Home » 「言葉」を壊した先にあるもの――VRChat「PROJECT: SUMMER FLARE」で過ごした夏


話題 2021.11.19

「言葉」を壊した先にあるもの――VRChat「PROJECT: SUMMER FLARE」で過ごした夏

今年の9月、ひとつのVRChatワールドが公開されました。その名は「PROJECT: SUMMER FLARE」。メディアアート展「1%の仮想」や、謎解きワールド「アスタリスクの花言葉」を手がけてきたクリエイター・ヨツミフレームさんによる、新作ワールドです。

KYOTO CG ART CONTEST
KYOTO CG ART CONTEST

推奨最大参加人数は1~4名(VRChatの仕様により最大8人まで参加可)。想定プレイ時間は2~3時間。無数の独自ギミックと、「狂気的」な演出の数々、壮大で謎に満ちたシナリオと、VRChatワールドとしてあらゆる面で規格外ともいえる作り込みを誇ります。公開直後から多くの感想や考察が寄せられており、「VRChatワールド史に残る大作」と太鼓判を押す人も出るほど。かくいう筆者もソロでクリア後、人を誘って二度目の挑戦をしてしまうほど、このワールドに惚れ込んだ一人です。

今回、この「PROJECT: SUMMER FLARE」を、制作者であるヨツミフレームさんとともに巡りました。以下には「PROJECT: SUMMER FLARE」のネタバレを多く含んでいます。前情報無しで本ワールドに挑みたい方は、実際にクリアされてから読まれることをおすすめます。

なぜなら、このワールドの真髄は、以下に続くような「言葉」では表現できないところにあるからです。

「あの夏の日」へようこそ

思わず目を細めてしまうほどまぶしい日差しに照らされた、一面の砂浜。ひと目見て「夏だ」と直感させられる光景が広がります。

すぐ近くには、「町内会のおしらせ」でも貼ってありそうな、どこかなつかしいデザインの掲示板が置かれています。そこに貼られているのは「鈴とボールとスイカを箱に入れる」と読み取れる、子どもの絵日記にありそうなイラスト。これが最初のミッションであることは、ほどなくして読み取れるでしょう。

夏のビーチには様々なものが置かれています。ビーチバレー用のネットや、ライフセーバーが座っていそうな監視台。真っ白な椅子とテーブル、そしてパラソルも置かれていて、「夏の海のひととき」を過ごすには格好の場所です。もちろん、スイカ割りにもぴったりです。

ビーチのすぐ近くには、大きな水族館があります。小綺麗かつモダンで、白を基調とした内装は清潔感を感じさせます。どこかなつかしく「もしかして、むかし行ったことがある?」とも思ったり。

奥には水中内トンネルも設けられた、巨大な水槽があります。視界いっぱいに広がる水槽はフォトジェニックです。ソロで行った初回プレイのときも、知人と訪れた2度目のプレイのときも、ここで思わず記念撮影をしていました。

水族館はただ美しいだけでなく、「こういう建物は実際ある」とはっきり感じさせるほどに、作り込みが細やかです。筆者も初見の際には、ただ順路に沿って歩くだけで息を呑みました。

その一方で、水槽の中を泳ぐ魚たちは記号的な姿です。「魚」という抽象的なイメージが泳いでいる、と言ってもよいでしょう。実在しても不思議ではない空間にあって、ただ彼らだけが異物のように存在する。ハコは完璧だけど、中身はがらんどう。そんな印象も受けました。

順路の終わり、出口のショップにぽつんと置かれたビーチボールを回収します。残すところは鈴。鈴が置いてありそうな場所といえば、神社。筆者の手に持つスイカとともに、二人で神社へ向けて歩き始めました。


道中目に入るのは、「ある程度発展した地方都市」といえる風景です。コンビニやマンションがある街並みは、人によってはいかにもな「田舎」よりなじみ深いでしょう。友達といっしょに海へ行き、コンビニでアイスを買い、午後は友達のマンションの一室で宿題をする、そんな「あの夏の日」が幻視されます。


神社は、トンネルを抜けた先の、ちょっとひなびた場所にたたずんでいます。より「田舎」に近づいたような、森がおおい茂る場所で、どこかに狐耳の巫女さんがいても、きっとおどろかない。長い長い石段を登っていくことすら楽しい、「夏の田舎の神社」のイメージがそのまま存在しています。

その境内には、掲示板でも見た「3つの箱」が置かれています。

その箱の中に、スイカとボール、そして鈴をおさめると、周囲が暗転していき――

プロトコル、開始

あの「夏」の景色はどこへ――暗転の後、眼前に広がるのは、無機質な廃墟。ドームの外に見える寂しさも感じる光景は、あえて例えるならば「冬」でしょう。

「仮想現実から現実へ」というシナリオ自体はよくあるものです。しかし、それをVRで体験すると、すてきな夢から覚めてしまった驚きと不安を、感じずにはいられません。


そしてプレイヤーには新たな謎解きが与えられます。意味ありげに配置されたレバー付きの電源ユニットと、地面や柱を這うケーブル、ロックされたドア。最初はなにをどうすればと戸惑うものの、ドアより伸びるケーブルを追っていけば、なにをするべきかは明白でしょう。


ドアロックを解除した先には、宙に浮く謎のタブレット端末があり、端末を通して「LuPI」と名乗るキャラクターがこちらへ向けて話しかけてきます。手に取るとクールなアニメーションとともに変形するギミックにまず目を奪われ、そして同時に出現するナレーションと、タブレットに表示されるLuPIからの「依頼」が、プレイヤーを一気に引き込みます。

「目的である『サテライト』のリセットを行ってもらいたい」というNPCの依頼は、よくあるゲームの導入です。しかし、ここはVRChatのワールド。こうしたギミックの搭載自体かなりめずらしいです。何よりこの瞬間に、「自由に過ごせる場」から「VRゲーム」へと切り替わるようでもあり、没入度が一気に引き上がる感覚をおぼえます。


タブレット端末を手に入れ、道なりに進んでいくと、道中には「鎖をたぐり続ける」ことで大扉が開くギミックが待ち構えています。ただスイッチを押すのではなく、現実と同じ動作を要求するギミックは、VRならではの醍醐味。自分の身体をコントローラーとして、世界を動かしていく、VRゲームの根源的な楽しさが、本ワールドには数多く仕掛けられています。

真っ暗なトンネルを進んでくと、「ダイダン」と名付けられた巨大なロボットが待ち構えています。プレイヤーへ向けて極太レーザーを発射する、このワールド最初の「驚異」です。


ここから、奥にある「武器」を取るべく、ダイダンのレーザーを遮蔽物で回避しながら、全速力で駆け抜けていきます。ジャンプを駆使する必要があり、どこへ進めばいいかも手探りになりがちなので、パニックになること必至です。なにより轟音を上げて放たれるレーザーが怖い!

しかし、ただ逃げ惑うだけでは終わりません。拳銃を握りしめ、巨大な弾丸を放つモードに切り替わってからは一転攻勢。

レーザーを放たんとするダイダンを一射で黙らせていきます!

一連の「窮地からの反撃」という手に汗握る展開を通して、このワールドがただのVRChatワールドではないことを思い知らされます。ダイダンの攻撃から逃れ、不可思議な拳銃で倒す展開を一人称視点で体感したときほど、「主人公」という言葉が脳裏に浮かぶときはないでしょう。

多くの人が落下したアスレチックゾーン

ダイダンを鎮めて先へ進むと、雑然としたコンクリートの柱と、廃液じみた色の液体が広がる空間にたどりつきます。ここは「表」の世界ではビーチに相当する場所。そして、本ワールドでとくに難易度の高いアスレチックコースでもあります。

このエリアの目的は、高い柱の上に着地した剣「偽-デュランダル」の回収。まず「どうやったら上に行けるんだ?」と頭を悩ませるところからスタート。ルートを見出したところで、ひたすら上へ向けて登っていくことになります。


はしごを登るのは序の口。細い足場を渡り、突き出た鉄棒をつかんで雲梯のように進み、ロープを両手だけで渡っていくなど、とにかく「筋力」が要求されます。慣れていないプレイヤーの多くが途中で落下し、緑色の海へと沈んでいったことでしょう。筆者も初回プレイでよく落下し、2度目のプレイは落下していく同伴者をよく目撃しました。


慣れるまでは苦戦しますが、VRゲームの経験があれば、ある程度楽に進めるでしょう。特にOculus Quest向けタイトルの「The Climb 2」を遊んだことがあるならば、その経験が特に活きるはずです。とはいえ、スリリングであるのはたしかです。


また、先ほど活躍した拳銃が、ギミック起動のために必要となります。その際に必要となるのが、「キーアイテムを引き寄せる」ギミックです。手のひらをかざすだけで、キーアイテムが一瞬で手元に現れるのはかなり気持ちがいい。便利な上に、超能力を得たような心地になれる、新鮮な体験です。

偽-デュランダルも無事に回収です。余談ですが、偽-デュランダルの由来は、叙事詩『ローランの歌』に登場する英雄・ローランの持つ聖剣・デュランダル。「敵の手に渡ることを恐れて岩に叩きつけたが、逆に岩を両断し折れることがなかった」という逸話で有名な、「決して折れない」剣です。

トラウマだらけの水族館

偽-デュランダルを手に、こちらの世界の水族館へ進みます。水槽には魚ではなく、車や標識といった物体が放り込まれており、その無秩序さが不気味に映ります。


不穏なオブジェクトにまみれた水族館の中には、招かざる客を迎撃すべく、各所にタレットが設置されています。タレットが放つ銃弾の雨を、偽-デュランダルの「決して折れない」刀身で防ぎながら、奥へと侵攻していきます。複数人でプレイしていると、この盾役がとても頼もしく見えてきます。

道中には、本ワールドではじめて(実体つきで)登場するNPCキャラクターが現れます。しかし会話や干渉はできません。頭部には未来的なHMDのようなものを装着しています。異様な動きであたりを見回す姿はとても不気味ですが……VRヘッドセットをかぶる筆者もまた、傍目にはそう見えるのかもしれないと、ふと思ったり。

彼らを横目に奥に進もうとすると、なにやら不穏なメッセージが。

それを無視し、エレベーターの中に置かれた電話ボックスの受話器を手に取ると……

インスタンスから脱出せよ

現実の緊急地震速報にも似たアラート。視界を覆い尽くす真っ赤なメッセージ。無慈悲に縮まるミサイルの距離。プレイヤーを抹殺するべく放たれた、サテライトによる核攻撃から逃れるべく、たどってきた道のりを一気に逆走していきます。

刻一刻と時間が迫るだけで焦る上、アラートメッセージはこちらの視界を間接的に妨害します。世界そのものに攻撃を受けているような感覚です。急げ、急げと、両手のコントローラーに思わず力が入ります。

そして、最初にLuPIと出会った廃屋にてパスコードを確認したところで、核攻撃から逃れるべく、現在Joinしている「PROJECT: SUMMER FLARE」のインスタンスから、新たな「PROJECT: SUMMER FLARE」のインスタンスへ「脱出」する必要に迫られます。

警報鳴り止まぬ中、新たなインスタンスへと続くポータルへと飛び込みます。冷や汗も垂れる怒涛の脱出劇ですが、最後の「インスタンスを切り替えさせる」という、VRChatにしかできない展開は、非常にアツいです。

再び「あの夏の日」へ

青い空。白い雲。思わず目を細めてしまうほどまぶしい日差しに照らされた、一面の砂浜。ひと目見て「夏だ」と直感させられる光景が――再び、眼前に広がります。

最初に訪れたときと、まったく変わらない景色。しかし、LuPIは前のインスタンスで「あの夏の電話ボックスへ行け」と言い残していました。そこでパスコードを入力しろ、とも。


いまや現実の街からは消えつつある電話ボックスに、4桁のパスコードを入力すると、「FAS」を名乗る声から通信が入ります。機械的な声色のLuPIとは打って変わって、こちらはどこか丸みを帯びたようなトーン。筆者はなんとなく、女性的なイメージを思い浮かべました。

FASの案内に従いトンネルを抜けていきます。すると……。


あのインスタンスで起きたことは「並行世界の話」ではなかった、ということです。


そして、天高く手を掲げて呼び出されるのは、頭部だけになったダイダン。彼の放つレーザーを用いて、閉じられていたサテライトの中枢へと進むことができるようになります。

その先に待つのは、サテライトの中枢です。

サテライト中枢へ

FASの声に従い、サテライトをシャットダウンさせるべく中枢へと侵攻していきます。その途上。

世界が突如、「あの夏の日」に塗り替えられます。

だけど、その光景が見えるのは一瞬だけ。どちらが夢で、どちらが現実なのか。もしかして、もう「狂気」は自分の内側へ侵食しているのではないか?

迷いながらも奥へ進むと、巨大なファンが設置された区画にたどりつきます。ファンからは強い風が放たれており、そのままでは奥へ進むことができません。

ファンのON/OFFを切り替えて進んでいきます。壁に設置されたレバーを、両手でゆっくりと引いていく作業を、ひとつずつ重ねていきます。

道中をさらに進むと、実は進行中のルートは、あのデイダラボッチに襲われた区画のさらに下層にあることが判明します。上層からもこの下層は見ることができるため、もしかすると気づいた人もいるかもしれません。

そして、進んだ先で2体のデイダラボッチに阻まれます。そのタイミングでFASから最後のガイドが。

ここから先は言葉も通じなくなる。それでも、あなたたちは前に進まないといけない。

目の前を機械で覆っても、世界は何も変わらない。ただ、見える景色が変わるだけ。

だから、頭につけている「それ」を外して、前に進んで。

そして「目の前」に現れたマーカーをつかむと――

夏を、言葉を、壊せ




制作者インタビュー

ヨツミフレームさんに「PROJECT: SUMMER FLARE」の制作にまつわる話や、ワールド内のこだわりについて質問しました。

存在しなかったワールドを作るために言葉を壊す

――「PROJECT: SUMMER FLARE」を作った目的や理由などをお聞かせください。

ヨツミフレーム:

ひとつは、VRChat内でUDONが使えるようになったので、これを活用したギミックを駆使するワールドを作ろうと思い立ったのがきっかけです。そのうえで、VRChatのワールドの多くは、風景を楽しむものや、ミラーが置かれた自室といった、いわば「場」のようなものが多かったので、より物語性のあるワールドを作りたかったというのも理由のひとつにあります。

――そうした「物語」のテーマとして、「夏」が大きく掲げられていると思います。「夏」というテーマ、キーワードには、どのような意図が込められているのでしょうか?

ヨツミフレーム:

VRChatユーザーに対しての、ある種の皮肉はあるかなと思います。「夏」って、とても楽しくて、嫌なことがないものじゃないですか。だから「夏」でずっと過ごすのは楽しいんですけど、ただそれだけでは前進できない。そうしたメッセージを込めたつもりです。もちろん、これはVRやVRChatを否定するというものではないです。進むことも時には大事だよねって。

――ワールド説明文には「言葉を壊せ」というフレーズがあり、また終盤の展開では「言葉が通じない」展開もあります。「言葉」についてはどのような意図が込められているのでしょうか?

ヨツミフレーム:

人間は「言葉」というプロトコルを用いてわかりあう生き物であり、同時になにかと「言葉」に縛られる生き物だと思います。VRChatのワールドにせよ、本来VRChatはUnityを動かすオンラインプラットフォームのようなものなので、文字通りなんでもできるはずなんです。だけど、たとえば「謎解きワールドを作ろう」と思ってワールドを作ると、出来上がるのものは「謎解きワールド」にしかなりません。これまで存在した概念を壊し、これまで存在しなかったものを作りたい。そういう思いから、「言葉を壊す」というフレーズが出てきています。

ユーザーの心理を読んだ上での仕掛け

――まずは「夏」のほうについてです。「一つの街」として、かなりリアリティある作り込みとなっていますが、制作にあたっての具体的なこだわりなどを教えてください。

ヨツミフレーム:

「現実にのっとったもの」を作り込むと、空間の実在感が一気に引き上がるため、そこはこだわっています。たとえば、水族館の車椅子向けスロープです。これは現実のバリアフリーの基準として定められた角度で作成しています。あと、館内のBGMも、実は場所によってくぐもったり、開放的になったりと、聞こえ方が変わるようになっています。

ヨツミフレーム:

また細かなこだわりという点で注目していただきたいのは、ガードパイプに入っている「月」のデザインですね。現実でも町や市のロゴをあしらったガードパイプはよく見られますが、このガードパイプは私が独自にデザインしたもので、このワールドにしか存在しません。「月」のデザインにしたのは、このワールド自体が狂気そのものであるというメッセージをひっそり忍ばせておきたかったんです。

――本ワールドにはキーアイテムやギミックに対して、独自のガイドサインが出現するようになっています。こうした独自ギミックを実装されたのはなぜでしょうか?

ヨツミフレーム:

VRChatのオブジェクトまわりのシステムって、意外と不親切なんですよ。特にキーアイテムがどこかに飛んでいって回収できずに詰む、ということがたまにあります。なので「詰み」を防ぐために、遠くにあるキーアイテムはマーカーが表示されるように、そして時間が経つともとの位置にリポップするようになっています。引き寄せギミックも同様に「詰み」の防止のためです。こちらの着想は「Half-Life: Alyx」の「グラビティグローブ」から得ています。

――「Half-Life: Alyx」以外に参考にされたVRゲームなどはあるのでしょうか?

ヨツミフレーム:

BONEWORKS」も参考にしたVRゲームのひとつです。あと、アスレチックゾーンは「The Climb 2」を参考にしていますね。ほんとうは「つかみ続けていると崩れる突起」も作りたかったんですけど、さすがに複雑になりすぎるので見送りました。

――ギミック全般について、こだわりや配慮されたことなどはありますか?

ヨツミフレーム:

VRChatは日本語話者以外の人も利用するため、日本語がわからなくとも先に進めるようにしています。字幕を日本語と英語両対応にしたのはもちろんですが、各ギミックなどにアイコンを用意して、一目見て「なにをすればいいか」わかるようにしています。

――次にアスレチックゾーンについてなのですが、ここはやはり難しいとの声をよく聞きます(笑)

ヨツミフレーム:

私も把握しています(笑) アバターの身長によって難易度が変化するとの声をよく聞いていまして、これは反省点の一つかなと思っています。あと、VR操作に慣れているかどうかでも難易度が上下しやすいですね。人によっては、はしごを登るだけでも苦労されたみたいです。いちおう、直前に「練習用」としてはしごを3つ設置しているので、慣れていない方はまずはここで練習していただければ……


(「練習用」としてはしごが並んでいる場所)

――その後の脱出パートについて。視界そのものをハックするような演出がありますが、あれは意図的なものでしょうか。

ヨツミフレーム:

意図的です。設定的には、サテライトそのものが発している警報メッセージということになっていて、核攻撃と合わせてプレイヤーを始末しようとしています。「プレイヤーそのものに危害を加える」ようなワールドもあまりないなと思って実装しているので、あそこは存分に焦っていただけるとうれしいですね。

――脱出パートの最後に「インスタンスを切り替える」流れになりますが、電話ボックスのギミックも含めて、あのような形になった経緯などお聞かせください。

ヨツミフレーム:

まず、電話ボックスにパスコードを入力するギミックは、ワールドに入った直後から起動できます。パスコードも一定です。これは、「インスタンス間の状態引き継ぎ」ができないVRChatの仕様によるところもあるのですが、シナリオ自体をここで前後編に分けるという意図もあります。どうしても長時間プレイしていると疲れますし、万が一、通信障害や、VRChatのアプリ自体が落ちたりして中断されると、一からやり直すのはけっこう大変です。なので、ある程度プレイしたら、途中から復帰できるように、あのギミックを設けている側面はあります。

――その「後編」の初っ端に、いきなり景色が「あの夏の日」になるギミックがありますね。

ヨツミフレーム:

実はあれ、発生するタイミングはプレイヤーによって異なるように設定しています。もしボイスチャットで細かくやりとりしているグループだと、一人だけいきなり「夏になった!」と騒ぎ出す、となるようにしてあります。

ヨツミフレーム:

あと、後編ではあちこちにミラーを配置しています。たぶん、VRChatユーザーだと、鏡を見ると立ち止まると思うんですよ。しかしこれもサテライトの狙いです。「ここから先には進まなくていいんだよ」って。

――VRChatユーザーの心理を知り尽くしていますね……!


ヨツミフレーム:

あと、サテライト中枢に進む段階で偽-デュランダルは引き寄せる際、ガイドラインには32kmと表示されていて、引き寄せた直後は赤熱するアニメーションを設定しています。偽-デュランダルは「絶対に折れない」。つまり、核攻撃に巻き込まれたのですが……。

――核攻撃を受けても壊れずに残った、ということでしょうか!?

ヨツミフレーム:

ですね。ちなみに、時間が経つと冷えて、元の姿に戻っていくようになっています。あと、その直後に「夏」に切り替わったときだけ、デザインが「ゆうしゃのけん」になります。気づきましたかね?


(「ゆうしゃのけん」)

言葉で表現できないものを作るために

――このワールドを体験された方の反応はいかがでしょうか?

ヨツミフレーム:

かなり好評である、と受け取っています。物語を楽しみ、考察されている人もいれば、ひとつのアトラクションとして楽しまれている方もいらっしゃいますね。もし、このワールドを体験していただけたら、感想を出力していただくのはもちろん、自分でワールドを作ってみたりしていただけると、個人的にはうれしいですね。私の作品を体験した反応として、それこそ私自身も「言葉」で表現できないような、新しいものがつくられることを楽しみにしています。

――これから「PROJECT: SUMMER FLARE」に挑む方や、あるいはすでに挑まれた方に、「さらにこのワールドも体験してもらいたい」というものはありますか?

ヨツミフレーム:

「1%の仮想」「アスタリスクの花言葉」「PROJECT:  SUMMER FLARE」が3部作のような流れになっているので、ぜひ3ワールドとも体験してもらえると、作者としてはうれしいですね。

――今後、新たにワールドやコンテンツを作成される予定はありますか?

ヨツミフレーム:

「PROJECT:  SUMMER FLARE」の製作が終わったので、次なる作品に取り掛かろうとは考えています。まずは、シナリオなどを考えるところからですね。

――「PROJECT:  SUMMER FLARE」について、今後なにか展開はありますか?

ヨツミフレーム:

まだ表に出していない裏設定がたくさんあるので、どこかのタイミングで公開できたらなと思います。今年中には動きがあるかな……? と思います。

――どちらも楽しみにしております。ありがとうございました。

「PROJECT: SUMMER FLARE」へのアクセスはこちら。
https://vrch.at/wrld_aa762efb-17b3-4302-8f41-09c4db2489ed

執筆:浅田カズラ


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード