Oculus RiftやHTC ViveなどハイエンドなVRヘッドセットを購入するにあたりネックとなる要素の一つがコストの高さです。現在、HTC ViveとOculus Riftは以前よりも低価格での提供を行っていますが、HMDの動作にはハイスペックのゲーミングPCが必要であり、依然として10万円以上が必要な状態が続いています。
HTCはDalian Television、Beijing Cyber Cloudとの協働によって、ヘッドセットをPCに接続せずに、クラウド上にあるVRコンテンツにアクセスできるサービスを開発しました。本サービスは現在大連市にて試験的に運用を行っています。
HMDをPC接続せずにコンテンツをプレイ
本サービスではPCの代わりにボックス型のデバイスを接続して使用します。これは60Mbpsでのブロードバンド通信が可能で、これによってHTCのコンテンツ配信プラットフォームであるViveportのコンテンツにアクセスできます。コンテンツはクラウド上にあるためデバイスにダウンロードする必要がないため、コンテンツに手軽にアクセスできます。
HTC Viveの中国担当プレジデントであるAlvin Wang Graylin氏は本システムを音楽ストリーミングサービスのSpotifyに例えて、「クラウド上のコンテンツにアクセスできるため、容量の大きなVRコンテンツを時間をかけてダウンロードせず体験できる」と、メリットについて言及しています。
定額利用が可能に
このクラウドVRサービスは定額で利用することが可能で、ユーザーはデポジット(預かり金)として3,000人民元(約5万円)を支払います。正式な利用価格はまだ決定していませんが、毎月500人民元(約8,400円)を支払うことでHTC Viveと接続用デバイスをレンタルし、Viveportのコンテンツに無制限でアクセスできます。また、サービスはいつでも退会できます。
別のプランでは、6,688人民元(約11万円)を支払えば、デバイス一式と1年間のサブスクリプションを購入できます。
プレイ中に遅延が生じる可能性も
しかし、クラウドVRサービスでは使用時にネット接続が必須になるため、ネット環境の状況がコンテンツのプレイに影響しやすいという問題もあります。Graylin氏はツイッターでの問い合わせに対して「(コンテンツのプレイ中に)若干の遅延が生じるかもしれないが、激しく動き回るコンテンツでなければ問題はない」と回答しています。
クラウドを介したVRコンテンツ配信サービスが登場すれば、ハイエンドHMDを用いたVR体験を一般家庭でも導入しやすくなります。次世代高速通信の5Gが普及することで大容量の高速データ通信が可能になり、クラウド上のコンテンツにアクセスするこうした方法が普及する可能性もあります。
(参考)
Engadget / HTC Vive ditches the PC thanks to China’s cloud VR service(英語)
https://www.engadget.com/2017/09/19/htc-vive-china-cloud-vr-service/