現在行われているVRChat上の大型イベント「Sanrio Virtual Festival 2025(サンリオVfes)」に、アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」のスクールアイドルユニットAqoursが出演している。
Aqoursは9周年にあたる2025年の6月21日(土)22日(日)のワンマンライブ 「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~」で本格活動を終了する旨を発表しているのもあり、その前にVRのスタイルで観られるこのステージは非常に貴重だ。
有料ライブのひとつとして「ラブライブ!サンシャイン!!」ファンはもちろん、知らない人でも観る価値が十二分にあるので、迷っている人がいたら背中を押したい。Aqoursのライブは3月9日(日)と、タイムシフト公演の17日(月)、あと2回観ることができる。
「ラブライブ!」シリーズのリアルイベントでは声優が役として登場するため「降幡 愛(黒澤ルビィ役)」のような表記をされることがあるが、今回は声優出演ではない。あくまでも2次元で生まれた3DキャラクターがVR技術で魂を吹き込まれており、参加者がVRヘッドセットを使って会いに行くものだ。
頭が追いつかなくなる怒涛のVR展開
オープニングで映像が流れてから(詳細は後述)、序盤は9人並んでの自己紹介と、1曲目「君のこころは輝いてるかい?」の歌とダンスのパフォーマンス。
ステージ上に9人も並んで、バラバラに動きながらフォーメーションを変えてダンスしているのはかなりの迫力。眼の前で動いているだけでも満足度は十分高かった。
ところが途中からハローキティ、マイメロディ、クロミといったサンリオキャラクターが観客の後ろ側に勢揃いし、方向性ががらりと変わる。サンリオキャラクターたちはAqoursのライブの演出をする、と言い出す。2曲目「Step! ZERO to ONE」からは、ライブの迫力が桁違いに華やかなものになる。
ステージががらりと変わり、Aqoursのメンバー9人がネオンの箱に入ったような状態でダンスと歌を披露。一気に幻想的できらびやかな舞台に早変わり。それぞれの頭にはサンリオキャラクターを模したアクセサリーが付いており、このステージならではのコラボレーションが楽しめる。
その後、舞台そのものが消滅。Aqoursメンバーが輪になって、内側にいる観客を囲む形式に変化した。この状況になると、VRChatの観客は、個々のメンバーの場所にかなり近寄ることができる。推しの絶好のシャッターチャンスだ、ぜひとも駆け寄ろう。最高のファンサービスタイムだ。
まだまだ終わらない。今度は入れ替わって輪の内側にAqoursの面々が入り、観客は円の外側から彼女たちを観ることになる。先ほどのフォーメーションが個々を観るパートだとしたら、こちらは全員を観られるパートだ。
周囲は夜で、灯台などの様子も観られる。このあたりから既に、SNSを見るとアニメ版との関連を予想していたファンもいたようだ。
またしても舞台が切り替わり、今度は規模が大きそうなライブステージに変化。カラフルなペンライトが揺れ、会場の華やかさとボルテージは「未来の僕らは知ってるよ」にあわせてどんどん高まっていく。
先程までの円形のステージが、ファン側の観る夢だとしたら、こちらはアニメのオープニングや1期終盤の地区予選のシーンにも似た、Aqoursとファン双方が観ている夢を再現しているようにも感じられた。
そして船へ。ここで歌われるラストの曲「勇気はどこに? 君の胸に!」は「ラブライブ!サンシャイン!!」2期のエンディング曲だ。
ここからはVRならではの演出で、舞台が目まぐるしく変わる。途中から船と観客席が水没していくおもしろ演出も入ったりと、かなり自由自在だ。
サンリオキャラクターたちの花火もかわいらしい。
このパートからは一層注目だ。サンリオキャラクターのアクセサリーが外れ、いつものAqoursに戻り、アニメで見せてくれたエモーショナルな物語の文脈がライブに取り込まれている。
もうここまで派手になったら何が来ても驚かない……と思ったところで、まさかの水の上の小さなステージにたどりつく。
ここがどこなのかは明示されない。ただ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台である沼津周辺であることは、連想しないわけにはいかない。大きな舞台から日常的な場所に戻って来た、観客と距離感が再び近い感覚になった演出の後、最高のカタルシスが待っていた。
まるでアリーナかドーム。巨大な会場の中でAqoursの面々は歌い、踊った。
2期の本大会のステージか、あるいは実際のライブをなぞっているのか。あくまで観ている側の想像に委ねられるものでしかないが、アニメを知らなくても彼女たちが成長してきた物語のイメージが膨らむパートだ。
VRでのライブは空間を自在に作り変えられるのが魅力だ。おなじサンリオVfesで実施されているパレード「SHOWBYROCK!! ましゅまいれっしゅ!! キセキかもしれないレゾナンス」でも、特大アリーナと小さなライブハウスを行き来するような演出があったが、AqoursのこのライブステージもVRだからこそ体験できる広大さだ。
すべてのライブが終わり、元のワールドに戻るかと思いきや、最後の瞬間だけ、夕陽の砂浜に「Aqours」とかかれた光景の中に観客が置いていかれる。もう散々エモを心に流し込まれて満腹なところに、特大のエモが来た。しかも本当に一瞬でこのシーンは終わってしまう。
砂浜の「Aqours」の文字はアニメのCM明けなど「ラブライブ!サンシャイン!!」に幾度も出てくる、こだわりのパートだ。中でも「u」の字が小さな「U」になっているのは、アニメ1期3話でグループ名を決めるときに出てきた独特な表現。つまり観客はAqoursの始まりの場所に立っていたのだ。
今回のサンリオバーチャルフェスでは、1ステージあたり30分で入れ替わりになっている。Aqoursステージはその30分をぎりぎり限界まで使っていた。
頭から最後まで、何か感動を伝えようと技術の粋が尽くされていた。キャラクターひとりの動きをとっても、繊細にこだわっているのが伝わってくる。
#サンリオVfes Aqours
ステージを客席から観ていたはずが、ステージが切り替わって目の前まで来てしまってどきどきした✨
Aqoursが円陣組んでた時に、後ろでサンリオキャラクターズも参加してたの可愛すぎて…!
約29分間、ほぼ時間いっぱいまでのパフォーマンスだった!#PR pic.twitter.com/2faIhtZ27s— 魔法少女シュネー❄️💫サンリオVfesアンバサダー (@MagischerSchnee) February 24, 2025
知っている人も知らない人も楽しめる2次元アイドルライブ
今回のAqoursのライブは、構成とVRの使い方が非常にうまく計算されていた。
特に重要なのは、ファンが十分満足できて、かつ初見の人も興味を持てるように構成することだ。今回のサンリオバーチャルフェスはAqoursファンばかりではないからこそ、VRライブでどうエンタメを見せるか、本質が問われることになる。
その点、今回のライブはとても意欲的だった。まずバンバン場面が転換し、9人がダイナミックに歌って踊るジェットコースター的展開なので、眼前の面白さとして飽きる暇がない。前半は特にサンリオキャラクターの存在感が大きいので、サンリオファンも楽しめる部分が多い。
加えて後半は、Aqoursを知らなくてもエモを感じさせるような、普遍的な共感を招く演出が多かった。SNSであがっていた「『ない記憶』に包まれた」という感想は、今回のライブの的を得ているように思う。
このあたりは、空気の中に入り込める、臨場感を体験できるVRの本領だ。知っていないとのれない、という部分はほぼなく、文脈の押し付けがないのもうまいところだ。
ラブライブ ミリしらだったのですが、サンリオキャラ勢揃いなのも嬉しすぎたし、何より物語性のあるライブ演出がめちゃくちゃよくて、Aqoursをずっと応援してきたかのような「ない記憶」に包まれてしまった…凄かった#サンリオVfes #サンリオVfesメモリーズ pic.twitter.com/2nUYbOAkv4
— もかはん (@mocahan_pp) February 25, 2025
ラブライブ!からAqoursのライブ!凄かった…
自分ラブライブはミリしらなんですが、初見でも分かるくらい原作ファンの方達へ向けた愛とファンサービスがたっぷりの圧巻の時間でした
触れ合えるぐらいの距離に本人たちが来てくれる感動、自分の好きな作品でコレやられたら卒倒しますね#サンリオVfes pic.twitter.com/takGD2HgHF— Zenmai (@zenmai223) February 25, 2025
今日の #サンリオVfes アーティストライブその3!
3組目はAqours!
初代ラブライブの続編で、何人か名前を知ってる…くらいの知識しかない私でも心をグッと引き込まれる最高のライブでした…!曲がいいのも然ることながら、バーチャルならではの演出が素晴らしくて…👏… pic.twitter.com/K4b1EPBbmI— 芳井はじめ✌/泉遼平 (@Ryohei_Hajime) February 24, 2025
Aqoursのライブホントに3DモデルがあるIPにこれやって欲しいと思っていたやつでヤバかった。これが観たかった!!!ってなる。私がサンリオvfesに一番やってほしくて、初回開催からずっと期待していたのはコレです
#サンリオVfes pic.twitter.com/nUfOW2fU8g— turumo (@turumo) February 24, 2025
一方で文脈をテクニカルに見せている部分も多いので、元からのAqoursファンはさらに何倍も満足ポイントが多いと思う。明言していないけれども意図を感じさせる演出が随所に入っているからだ。
オープニングで全員の紹介映像が流れるのだが、これはリアルのライブで行っているのと同じ流れ。様々な公式ライブの一環であることを感じさせてくれる嬉しい演出だ。
2曲目に歌われた「Step! ZERO to ONE」というタイトルはAqoursの2017年ファーストライブのサブタイトルにもなっていることを考えると、趣きがある。カップリング曲だったため、アニメには登場していないレア曲というのもあって、コアなファンは狙い撃ちされていたようだ。
最後の曲「勇気はどこに?君の胸に!」は、2期エンディングなのもあって締めにふさわしい。リアルのライブに通っていた人なら、何度か後半のアンコールパートなどで歌われていたのを思い出したかもしれない。
また舞台になっている沼津を想起させるシーンは、アニメで背景の美しさを見ていた人や、実際に聖地巡礼した人にはたまらないものがあったはずだ。それぞれのキャラクターの性格がよく出ているバラバラな仕草も、MCでのわちゃわちゃも、知っていればいるほど彼女たちが実在している感があって楽しい。
歌とダンスだけでも満足なのに、情報がわんこそばのごとく次から次へとやってくる。とても3回の視聴で把握できるような内容ではない。
4曲目(トリ)、勇気はどこに?君の胸に!
どんどん場所を変えながらの歌唱。特に海上のステージは淡島の桟橋っぽさがあってエモかった!#サンリオVfes #SanrioVirtualFestival #Aqours pic.twitter.com/Gr9YLJEvN7— Kirin (@giraffe_brosVR) February 24, 2025
いやほんと、Aqoursここまでやるって聞いてないって……
普通にステージ上で歌って踊ったら十分なのに、ここまで怒涛に演出組んでくるの、本気すぎてビビってしまった……いやすげぇやこれ。このレベルで虹ヶ咲学園持ってこられたらワシ耐えられませんわ。#サンリオVfes pic.twitter.com/ng0FcwQ1AH— 浅田カズラ (@asada_kadura_vb) February 24, 2025
アニメやゲームの2次元アイドルエンタメは、内輪受けのノリにならないように、でも個性を持たせて夢中になれるようにする、となるとかなり難しい。しかし今回のAqoursのVRライブは、VR演出の面白さとサンリオキャラクターの存在感を強めにすることでうまく舵切りをしていた。どんな立場の観客からも絶賛の声があがっており、幅広い人を魅了していたのがよくわかる。これから見てみようかなという、新しいファンが生まれているのも散見された。
VR技術は、観客を作品の中に放り込んで、キャラクターと並列な存在にすることができる。言うなれば、バーチャル空間の上においては、キャラクターを実在のものにもできるし、観客をアニメのキャラクターにもできる。
このあたりの見せ方は、以前の「プリキュアバーチャルワールド」のミュージックステージやアクションショーの距離感とも近いものがあった。360度から観てほしい、同じ場所に立っていることを感じてほしいという設計思想は、今回のAqoursライブにかなり近いものがあるだろう。
リアルライブが大人気の2次元アイドルコンテンツは「ラブライブ!」シリーズをはじめ数多く存在する。これをVRでどう表現するか、という課題に対して適切なバランスと制作陣の熱意を見せてくれたこのAqoursライブは、大きなマイルストーンになったと思う。他の2次元アイドルコンテンツ、またVTuberアイドルたちが、このような大胆な演出のVRライブを見せてくれることを期待したくなる。
セットリスト
01 君のこころは輝いてるかい?
02 Step! ZERO to ONE
03 未来の僕らは知ってるよ
04 勇気はどこに?君の胸に!















