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VIVE 2018.09.02

VIVE Proで体感する自動運転車 有名レースをVRで走破する

(※本記事は、2018年7月24日にHTC社公式ブログに掲載されたVIVEチームの記事を翻訳したものです。記事執筆はVincent Rendoni氏が行いました)

グッドウッドのヒルクライム、といえば自動車レースが好きな人はおそらく説明するまでもなくご存じでしょう。英国ウェスト・サセックスにあるリッチモンド公爵家の広大な私有地に建設された、全長1.16マイル(約1.867km)の歴史的サーキットで、手入れの行き届いた芝生、パドック、牧歌的な英国の田園風景を曲がりくねりながら通り抜けるコースが特徴です。

というとフォーミュラ・ワンよりジェーン・オースティンを連想するかもしれませんが、この楽園のようにのどかな一角は年に一度、レーシング界を大いに沸かせるイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」の会場に変わるのです。魔法のように現れ、ありとあらゆる類の自動車が集まるこの魅惑的な祝祭の場には、世界中から人々が詰めかけ、マシンとドライバーを間近で見られる自由を満喫します。

イベントの目玉であるヒルクライムレースは歴史と人気を誇るだけでなく、なかなかの難コースでもあります。細い私道、傾斜の連続、観衆との近さ…まさにプロだからこそ走れるような道なのです。

では、非常に賢い機械ならどうでしょうか?

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードは25周年を記念して、これまでとは違う趣向を取り入れました。今まで誰もやったことがない、特別なこと――つまり、完全自動運転車をレースに参加させたのです。

RoboraceのRobocarは、完全自動運転の無人車として初めてヒルクライムに出走しました。このコースにとっても、フェスティバルにとっても、レーシング界にとっても初の試みであり、自動運転技術の安全性と正確性が大きな脚光を浴びることになりました。

RoboraceのDeputy CEO、Rod Chongはこう語ります。「チーム一同、この歴史に残る走行を実現させたことをこのうえもなく誇らしく思います。自動車分野ではこんな技術が進歩しているのかと皆さんに注目していただくきっかけになれば幸いです。Robocarは将来私たちが路上で見るようになるテクノロジーの紹介役のようなものです。今回の出走が、世間の人々の自動運転車に対する認識を変えることになればと願っています」

Robocarはレーダー、ライダー(LiDAR)、超音波、GPS、カメラセンサーを搭載しており、道路の360度映像を自ら構築し、人工知能で進路を調整します。ヒルクライムレースでは何の問題もなくコースを完走しました。観衆はもちろん、大いに驚かされました。

フェスティバル・オブ・スピードの創始者であるリッチモンド公爵チャールズ・ゴードン=レノックスはこう語ります。「レースカーがヒルクライムの初出走を、人工知能による運転だけで完走したことは、とてつもなく大きな成果です。Roboraceはこれを成功させるために、想像を絶するような努力を重ねてきました」

これだけでも大変な見ものでしたが、Roboraceとグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードはさらに、Robocarの走りを来場客がバーチャル体験できる展示装置まで投入しました。そこに採用されたのがHTC VIVEです。

フェスティバルの開催直前、エミー賞にノミネートもされたVRコンテンツ制作スタジオREWINDが、走行するRobocarからの映像を撮影し、テレメトリデータを収集して、HTC VIVE Proを使った特注製作のVR装置に詰めこみました。体験者は装置にストラップで体を固定し、カーブでの傾きや路面の凹凸による揺れ、ペダルの踏み込み一つ一つに至るまで、VIVEならではの性能を駆使して限りなく精密に再現された、リアルでスリリングな走りを味わいました。これは絶え間なく進化するVRの可能性をまのあたりにする体験ともなったことでしょう。


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