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VR動画 2021.12.12

【VR映画ガイド第78回】植物の複雑な世界を180度3Dでのぞいてみよう

180度3Dで植物の世界を圧倒的な迫力のある映像で見せる

「Kingdom of Plants」はイギリスの動物学者、植物学者であるデイビッド・アッテンボローによるアッテンボローシリーズのひとつです。今作では植物に焦点が当てられています。

前方180度のみ立体視で視聴できる形式で、イメージとしては360度その世界に入るのではなく、前方の巨大なスクリーンに高画質な映像が流されている感覚に近いです。しかし、その圧倒的な映像は、没入感を存分に感じることができます。

今回取り上げたシリーズの1つ「Traders and Invaders – Kingdom of Plants」は植物の世界でアブラムシや菌類の果たす重要な役割が映されています。昆虫やキノコが苦手な人は刺激が強く今回は見ない方がいいかもしれませんが、植物の知られざる世界を迫力ある映像で見せる作品となっています。

もともと今作は2012年に3Dで撮影・発表されていますが、イギリスのAlchemy ImmersiveがOculus、ZOO VFX、1.618 Digitalと共同で3部構成のシリーズとして、2021年に8K・60fpsの高画質でVR化しました。

制作したAlchemy ImmersiveはVRなどを用い、没入型の映像を制作しているイギリスの制作会社です。VRを対象とした初の英国アカデミー賞を受賞したことで知られています。Oculus Quest 2の発売に合わせて、小さな昆虫の世界を体感させる「Micro Monsters with David Attenborough」を発表しています。

オススメのポイント

1. 眼の前の大画面で見るということ

この映像は前方180度を立体視できる形式です。360度見渡せるわけではありませんが、高解像度の3Dの映像が前方の視覚をすっぽりと覆い、没入感があります。自分の部屋に数メートルの半球型の高画質モニターがあれば、VRのヘッドセットを被る必要ないのかもしれませんが、現実的にはそれはなかなか難しいです。VRのヘッドセットがあればそれを簡単に実現できるのは素晴らしいことです。

前方180度の立体視によりミクロの世界を大きく見え、今まで気づくことがなかったものが見えてきたりするのではないかと考えます。例えば植物や昆虫から生えている毛や、キノコなど菌類の菌糸などが顕微鏡でのぞくのではなく、自分と同じようなサイズで、しかも3Dで見られるのです。現実感とはまた別のものですが、VRの利用の仕方として注目すべきでしょう。

2. タイムラプスで見えてくるもの

「Kingdom of Plants」シリーズ全体に関して言えますが、今作の大きな特徴はミクロな世界をタイムラプスで記録することそのものにあります。キノコや菌類の時間による変化は、現実の時間ではほとんど感じられるものではありません。しかし、タイムラプスでつぶさにその変化に着目してみると、むしろキノコの側は劇的な変化を起こしていると気づきます。その変化の度合いには驚かされました。

3. VRの可能性

前述した通り、人間より大きなサイズで小さなものを3Dで見ることで、今までは違う視点に気づけます。そう遠くはない未来には、種子そのものを3Dスキャンしてモデルをつくり、立体的にじっくり観察できるようになるのではないかと考えました。

VRの大きな特徴は体感であったり、ありのまま現実の記録であったりすることは間違いないでしょう。しかし、まだ発展途上であるこの技術は、他にも大きな可能性をまだまだ秘めているのだろうと思います。

作品データ

タイトル

Traders and Invaders – Kingdom of Plants

ジャンル

ドキュメンタリー

監督

Iona Mcewan

制作年

2021年

制作国

イギリス

本編尺

5分28秒

視聴が可能な場所

Oculus TV

Trailer

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