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VRChat 2022.05.11

就活イベントがVRChatで開催! スーツ無し、アバター参加のスタイルが参加者に好印象

4月29日(金)オンライン就活イベント「METANAVI」が開催されました。株式会社tenshabiの主催する本イベントは「メタバース就職フェス」と銘打ったもの。「VRChat」をメイン会場として開催し、当日の様子をYouTubeとZoomで生配信しました。

本記事では、「METANAVI」のVRChat会場を取材した様子をレポートしつつ、イベント運営に携わったスタッフの声も交えて、VRChat内の就活イベントの全容をお届けします。

ドレスコードなし。思い思いのアバターで聞く企業説明会

まず参加企業によるプレゼンから始まりました。今回の参加企業は以下の5社。いずれもtenshabiから参加をオファーしており、XR領域のみならず、様々な領域の企業が集まっていたのが大きな特徴です。

スライドを用いて各企業の担当者が自社の説明をする様は、通常の合同企業説明会と同じ。しかし企業担当者も参加者も、思い思いのアバターで参加しているのが大きな特徴です。

プレゼンを聞く参加者は、よくある就活イベントのような堅苦しい空気はなく、VRChatのユーザー主催イベントを思わせるゆるやかな雰囲気でした。それでいて、自然と整列して傾聴しており、様々なカテゴリの企業に対して深く関心を示している様子でした。

プレゼンが終わると、おきゅたんbotさんによる音楽ライブへ移行。様々な演出が仕込まれたパーティクルライブを披露してくれました。就職イベントでありながら、合間に音楽ライブが挟まるのはおもしろいところ。これもいい意味で堅苦しい雰囲気を和らげていました。

ほとんどカジュアル面談?踏み込んだ話も始める参加者たち

後半は各企業の担当者が自社ブースへと移動。各ブースを参加者が自由に回り、より突っ込んだ話ができる時間が設けられました。各ブースには企業の特徴や募集職種などが掲示されており、じっくりと見ながら不明点を質問することができました。

筆者も各企業のブースをめぐってみましたが、和やかな雰囲気はそのままに、「自分はこんなスキルや経験を持っているが活かせるか」「この事業についてもっとお話を聞かせてほしい」といった、より踏み込んだ話が多く展開されていました。

企業担当者の方も、「現状ではスキルセットとして不足しているが、あなたの活動内容は評価点になる」「就職・転職は大切なイベントなので、いろいろな企業さんを見てから判断してほしい」といった率直な回答をしていることも多く、雰囲気はカジュアル面談に近いように感じられました。

企業側と参加者、それぞれの手応えは?


(株式会社Pictoria 代表取締役 明渡隼人さん)

参加企業のうち、株式会社Pictoriaの代表取締役・明渡隼人さんにお話をうかがいました。Pictoriaは今回の「METANAVI」へは株式会社tenshabiより紹介を受けて参加。もともとVR業界には初期から関心があり、今回の出展はとても嬉しかったとのことです。ブースに訪れる人も、Pictoriaの事業に対し「おもしろそう」と思って来ている人が多かったらしく「VRChatユーザーの方が弊社に興味を持っていただけいるのを見て、メタバース業界でもやっていけるのでは!という手応えがありました」と話していました。

また、ある参加者の方に、本イベントの感想を尋ねてみると、「企業の人と深く接する機会が得られるのは非常にありがたい」「このイベントに来なければ関心も持てなかった企業も知ることができた」と好印象。また「スーツを着なくていいのが気楽ですね!」という感想もあり、これには就職活動と転職活動を両方経験した筆者も深く同意しました。

イベントが終了したあとも、参加者が企業担当者の方とさらに話し込んだり、いっしょに写真を撮影するなど、企業と参加者の距離がとても近いように感じられました。中には、本格的にカジュアル面談の日程を相談する人もいたほど。企業担当者の方からも、「こんなに参加者の人とつながれたのは初めてかもしれない」という感想を聞かせてくれました。

和やかな雰囲気だからこそ、企業側も参加者も大きく踏み込んだやりとりをできたのだと思います。

舞台裏ではVRユーザーが大活躍。ユーザーを信任して生まれたメタバース就活イベント


(写真左から犬の会長さん、筆者、はいえろさん、おきゅたんbotさん)

今回開催された「METANAVI」は、株式会社tenshabi主催ではあるものの、運営にはソーシャルVRで活動している人が多く携わっています。開催一週間前に、司会のはいえろさん、企画の犬の会長さん、主配信担当のおきゅたんbotさんにお話をうかがいました。

発端は、株式会社tenshabiの溝口さんがVR蕎麦屋タナベさんへ「就活イベントを開催したい」と持ちかけたことからはじまったそうです。そこからタナベさん経由で「xR転職合同相談会」を開催・運営経験のあるはいえろさん、犬の会長さん、おきゅたんbotさんが今回の「METANAVI」の運営にアサインされました。


(タナベさんも今回のイベント会場制作を担当。シンプルでスタイリッシュな会場には、マイクによる拡声機能やスライドショー機能も実装され、リアルなイベント会場さながらの空間になっていました)

お三方とも共通して述べていたのは「tenshabiさんは全面的にこちらに任せてくれる」という点。同社代表の溝口新平さんがVRユーザーに対する強いリスペクトをもっており、参加クリエイターに様々な領域をまかせてくれるので、準備がしやすかったと話していました。

実際、開催一週間前に取材したタイミングでも、おきゅたんbotさんのライブの調整がその場ですぐに行われるなど、ソーシャルVRイベント運営で培われた機動力がフル活用されている印象を受けました。

メタバースブームは加熱が続いていますが、こうしたユーザーを信任したイベント運営が、ブームの初期に発生している流れは注目に値します。企業がコミュニティと共に新しい価値や機会を創造する流れは、メタバースを「居場所」と考えるユーザーにとっては重要と言えるでしょう。

「METANAVI」第1回は、VRChat会場に30人、YouTubeライブ配信とZoom視聴で合計1000人超が参加。早くも第2回が6月下旬に開催されます。VRメタバースで切り開かれる、新たな就活イベントに興味のある方は、次回への参加を検討してみると良いでしょう。

なお、同イベントはおきゅたんbotさんと癒色えもさんが配信を行い、現在も動画アーカイブが公開されています。おきゅたんbotさん視点はイベント全体の様子を伝えるもの、癒色えもさん視点は参加者にフォーカスしたものとなっているので、当日の雰囲気を確認したい方はこちらも参考にしてみてください。


(参考)プレスリリース


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