10月15日に発売されたMeta Quest 3Sに、「低光量環境でのトラッキング強度がMeta Quest 3より高い(安定してる)」という特性が発見され、注目を集めています。
「Meta Quest 3S」は、2023年に発売された「Meta Quest 3」の廉価版。レンズや解像度はMeta Quest 2と同等ながら、ハードウェアの処理能力や機能はMeta Quest 3と同じものとなっており、MetaストアでリリースされているMRアプリがすべて利用できます。価格は128GB版で48,400円(税込)です。
米メディアUploadVRは、同ヘッドセットとQuest 3、Quest 2の比較テストを実施。暗所(光源がまったくない場所)で使用したところ、Quest 3とQuest 2のトラッキングは“無効化”されたものの、「Meta Quest 3S」の場合は壁や、その他の物体の近くに留まる限り、トラッキングが機能したと報告しています。
「Meta Quest 3S」には、上記画像のように赤外線ライト(赤く発光している部分)が搭載されています。投光器は、赤外線を利用者の手やコントローラーに投射してカメラによるトラッキングをサポートします。Quest 3には赤外線深度プロジェクターが搭載されていますが、同機器が動作するのはMRモードでのスキャン時に限定されます。この“差異”が、暗い環境でのトラッキング精度の違いを生んだと推測されます。
UploadVRは、少し暗い部屋での検証テストも実施しました。完全に暗闇の部屋と比べると違いは減った(Quest 3もトラッキングが機能した)ものの、ハンドトラッキングについては「Meta Quest 3S」の方が精度が高く、偽陽性フレーム(角度が間違っていたり、指の位置が違っていたりする)を生成することも少なかったそうです。
なお、デバイスに赤外線投光器を搭載してトラッキング精度を向上させる試みは、以前から複数の企業が実施しています。ハンドトラッキング系技術で知られるUltraleapは10年前から同社の機器に赤外線投光器を実装。また6月に日本で発売された空間コンピューターApple Vision Proも、本体前面に赤外線投光器を2基搭載しています。
本当かどうか実際に試してみた
上記が、パートナーメディアのUploadVRの報告ですが、実際に本当なのか? 日本メディアのMoguLiveも試してみました。
まず、少し薄暗い部屋を用意。そのうえで、Meta Quest 3とMeta Quest 3Sを起動して、ハンドトラッキングの動作を確認してみました。
まずは、Meta Quest 3Sの方から、これだけ暗い環境でも普通に動作していることが分かります。指の動きも一本一本しっかり同期していますし、メニューボタンのタッチもできています。床や天井まで手を伸ばすとトラッキングが外れることもありますが、概ね問題なく動作しているといえるでしょう。
続けて、Meta Quest 3で検証してみたのですが……あれ? あんまり変わらない? 暗さの程度問題なのかもしれませんが、しばらく使っても問題なく操作できました。たしかに、ほんのわずかにMeta Quest 3Sの方が画面全体が明るい気がしますが、そこまで驚くほどの違いではありません。ハンドトラッキングも問題なく動作しますし、メニューボタンのタップもできます。正直違いを探す方が難しい……といった感想でした。
結論:違いはあんまりない
ただし、今後のソフトウェアのアップデート次第では、赤外線ライトの機能が十分に活用され、Quest 3と比べてはっきりとした違いを感じられるようになる可能性もあるかもしれません。MoguLive編集部では引き続き、Meta Quest 3Sについて詳しく掘り下げていきます。
(参考)UploadVR
Mogura VRはUploadVRのパートナーメディアです。