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Oculus Rift 2017.03.01

「コンテンツの2017年」どんなVRゲームが登場するのか?Oculusの新作VRゲームをレポート

ハイエンドなVRデバイスが出揃った2016年を経て、2017年はコンテンツに注目が集まっている年です。FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は2016年10月のイベントで「これからはコンテンツの時代だ」と述べています。

Facebook傘下のOculusは、サンフランシスコで2月27日から開催されるGDC(ゲーム開発者会議)に合わせて、今後、Oculus RiftとGear VR向けに配信される新作VRゲームのプレス向けイベントを開催していました。

体験できたタイトルはデモ展示されていたほぼすべてのタイトルで全部で10個のVRゲームを体験しました。飛び抜けたいわゆるキラーコンテンツの存在は感じられなかったものの、筆者が驚いたのは着実にノウハウを蓄積しているスタジオが多いということ。酔いの防止など快適で長時間のプレイと没入感のバランスの模索、一人称視点と三人称視点の切り替え、何度も体験したくなる仕組みづくりなど、各開発チームの試行錯誤が伝わってきいます。

その点を中心に本記事では、先行体験の様子をレポートします。

満を持しての移動するFPS『From Other Suns』

『From Other Suns』は、Gunfire Gamesが開発中のOculus Touch向けFPSです。
これまでGunfire GamesはOculus Riftローンチタイトルのアクションゲーム『CHRONOS』、Oculus Touch向けの対戦型STG『Dead & Buried』Gear VR向けの『Herobounds』シリーズを手がけてきました。すでに5つのVRゲームを手がけてきた実力派のスタジオです。

今回の『From Other Suns』は、宇宙船を舞台に、侵入者を倒していくSFSTGです。武器を手にとって移動しながら進んでいきます。2人プレイが可能で、プレイヤーは6名の隊員のうち誰かとなって進みます。一度死亡すると別の隊員になり、2名合わせて6名の隊員全員が死亡すると全滅です。

試行錯誤を続ける移動方法

この作品の最大の特徴は移動方法です。VRでのFPSは激しい動きも多く、とにかく酔いやすいというのが難点です。Gunfire Gamesはこれまで配信してきた作品はいずれも移動方法が異なり、徐々に挑戦を重ねています。

酔いを生じない、というのが彼らの1つのコンセプトになっています。たとえばGear VR向けの『Herobound』シリーズでは三人称視点でダンジョンを見下ろすプレイ方式を採用しています。酔う要素はほとんどありません。Oculus Rift向けの『CHRONOS』では見下ろしではなく、側面から見るタイプの三人称視点を採用しています。『Herobound』よりは没入感を増す視点です。Oculus Touch向けの『Dead & Buried』では、ガンマンスタイルのシューティングとなっており、一人称ながら移動は一切ありませんでした。

そして『From Other Suns』では、ついに一人称視点での移動に挑戦しています。酔いに強い人がプレイする通常のモードと、酔いを発生させにくい「コンフォート・モード」の2種類がありました。開発チームはコンフォート・モードでのプレイを推奨しています。

このモードでは、手に持ったOculus Touchコントローラーのスティックを倒すと自分のキャラクターが前に進みます。スティックの指を離すと、キャラクターがいる位置にワープします。その際、プレイヤーの視点は移動しないため、まるで幽体離脱をしたかのような感覚になります。最初は慣れませんが、徐々に慣れてくると一人称視点から突然三人称視点という不思議な切り替えを楽しみながらプレイができます。

『From Other Suns』は、2017年秋に配信予定です。

『Blade & Soul』

『Blade & Soul』は、『Lineage』などで有名な韓国のメーカーNCSOFTが開発中のOculus Touch向けゲームです。同名のMMPORPG『ブレイブアンドソウル』の世界観とキャラクターで陣取り合戦をするマルチプレイのリアルタイムストラテジーゲームです。プレイヤーはSDサイズになったキャラクターたちと魔法を組み合わせてチームを作り、敵の城を攻め落とします。キャラクターを手に持って配置するなど、Oculus Touchで直感的な操作が可能です。

NCSOFTは韓国の大手ゲームメーカーとしては初のVRゲームの本格参入となります。開発を始めた理由として、「モバイルで出遅れた」ことを挙げており、その反省から開発ノウハウが重要となるVRゲームに早期に参入したとのことです。

『Mage’s Tale』

『Mage’s Tale』は、RPGのゲームスタジオnXileが開発しているVRRPG。魔法使いになり、自分の好きな魔法を合成しながらダンジョンを進んでいく一人称視点のアドベンチャーゲームです。

最大の特徴は、魔法の合成シーン。『炎』、『雷』などの4元素に加えて「バウンス」(反射)などの特性や、色を合成することで自分だけのオリジナルの魔法を作ることができます。プレイ時間は10時間程度を目指しているとのこと。

『Brass Tactics』

Hidden Path Entertainmentが開発中のVRテーブルゲーム。ゲームボードに施設を作り、軍隊を生産して対戦をするというもの。テーブルを掴んで移動していきます。

視点切り替えにこだわったTerm1nal

『Term1nal』は、Gear VR向けのステルス・アクションゲームです。プレイヤーはエージェントとなり、施設に潜入するアンドロイドを動かします。カメラをハックし、三人称視点でキャラクターを見下ろしながら敵に見つからないようにしながら、動かします。要所要所にあるパズルを解く際には、アンドロイドの視界をハックして一人称視点になり、「敵が戻ってくる前に解かないと…!」という緊張感を味わうことができます。

制作したのはOculus Rift向けの戦略シミュレーション『Landfall』を開発したForce Field VR。『Term1nal』では、『メタルギアソリッド』のようなステルスゲームを実現したいかった、と言います。しかし、問題になったのは一人称視点では長時間のVR体験に向かないということ。疲れてしまわないように快適性を優先し、没入感は損なわれますが三人称視点と組み合わせることにしたとのこと。ストーリーの設定ともうまく噛み合っており、自然なプレイ感でした。

『Killing Floor:Incursion』

迫りくるソンビを倒していくFPS『Killing Floor』シリーズのVR版。負傷して動けない主人公がシミュレーションを体験していると徐々に異変が起きてきて……。

最初は迫ってくるゾンビに怖さを感じますが、あまりの量に慣れてくるともはやゾンビとの殴り合いに。千切れたゾンビの足を掴んで武器にしたり、頭を投げることも可能、遊び心も満載です。

『ARKTIKA.1』

ゲームスタジオ4A Gamesが開発中のFPS『ARKTIKA.1』。100年後の再び氷河期が訪れた地球で、居住区ARKTIKA.1をガードとして守るゲームです。

移動方式は決められた場所を選んでワープするというもの。グラフィックが美しく、作り込みが丁寧です。特に、イントロのシーンで、装甲車の助手席に乗っているときに、窓を開けると開け具合に応じて聞こえてくる音量が変わる点まで作り込まれており、きわめて自然な体験でした。発売は2017年第3四半期を予定しています。


25分間のプレイ動画はこちら

『Robo Recall』


ゲームエンジンUnreal Engine 4で知られるエピックゲームズが開発中のFPS。ロボットだらけの世界でロボットの一員となり、暴走しているロボットたちを倒してリコールしていきます。

Oculus Touch向けのデモ『Bullet Train』でも特徴的だった自由度の高いアクションはゲーム化されたことでさらにエスカレート。ロボットを掴んで投げたり、宙に浮かんだ銃を掴んでそのまま撃つなどのカッコいいアクションが可能です。発売日は3月1日(水)に発表予定です。

『Dragon Front』

Oculus Rift、Gear VR向けのカードゲーム『Dragon Front』は、アップグレードのデモを展示していました。カードからモンスターを召喚して対戦するカジュアルなプレイ感と頻繁なアップデートにより、2016年11月の配信から好調のようです。

開発元のHigh Voltageの担当者によると、

・Oculus RiftとGear VR合わせて40万以上のダウンロード数
・プレイヤーの90%以上がGear VRユーザー
・起動後のプレイ時間が平均で1時間、長いユーザーになると1日に6時間以上遊んでいる

とのこと。

アップデートを継続し、飽きさせず、マルチプレイで繰り返し遊べるゲーム性が好調の秘訣ではないかと話していました。


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