HTCは昨年4月に、「Vive X」と称するVR支援プログラムを立ち上げ、第1期では1億ドル(約110億円)を33社のAR/VR企業へと投資を行いました。同プロジェクトは今年も継続して第2期を迎えました。以下に、約700の応募の中から投資対象に選ばれた33のスタートアップを、地域別に紹介します。
サンフランシスコ
・cognitiveVR VR/ARにおける3D空間上のユーザーの行動に対する、分析ツールを提供しています。
・Construct Studio インタラクティブな物語体験を作成する、英語/中国語の両言語に対応した独立系の製作スタジオです。同スタジオによる作品としては昨年12月にリリースされた『The Price of Freedom』があります。
・Phosphor Games VRホラーシューティングゲーム『The Brookhaven Experiment』などで知られる製作スタジオです。
・HyperfairVR Webベースで企業向けのソーシャルVRをSaasで提供する企業です。本サービスを利用して、企業は自社ブランドのVR環境を簡単にカスタマイズすることができ、そのVR環境内で顧客や従業員らがアバターを介して交流できるようになるとのことです。
・Limitless 簡単にVRコンテンツを作れるようなプラットフォームをクラウドベースで提供する企業です。VR空間内で直接キャラクターのモーションコントローラーを操作して、アニメーションを作ることができるようになっています。
・Mindesk VR空間内でのCADを実現しています。また、「Mindesk」では、複数人が同時にVR空間内でモデルを制作できるとのことです。
・Realiteer 薬物乱用、不安障害、鬱などに対する認知行動療法を、VRやARの技術で効果を高めることを目指している企業です。同社は世界的に第一線の研究者と協力して、本プログラムの構築にあたっている模様です。
・The Rogue Initiative AAAタイトルの作品を手掛ける、VRやデジタルメディアコンテンツを制作するスタジオです。同社にはエンターテイメント業界のベテラン陣が集まっています。
・Subdream ソーシャルVRゲームの製作スタジオです。VRアーケードや自宅で遊べる高品質なマルチプレイヤーゲームをリリース予定とのことです。
・Vertebrae VRやARでのネイティブ広告プラットフォームを手掛ける企業です。本プラットフォームを利用することで、VR、AR、360度動画の中に広告を挿入することが可能となるようです。
北京
・Mint Muse オーディオ技術を中心とした企業で、3Dオーディオワークステーションをはじめ、様々なサービスを提供しています。
・Hexa 写真などの2次元のデータを3Dアセットに自動的に変換するサービスを提供しています。小売業者などがこれを利用して製品を3D化し、オンラインで閲覧できるような形にすることも可能とのことです。
・Vito VRによる教育ゲームの先駆けとなった企業です。自然や科学における発見、歴史や社会に関する物語、物理環境シミュレーションなどを扱ったシリーズものののコンテンツを備えています。
・Invrse Reality 仮想現実と実際の現実の融合を目標として掲げており、独自のインタフェースデザインによりそれを実現しようとしている模様です。
・PlusOne ARとAIの組み合わせに強みを持ったスタートアップです。従業員教育を狙った「HoloSapiens」と称するインタラクティブなホログラムの実現を目指しています。
・Multiverse ゲーム業界の名だたる企業のベテランらによって立ち上げられたVRスタジオです。同社の作品には非常に評価の高い『Reveries: Dream Flight』があります。
・ReAccent コンソール、PC、モバイル向けのゲーム開発で実績のある、ゲーム制作会社です。現在は、スポーツやアドベンチャー系の作品を開発中とのことです。
・Byond クラウドベースのVR出版プラットフォームを手掛けています。同社のツールを用いることで、簡単に、そしてあらゆるプラットフォームでわたってVRアプリケーションを作成できる模様です。
・OVA’s StellarX 掴んでは離すようにしてモノを作り上げるといった、非プログラマー向けのVR環境作成ツールを提供しています。
深セン
・Transmind ビデオ視聴、ゲーム、チャット、あるいは恋人探しまでをかなえるソーシャルVRを手掛けています。
・Aurora AR’s ARグラスのリーダーとなることを目標としています。最初の製品は、135度の視野角を持ち、日光の元でも使用できるARグラスを、消費者に手の届く価格の範囲で打ち出すとのことです。
・Kiwi Technology 3Dグラフィックや視覚効果とともに、RGBカメラによる検出・追跡技術を消費者製品に提供しています。同社の「KiwiFace mobile」と「VR SDK」はすでに、数億代もの製品に採用されています。
・Shengda 高電圧なものの取扱など、危険な実験や訓練の代替としてのVRを提供している企業です。
・Brokencolors ヘッドセットを着けているユーザーの視線、表情、感情などを検知して統合する技術を備えています。
・bHaptics 腕に巻いて取り付けるタイプの触覚デバイスを提供しています。
・SoccerDream 世界トップレベルのクラブチームが行っているような、サッカーのトレーニングを体験できるコンテンツを作り上げています。
台北
・Opaque Space シミュレーションVR体験の最先端を行く開発チームです。評価の高い『Earthlight』を手掛けていたり、NASAと共同して、次世代の宇宙飛行士のためのVRトレーニングツールを開発しています。
・Snobal 企業がデザインやアイデアを売り出す際に効果的に提示できるような、インタラクティブかつフォトリアリスティックなVR体験を作るためのツールを構築しています。
・Memora 360度カメラにおける世界的に第一線の企業です。同社の360度カメラ「luna」は、Indiegogoで30日の間で340,000ドル(約3,740万円)を調達した実績があります。
・Xikaku 工業や医療向けアプリケーションとしてAR技術を開発している企業です。同社初の製品である「X-visor」は、工場で働く職員が、オーバーレイによる表示で正確かつ効率的な機械性検査を行うことを可能にするとのことです。
・Appnori Inc. スポーツVRゲームに特化した開発会社で、野球や卓球といった、年齢によらず楽しめるゲームを開発しています。
・VRANI’s 対話型VRキャラクターに焦点を当てて、VR上での素晴らしい体験の提供を目標としているとのことです。
・TEGway 折り曲げられる熱電デバイスの製造会社です。VR/AR環境における温度や痛みを感じることが可能となる「ThermoReal」なども提供しています。
なお、これら投資対象となった企業は、HTCより非公開での投資と指導を受ける模様です。とはいえ、「Vive X」には他のプラットフォームの排除という条件は含まれていないため、企業はHTC向けに限らずにVR/ARを開発できるとのことです。
※Mogura VRは、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。
(参考)
HTC Invests in 33 More AR/VR Startups Through Vive X Accelerator(英語)
http://www.roadtovr.com/htc-funds-33-startups-vive-x-accelerator/
Vive X 投資対象企業一覧
https://www.vive.com/us/vivex-portfolio/