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業界動向 2025.10.30

VR/AR体験を一変させる?スウェーデンの研究チームが「網膜E-Inkディスプレイ」を開発

スウェーデンの研究者グループが、新しい電子インクディスプレイ「網膜E-Inkディスプレイ」を開発しました。超小型のVRヘッドセットやARグラスへの応用が見込まれる技術で、現行機種ではマイクロ OLEDがディスプレイとしては主流ですが、デバイスが抱えるサイズや重量、解像度の限界を超える可能性があります。


(画像提供:Uppsala University)

研究結果を発表したのはスウェーデンの複数の大学から成る研究チーム。このディスプレイは、幅約560ナノメートルの「メタピクセル」と呼ばれる技術を採用しています。画素密度は25,000PPIを超え、現時点で市場に出回っている中でも高解像度なVRヘッドセット(Samsung Galaxy XRやApple Vision Proなど)の約4,000PPIを大きく上回ります。

メタピクセルはタングステン酸化物ナノディスクで構成され、電気的な還元により絶縁体から金属へ可逆的に変化します。これにより、ナノレベルでの明るさや色のコントラスト制御が可能になります。

(画像提供:Nature)

また、メタピクセルは周囲光を利用して発色する反射型構造を持ち、人の髪の毛よりも薄い層で鮮やかな色と深い黒を再現します。約50%の光コントラスト比を持ち、HDR表示にも対応するとのことです。研究結果では、ビデオパススルー型のVR/MRヘッドセット、透過型のARグラス両方の採用可能性が論じられています。

(画像提供:Nature)

メタピクセルの実用化には大きな課題もあります。現在の試作段階では、フルカラービデオのリフレッシュレートが25Hzを超える程度であり、没入感あるVR体験に必要な最低水準である60Hzに達していません(Apple Vision Pro最新版のリフレッシュレートは60Hzをさらに上回る120Hz)。研究チームは、色域の拡大や動作安定性、寿命の最適化を進めており、さらに動作電圧を下げる工夫や代替電解質の検討も行っています。

また、高密度ディスプレイを制御するためのTFTアレイの開発も重要です。ディスプレイ自体の消費電力は低いものの、メタピクセルを駆動するためのグラフィック処理負荷が今後の課題とされています。これらの改良が進めば、小型軽量かつ高精細な次世代VR/ARデバイスの実現に一歩近づく可能性があります。

参考

https://www.roadtovr.com/researchers-e-ink-xr-display-paper/
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