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PlayStation VR2 2024.08.29

PS VR2とPCを接続する専用アダプターは買うべきなのか? 実際に試して気づいた魅力と問題点

今年8月に発売された「PlayStation VR2 PCアダプター(CFI-ZVP1J)」は、Play Station VR 2(以下:PS VR2)とゲーミングPCを接続して、PC版のVRコンテンツを体験できるアクセサリーです。価格は8,480円(税込)。

そもそも、PS VR2はこれまでPS5とのみ接続可能で、PlayStation Storeで配信されている専用タイトルのみを遊べるデバイスです。しかし、肝心の専用タイトルの数が少なく、特にPS VR2でしか遊べない独占タイトルに関しては、両手で数えられる程度であったことが大きな課題となっていました。今回、正規のアダプターの登場により、Steamにある大量のコンテンツも遊べるようになったことで、遊びの幅は格段に広がっている状況です。

MoguLive編集部では実際に専用アダプターをPCに接続して、その使い心地を試してみました。そのなかで浮かび上がってきた魅力的なポイントと現状の課題点を紹介します。

購入前の注意点

さっそく、PSと接続していきたいところですが、その前に注意です。公式アダプターだけでは、PCとPS VR2を繋げることはできません。上の画像に「Display Port」の文字がありますが、ここに差し込むための「DisplayPort 1.4対応DisplayPortケーブル」が必要となります。別売となっているので、市販のものを事前に購入しておきましょう。

また、もうひとつの問題として、PS VR2専用コントローラーとPCをBluetooth接続する際、利用しているBluetoothアダプターによっては上手く接続できない不具合が起きる可能性があります。MoguLive編集部では、実際のレビュー中に、このアダプターの接続不具合が発生し、コントローラーをPC側が認識しているにも関わらず、頻繁にトラッキングが外れるというトラブルが起きました。こちらの公式ページに動作確認したアダプター4種が掲載されているので、トラブルが不安である場合は、事前に購入しておくのをおすすめします。編集部でも上記のアダプターを購入して再チャレンジした際には、問題なく利用できました。

まとめると、今回のアダプターを購入する前に、下記のような環境が必要となります。

・PlayStation VR2 PCアダプター(CFI-ZVP1J)
・ゲーミングPC(推奨スペックは後述、DisplayPort 1.4に接続可能であること)
・Bluetoothアダプター(できれば公式動作確認済みのもの)
・PS VR2本体
・DisplayPort 1.4対応DisplayPortケーブル

さらに事前に知っておきたいのは、PSVR2をPCと接続する際、デバイス本来の強みとして押し出されていた機能(アイトラッキング、ヘッドセットのハプティクスフィードバックなど)は、現状使用できないということです。「PS VR2の独自機能をPCでも利用したい」と考えている人には、今回のアダプターは向かない点も押さえておきましょう。

接続とセットアップは簡単。しかし注意点もあり

上記の注意点をよく確認したうえで、実際に取り付け作業に入りましょう。電源コード+DisplayPort 1.4対応のDisplayPortケーブルをアダプター側に接続。次に、PC側にアダプターから伸びているUSBとDisplayPortケーブルを繋いでおきましょう。


(PCに接続するケーブルは2本だけです)


(PS VR2本体との接続は電源ポートの反対側で可能です)

ここまで用意が整ったら、PCを立ち上げて、Steamにアクセスしましょう。「PlayStation®VR2 App」という無料アプリがあるので、インストールします。アプリを立ち上げたら、チュートリアルがはじまるので、あとはチュートリアルの流れに沿って、接続作業をやっていきす。

おおむね、チュートリアル画面通りの手順で進めば問題ないのですが、1つ注意すべき点があります。PS VR2専用コントローラーの接続問題です。Bluetoothとの接続がどうしてもうまくいかない場合は、上記で紹介したBluetoothアダプターのトラブルの他に「すでにコントローラーが近くのPS5と接続状態になっていて、ペアリングがそちらに優先されている」という可能性があります。もし、PS5を起動した状態のままであれば、あらかじめ切っておくのが無難です。

チュートリアルをこなしていき、上記のようなプレイエリア設定画面がPS VR2本体とPC側の両方に表示されるようになれば、接続は問題ないと言えます。ただし、この時点で何度もカメラが切れてしまうトラブルがある場合は、PCを再起動してアプリを立ち上げなおしてください。その際、ケーブルが正しい指し口に刺さっているかも確認しておくと良さそうです。

VRChatで試してみた


(※PC画面を撮影したもの。PS VR2側では見え方が違います)

さて、接続が完了したので、「VRChat」で動作を確認してみました。まず驚いたのが、画面の明るさ。PS VR2が有機ELパネルを採用しているためか、発色がとても良いです。普段、VRChatの公式ロビーワールドは、少し薄暗さを感じていたのですが、PS VR2では、ライトの光がとてもきれいに見えます。試しにMeta Quest Proの見え方も比較してみましたが、明るさの違いがハッキリと分かりました。この点に関しては、素直に驚かされたポイントです。

不安だったコントローラーについても、実際に試してみると問題なく動作します。指のトラッキングもしっかりしており、ハンドサインも直感的に出せます。ただし、メニュー画面を出して、設定を変更する際などに、少しトラッキングがズレるような感覚が若干ありましたが、そこまで大した問題ではありませんでした。設定さえクリアすれば、無難に使えると言って良いでしょう。

総評:すでにPS VR2を持っている人は購入の価値アリ。しかし……

様々な問題点、注意点はあるものの、PS VR2をすでに持っているという方は購入の価値があると思います。PS VR2一台あれば、SteamとPlayStation Storeの両方のプラットフォームで遊べるというメリットが大きく、普段から愛用している人であれば、使い道の広がりに魅力を感じられると思います。特に、これまでMeta Quest 3など、他のVRヘッドセットを購入していなかったユーザーからすれば、なおさら恩恵は大きいと言えます。

しかし、これからPS VR2と専用アダプターを新規に購入するという選択肢は、あまりおすすめできません。というのも、9月2日からPS VR2は、89,980円と、従来よりも約15,000円値上げすることが発表され、Meta社の最新機種であるMeta Quest 3(128G:74,800円)よりも高額になると確定したためです。(有機ELの明るさなど、PS VR2ならではの魅力はあるものの)デバイスのスペック的にもMeta Quest 3が優れている点が多く、PC接続も可能であることからも、わざわざPS VR2を購入するメリットが少なくなっています。

今回の公式アダプターは、あくまで「PS VR2をすでに所持しているユーザー向けのアクセサリー」であると見なした方が良いでしょう。購入を検討の際は、その点を判断材料として頭に入れておくのをおすすめします。

アダプターの公式サイトはこちら

PC推奨スペック

・OS:Windows 10 64ビット版/Windows 11 64ビット版
・プロセッサー:Intel Core i5-7600/AMD Ryzen 3 3100(Zen 2以降のアーキテクチャが必要)
・RAM/メモリー:8GB以上
・GPU/グラフィックカード:
-NVIDIA GeForce GTX 1650以降(Turing以降のアーキテクチャが必要)
-NVIDIA RTXシリーズ
-AMD Radeon RX 5500XT以上/AMD Radeon RX 6500XT以上
(快適に遊んでいただくには、NVIDIA GeForce RTX 3060以上またはAMD Radeon RX 6600XT以上のグラフィックカードの使用を推奨)
・DisplayPort:DisplayPort 1.4(標準のDisplayPortまたはMini DisplayPort出力ポートが必要)
・USB:直接接続のみ
・Bluetooth:Bluetooth 4.0以降


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