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VTuber 2020.07.20

VTuberと声優の共通点や違いは? 民安ともえ(たみー)さんに聞く

リトルバスターズ!」の棗鈴役や「グリザイアの果実」の入巣蒔菜役など、これまで数多くの美少女ゲームの声優を担当している民安ともえさん。「リトルバスターズ! ナツメブラザーズ!」や「民安ともえと青葉りんごの神プロRadio」といったラジオ番組でもMCとして活躍し、「VOICEROID+ 弦巻マキ」のボイス担当でも知られています。

2018年12月からはVTuber「たみー」としての活動をスタート。声優の成瀬未亜さんとともにYouTubeチャンネルで生放送を展開しています。ホロライブ所属さくらみこさんやあにまーれ所属因幡はねるさんとのコラボ等が話題となり、現在多くのファンから注目されています。

今回は声優とVTuberの両方を経験されている民安ともえさんに、ふたつの分野の共通点や相違点、今後の展望などをお聞きしました。

まずは「Live2D」の勉強から

――そもそもVTuberを知った経緯はどういったものでしたか?

民安:

もともと2018年1月ごろ、全く別の方面から声優「民安ともえ」としてVTuberのお仕事を依頼されたのが最初のきっかけですね。結局そのお仕事の話自体は流れてしまったのですが、フルトラッキングでの収録を何度か試させてもらったんです。それがここ数年で一番「おもしろい!」と思ったんですね。それで仕事が無くなった後も、個人で活動できないかなと考えていました。

――ちょうどVTuberが注目されはじめた頃ですね。

民安:

当時はVTuberのことを調べて、キズナアイさんや輝夜月さんなどの動画を見ていました。特に輝夜月さんはすごく好きになって、ライブに行くほど夢中になりましたね。それで、VTuberとしてデビューするために、まず「Live2D」を勉強しはじめました。最終的には誰かにボディ作成をご依頼しようとは考えていたのですが、自分でもある程度は知っておいた方がいいなと思ったんです。

最終的には、「リトルバスターズ!」のときにお世話になったアニメーターの飯塚晴子さんに、たみーちゃんのママになっていただき「Live2D」は自分で移植作業をすることになりました。

――いちから「Live2D」を学ぶのは、非常に大変だったのではないでしょうか?

民安:

最初はめちゃくちゃで、目がひっくり返ったり、首しか動かなったりといった感じでした。そこで大阪在住のプロの方に教えていただいて、いちから作り直して出来上がったのが今のモデルです。ちなみに、同じチャンネルで活動している声優の成瀬未亜ちゃん(みあぞー)は私から話を聞いた後、一晩で自分でボディを作成して、「Live2D」のテンプレートに当てはめて動かしていましたね。

――当時のVTuberはデビューに至るまでのハードルが今より高かった印象です。それを超えられたのは何故でしょうか?

民安:

私が純粋にヲタだからですかね(笑)ゲームの「RPGツクール」のような感じで、少しずつ作っていくと、段々とかたちになってくるので、自分のモデルにすごく愛着が湧いてくるんですよ。どんなに動きがぎこちなくても「超かわいい!」と思っていました。だから続けられたんじゃないかなと。

――デビュー前はVTuberとしてどんな活動を予定していましたか?

民安:

当時はゲーム実況もやったことがありませんでしたし、生放送も自分のバンド活動以外では経験がなかったので、とにかく手探りでした。デビュー当初は「やることリスト」的なものを作成していたのですが、3ヶ月くらいでネタが尽きてしまいました(笑)。デビュー半年ほどは、週1の動画投稿と週末に2人で生配信くらいのペースでまったり続けていましたね。


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――現在は積極的にYouTubeでの活動を行っていますが、どういった変化があったのでしょうか?

民安:

3月から成瀬未亜ちゃんが家庭の事情でお休みになってしまい、このままチャンネルから人が離れてしまうのは寂しいなと思ったのがきっかけでしたね。ちょうどコロナの騒ぎもはじまって、声優のお仕事も一旦ストップになっていたので、この空いた時間を活用して積極的に配信をしてみたら、思った以上にうれしい反響をいただけました。

キャラクターを重視するか、人間性で勝負するか

――これまで、民安さんは多くの美少女ゲームやアニメなどに声優として出演されています。声優としての活動とVTuberとしての活動を比較したときに、どういった共通点や違いがあるとお考えですか?

民安:

声優のお仕事にはキャラクターを演じたままラジオをするお仕事があるのですが、その場合はよりそのキャラクターであればあるほど、ファンの方には喜ばれます。なので設定などを忠実に守るようにするのが一般的です。

一方、VTuberって「生きている感じ」がないと、ファンに喜ばれないという印象です。人間臭さがどれだけ配信から伝わるのかが大事な感じですね。だから「声がかわいい」「話が聞き取りやすい」「キャラクターの魅力が伝わる」というだけではなく、人間性の魅力が問われてくるのが面白いですね。

私の場合、声優としても素を出してお喋りしすぎるタイプなので(笑)、そういった面では相性が良かったのかもしれません。

――デビュー当時から自分の素の部分で勝負しようという感じでしたか?

民安:

確かにそうだったかも……いやいや! 今思い出すとキャラを作っていましたね(笑)。たしか生配信を始めた頃から諦めていった印象ですね。

私の声優活動とVTuber活動の共通点として思い浮かぶのは「ラジオっぽさ」ですかね。以前、配信を見に来てくださった視聴者の方に「ラジオっぽいですね」とコメントもらったことがありました。当時はその言葉の意味があまりピンときていなかったのですが、たしかにフリートークにしても対談にしても、しっかりとまとめた上で話そうという気持ちがあるので、いわゆる雑談より少しテーマ的なものが感じられるのかもしれません。

――VTuberの中でも、しっかりとトークテーマを構成するタイプやその場で考えたことを視聴者に向けて話すタイプ等、様々なトークスタイルがある印象です。

民安:

私の場合はこれまでのラジオ経験が、VTuberとしてのトークに反映されたのかもしれませんね。


たみらじ!!第1回

VTuberたちの輪の中から見えてきたものは?

――現在、因幡はねるさんや舞元啓介さん、あっくん大魔王さんなど、さまざまなVTuberの方と積極的にコラボされていますね。

民安:

デビュー当時は声優兼業と公表しながらVTuber活動をされている方が非常に少数だったので、この界隈に馴染んでいけるのか不安でしたね。もちろんVTuberの方の中に知り合いは全くいませんでした。

私たちのYouTubeチャンネルの視聴者層を調べてみると、他のVTuberさんのファン層とあまり被っていないんです。つまり視聴者さんも私たちからVTuberという存在を知った方が多かったみたいなんですね。なので、私たちがコラボしたVTuberさんを見るようになったという方もいらっしゃいますね。

――VTuberさんの中で特に印象に残った出会いなどはありましたか?

民安:

因幡はねるちゃんはすごかったですね…! 今年の4月に2人でコラボ配信をしたのですが、それきっかけでチャンネル登録者数が1万5千人ほど増えたりと、ものすごい反響がありました。

そもそもコラボできたきっかけが、ある日、大好きなねるちゃんが出てくる夢を見たんですよ。その夢の内容をTwitterに投稿したら、因幡組(因幡はねるさんのファン)の方がご本人までつないでくれて。配信では、必要なリアクションを必ず返してくれますし、何よりかわいい! 本当にコラボうれしかったです。


【Vエロゲ声優チャレンジ】エロゲ主人公に、俺はなる!【#Vエロゲ布教】

また舞元啓介さん、MZMコーサカさん、さくらみこちゃん等と一緒にコラボした「Vエロゲ声優チャレンジ」も思い出に残っています。これは、元々エロゲが好きを公言していたさくらみこさんと繋がって実現した企画でしたね。

VTuberとの繋がりが広がったきっかけとしては、朝ノ瑠璃さんやふくやマスターさんが色んな方をご紹介してくださったのも大きいと思います。

――以前から民安ともえさんのファンだった方々には、民安さんがVTuberの輪の中に入っていく過程を見るのはとても新鮮だったのではないかと思います。

民安:

最初はVTuberの方々から「入ってくるな!」と言われるんじゃないかとビクビクしていました。バーチャルな存在として活動している方々の中に、生身を持って行動している私が混ざるのは嫌がられるかもしれないという心配がありましたね。

実際は全然そんなことが無く、皆さん本当に親切で、VTuberのファンの方々も本当に温かい方が多いですね。特に心に残っているのは、因幡はねるちゃんと対談したときに、先程のような心配について話してみたら「VTuberはまだ始まって間もない文化だから、どんなかたちがあっても良いと思う」と言ってくれたことです。その言葉には本当に勇気をもらえました。

VTuberの魅力のひとつは「かわいさ」

――今後VTuber「たみー」さんの活動から、声優・民安ともえさんのことを知る方も増えていくのではないでしょうか?

民安:

そうですね。私は結構長い間「民安★ROCK」というバンドをやっていたのですが、結成して4、5年目ぐらいの頃に、バンドの活動から私のことを知ってくださる方が現れるようになったんですね。このままVTuber活動を続けていれば、そういった逆転現象が起きる可能性はあると思います。

――民安さんから見て、現在のVTuberの魅力はどういうところにあるとお考えですか?

民安:

色々ありますが、すべて「かわいい」に集約されるんじゃないかと思います。「かわいいは正義!」は揺るがないですね。例えば「民安★ROCK」はオリコン9位を記録したことがありましたが、YouTubeではそこまで認知度が高まることはありませんでした。でもみあたみちゃんねるを始めた時、もう事前登録の時点でこれまで以上に沢山の人に見てもらえたんです。それはやっぱり可愛いからかなって。自分が可愛いって堂々と言えるのもスゴイ事ですよね(笑)

――長時間の配信でも視聴者が見続けられるのは、かわいいキャラクターが画面に映っているからというのも、理由の1つになりそうですね。

民安:

元々私たちはヲタだから、かわいいモノを見たいんですよ(笑)。

――非常に興味深いお話ありがとうございました。最後に告知や今後の目標などあれば、お聞かせください。

民安:

7月23日(木)に「VTuber深夜大喜利」第2回が配信予定です。これは、シモネタをテーマとした大喜利大会なのですが、私がずっと以前からやりたいと考えていたものでした。第1回は非常に好評をいただけたので、ご期待いただけると嬉しいです。

また、29日(土)に因幡はねるさん、兎鞠まりさん、天開司さん、舞元啓介さんの4名をゲストにした「V食わず嫌い王」を開催します。こちらも何か面白いことを仕込んでいこうと思います。

今後の目標は3DでのワンマンLiveですね。「民安★ROCK」が解散してしまったので、現状お披露目できなくなってしまった曲が数多くある状態なんです。そういった曲を再び歌えるようになれば嬉しいですね。だから「たみー」ちゃんとして、民安ともえがいつもやってきたようなLiveをやってみたいと思っています。

それから秋口に大きな発表ができると思いますので、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです!

執筆:ゆりいか


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