわかります。電車と並走したり、看板や街路樹に足が引っかかりそうになって思わず足を縮めることも。
最後にはスタート地点のサンシャイン60展望台に戻るのでさらに現実とVRの境目が曖昧にさせる効果がありそうです。
このコンテンツは、池袋のサンシャイン60の展望台にあるSKY CIRCUSにて常設展示されています。
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