Home » デュオも喧嘩もいたずらも、“ふたり”だから出来ること。双海亜美&真美のアイマスMRステージライブレポ


VR体験施設 2018.10.13

デュオも喧嘩もいたずらも、“ふたり”だから出来ること。双海亜美&真美のアイマスMRステージライブレポ

横浜の常設ライブホログラフィック劇場「DMM VR THEATER」にて、9月から開催されていた「THE IDOLM@STER」(アイドルマスター)のMR(複合現実/Mixed Reality)ライブの第2弾公演、「THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROOVE☆2nd SEASON」が10月8日の公演にて千秋楽を迎えました。

10月7日の公演では、双子のアイドル、双海亜美さんと双海真美さんのふたりが主演として登場しました。同じ声のふたりがリアルタイムで共演だと……と、この公演が発表された時は「プロデューサー」(アイマスのファンのこと)を震撼させましたが、フタを開けてみたら”ひとり”ではなく“ふたり”だからこそできる、おもちゃ箱のようなステージでした。そんな亜美&真美公演の様子をレポートします。


(向かって左側の髪をまとめているのが妹の双海亜美さん(写真左)。向かって右側をサイドポニーにしているのが姉の双海真美さん(写真右)。ふたりとも小悪魔でもあり天使でもある)

「THE IDOLM@STER」とは

「THE IDOLM@STER」(以下、アイマス)は、プレイヤーが「プロデューサー」になり、登場するアイドル候補生をプロデュースしてトップアイドルを目指すゲームです。3DCGモデルのアイドルキャラクターによるライブシーン表現の先駆けとなった作品で、現在でも家庭用ゲーム機やスマートフォン向けのゲームがリリースされ続けています。

さらに作品世界での楽曲は実際にCDや配信でリリースされ、キャラクターを演じる声優がその楽曲を現実世界で歌うライブイベントが開催されるのも、このコンテンツの魅力の一つです。「プロデューサー」は声優が歌う姿にアイドルの姿を重ね合わせ、声優とアイドルの両者に声援を送っています。

いっぽうで今年春から始まったアイマスのMRライブは、声優が出演するのではなく、作品世界のアイドルがゲームなどで見ていたのと同じ姿でステージに登場するものです。そして、客席やダンサーとのリアルタイムでのやり取りも含めて、アイドルが「そこにいる」という感覚が味わえるライブパフォーマンスを経験することができます。

過去のMR ST@GE!!のレポートはこちら。
・1st SEASON 天海春香さん主演公演

・2nd SEASON 萩原雪歩さん主演公演

このようにアイドルマスターでは、様々な取り組みによって日常生活にアイドルがいる風景を作り出そうとしています。


(今回のライブに出演する765[ナムコ]プロダクションの13人のアイドル)

亜美真美流のおもてなし

今回レポートするライブで主演を務める双海亜美さんと真美さんは、MR ST@GEに出演する765プロのアイドルの中で最年少、13歳の双子のアイドル。ふたりともものまねが得意でいたずら好き、時々同じ事務所のアイドルに怒られることもあるけれど、何よりみんなを盛り上げ楽しませることが大好きな女の子たちです。

そんなふたりの主演公演、ライブ中だけでなく、劇場に入ったところから彼女たちのいたずらという名のおもてなしがありました。

[wc_row][wc_column size=”one-half” position=”first”]

[/wc_column][wc_column size=”one-half” position=”last”]

[/wc_column][/wc_row]

(トイレのドアにはこのような張り紙が。ちゃんと男女ともにありました)


(前日の公演から置いてあった花束……と思ってよく見たらピコピコハンマー)


(客席最前列の特設シートに仕掛けられたブーブークッション……は事前に発覚し、劇場の外に運ばれた模様。なお翌日には家事が得意なアイドル、高槻やよいさんによって捨てられてしまったようです)

他にも、「本日の主役」と書かれた胸章にいたずら書きをし、劇場内だけでなく本ライブの演出家さんの帽子にも飾り付けたりとやりたい放題。DMM VR THEATERの女性スタッフも髪飾りを使って亜美さんや真美さんと同じ髪型にしていて、ライブが始まる前から「ザ・亜美真美公演!」という空気が感じられました。

“ふたり”が出来たこと。“ふたり”だから出来ること

765プロの事務員、音無小鳥さんによるアナウンスが済むとライブが始まります。最初は765プロ13人のアイドルが3人もしくは5人に分かれて歌うユニット曲コーナーから。定番曲からクールでダンサブルなナンバー、しっとりと聞かせるミドルバラードなど、歌唱者の組み合わせも含めて彼女たちのパフォーマンスの幅の広さを堪能できます。


(客席がオレンジ色のコンサートライトで染まる定番曲、「自分REST@RT」)

そして、暗転したステージの中を現実世界のバックダンサーさんが歩いてきたら主演アイドルの登場の合図です。このパートではリアルタイムモーション技術を用い、アイドルがアイドルの姿でリアルタイムで歌い踊り、客席と会話もできるという、MR ST@GEの大きな見せどころです。

これまでの公演では主演アイドルはひとりでしたが、今回登場したのは亜美さん真美さんのふたり。そして流れる楽曲は「放課後ジャンプ」。この曲はもともとは真美さんのソロ曲なのですが、今回のライブでは亜美さんとのデュオというスペシャルバージョン。真美さんの歌に合わせて亜美さんが「マジでー!?」「ずっきゅーん!?」と合いの手をいれ、ダンサーさんと寸劇を行うという、サービス満点のパフォーマンスでした。


(「放課後ジャンプ」の歌詞の世界を再現するように、真美さんの歌にあわせて女子学生が噂話に興じる様子を演じる亜美さんとバックダンサーさん)

とライブレポートを書いてきましたが、いったんここで解説を。
ゲームやアニメでは、声優の下田麻美さんがひとりで亜美さんと真美さん、ふたり分の声を担当していて、声優によるライブでも下田さんが亜美さんの歌と真美さんの歌をステージで披露しています。すなわち声優が出演するライブでは、亜美さん担当の声優と真美さん担当の声優ふたりが同時に登場して歌うということは不可能なのです。

つまりですね。亜美さんと真美さんが現実世界で(ゲームのように事前収録でない形で)一緒に踊り、ふたりが掛け合いをし合うするということは今回このMR ST@GEが初めてでして、双海家の歴史において、いやアイドルマスターにおいても記念碑的な公演だったのです!

ということで、

こんなポーズを決めたパフォーマンスや

このように真美さんの客席への煽りに楽しそう頬を緩める亜美さんの様子など、これらが舞台で見れるのも実は双海亜美&真美史上、初めてなのです!

さて曲が終わり、背景はステージ袖に。曲間のトークコーナーは、ライブの「観客」とではなく、ゲームと同じくアイドルをプロデュースする「プロデューサー」と亜美さん真美さんが会話をする形で行われました。

ステージパフォーマンスについて、ソロ曲の「放課後ジャンプ」をふたりで歌うようにしたのは「真美のアイディアなんだー」と真美さんが言うも、そこは自分のアイディアだと亜美さんも譲らず、「真美が!」「亜美が!」「真美が!」「亜美が!」とステージ上で喧嘩をし始めました。


(ケンカする時だって、表情も動きも豊かなふたり)

気を取り直して、ステージ上で見せるパフォーマンスを見てほしいと「プロデューサー」たちに相談するふたり。彼女たちはモノマネが得意ということで、765プロアイドルの中からどのアイドルのモノマネをしてほしいかを「プロデューサー」に選んでほしいと言います。
選ばれた「プロデューサー」により、三浦あずささんと天海春香さんのモノマネをすることになった亜美さん。モノマネがやりやすいアイドルと苦手なアイドルがあったようですが、声だけでなく動きもバッチリきめてくれました。


(声だけでなくしぐさも含めて三浦あずささんになりきる亜美さんと、横でモノマネの出来に大はしゃぎの真美さん)

その後、真美さんが「エセ関西弁をしゃべるけど本当は本当に大阪出身のたこ焼き屋の吉田さん」という難解なモノマネをし、さらにふたりでジェスチャーゲームの練習風景を披露。それだけでなく、トークパート中はジェスチャー付きで激務の「プロデューサー」の腰をいたわり、千葉から来た「プロデューサー」に千葉ビームを放ち、京都からの「プロデューサー」には即興で作った京都の歌をプレゼントするなど、舞台袖でも終始「プロデューサー」をおもちゃにして遊ぶ……ではなくコミュケーションで場を盛り上げてくれる亜美さんと真美さんでした。


(客席に向けて千葉ビーム発射する現場。京都の歌も含めて、なんで即興なのにそこまで息ぴったりなの!?と思うほどのコンビネーション。さすが双子!)

ライブの大トリで再び登場したふたりが歌ったのは、今度は亜美さんのソロ曲「トリプルAngel」。もちろんこちらもふたりの特別デュオ版で、亜美さんの「パヤパヤパー」の声に真美さんが「パヤパヤパー」と返したり、亜美さんのダンスをその場で真美さんがマネをしたりするなど、仲の良いふたりならではのパフォーマンスを見せてくれました。また、この日の最終公演で気分が盛り上がったのか、間奏中の観客席への煽りとして突如ソーラン節を歌いだしたりするなど、はちゃめちゃっぷりもてんこ盛り盛りでした。


(ゲームやアニメなどでメモリアルな扱いの衣装、アクセサリーを身に着けてますが、それでも亜美さん真美さんのフリーダムさはいつも通り)


(亜美さん真美さんダンサーさんによる、次元をまたがった四者四様の「いや~ん」の表情。MR技術の間違った活用法 ※誉め言葉)

最後に、来場した「お客さん」にこれからも世界中を盛り上げていくことを宣言したのち、亜美さんと真美さんが声を揃えて挨拶をしてライブを締めました。

作品世界のライブを現実世界でそのまま体験できた1時間

長年続いてきた「3DCGのキャラクターが次元を飛び越える」取り組みですが、ここ一年、いやここ半年で一気に様々なところで見かけるようになりました。筆者がアイドルマスターのMRライブで感じたのは、「作品世界を飛び越えてアイドルたちが登場した」というよりは、「作品世界のライブってこういう感じなんだろうなあ」という感覚です。ゲームやアニメの中のライブでは合間合間しか描かれないけれど、実際に見に行ったらトークなども含めてこういう流れなんだろうなあ、というものがそのまま見れました。

それは、ライブ中の表情豊かでにぎやかなふたりの、ゲームなどでいつも見ているのと同じパフォーマンスから来ているのもありますし、さらにバックダンサーも演出も舞台外の取り組みも含めた、全てがよい感じで組み合わさっているからこそできたことだとも思います。

こちらの現実の次元の人とキャラクターがいる次元の人が触れ合うには、次元の境目を越えようとするだけでなく、次元の境目を無かったことにする、地続きにしていく、つまり「そこにいるのが自然だと思わせる」という方向もあると、そんなことを再認識したライブでした。

(関連リンク)
「THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROOVE☆2nd SEASON」イベントページ
https://idolmaster.jp/event/dmm_theater2nd.php
「THE IDOLM@STER」公式サイト
http://idolmaster.jp/
DMM VR THEATER 公式サイト
https://vr-theater.dmm.com/

筆者による蛇足

そうそう、今回の公演でついに長年夢見てた亜美さんと真美さんの共演が叶いました。なんてたって、ゲーム中でも12歳の頃の亜美さんと真美さんは「ふたりでかわりばんこに『双海亜美』というアイドルをやっていた」ので、同時にステージ上に立つことができませんでしたからね。その時から考えると……うぅぅ(感涙)。

ってことは、アイマスのMRライブも複数人による主演回が他にもあっていいんじゃないですかね。765プロの水瀬伊織さんと高槻やよいさん、星井美希さんと秋月律子さんなどのデュオも見てみたいですし、もっと多くの人数とのライブ、あるいはいろんな世界のアイドルとの出会いがあるかもしれません。3rd SEASON、もちろん待ってます!

©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード