メタバースプラットフォーム「cluster」のクリエイター向けイベント「Cluster Conference 2024」が開催され、今後のアップデート内容が発表されました。本記事では、現地のバーチャル会場を取材。会見の模様とともに、今後実装予定の新機能を紹介します。
楽しいだけでいいのだろうか?
Cluster Conferenceは、例年cluster内のオンラインイベントとして開催されており、代表取締役CEOの加藤直人氏の他、プロダクトマネージャーたちが今後追加される新機能を直接紹介しました。
「Cluster Conference 2024」の会場には多くの来場者が訪れており、コメントも次々と書かれるなど、clusterがメタバースとして盛況しているのが感じ取れました。
開始直後、まず加藤直人氏がアバター姿で登壇。2023までのカンファレンスを振り返りつつ、「今のclusterがあるのはクリエイターのみなさんのおかげ」と感謝を述べました。
そのうえで、あらためて「バーチャルの世界は楽しい」と思っているものの、「楽しいだけでいいのだろうか」との疑問を参加者に投げかけます。楽しいの次の世界を目指すために、「clusterはバーチャルに住むすべてのユーザーの人生が、経済的にも、精神的にも豊かになる世界を作る」という宣誓をしました。
ワールドの主なアップデート
プロダクトマネージャーのSmith氏にバトンタッチすると、これまでワールドクラフトストアとアクセサリーストアがあるにもかかわらず、ワールド制作には収益方法がなかった点に着手します。
新たに追加されるのは、ワールド内課金機能です。コインを使うことで、例えばガチャガチャを回す、花火を上げる、VIPルームに入る、強い武器を手に入れるなど、クリエイター次第でさまざまなかたちの収益を得ることができます。事前審査はなし。リリース日はカンファレンスがあった8月29日(木)当日からです。
他にも、バーチャル空間で触れるUIが作れる「Interactive Player Local UI」、ワールドを横断したセーブ機能「Player Storage」、YouTube動画をワールド説明画面への組み込みなどが登場。UGC制作体験も向上するよう、マルチプレイヤーデバッグなどの機能が追加されます。Discordのクリエイターフォーラムもスタートしました。
各機能の追加スケジュールはこちら。
8/29
・ワールド内課金機能
・Discordフォーラム
9/2
・ワールド説明動画対応
9/9
・Unity Component Buildings
・Player Storage
10月
・Interactive Player Local UI
11月
・More Slash Commands
12月
・Multi Player Debugその他、年内順次リリース
アバターの主なアップデート
プロダクトマネージャーのいかり氏は、これまで開催されたアバターマーケットも楽しさを参加者たちと再認識しつつ、新たな機能「ワールド内アバター販売機能」を紹介。アバターを商品登録してディスプレイすることで、ワールド内でアバターを購入できるようになりました。
また、他のユーザーが身に着けているアクセサリーを確認し、プロフィールから購入できるようになりました。さらに、ユーザーからの要望が多かった「コーデ保存機能」が追加されます。ワールド内アバター販売に先駆けて、VRM1.0にも対応。
各機能の追加スケジュールはこちら。
9月
・VRM1.0対応
・プロフィールからアクセサリーが購入できるように
・ワールド内販売機能
11月
・コーデ保存機能
イベントの主なアップデート
clusterはもともとバーチャルイベントプラットフォームとしてスタートしましたが、さらに機能を充実していくとのこと。プロダクトマネージャーのとみね氏は、UI関連の新機能を紹介しました。
まずはUIのリニューアル。空間をさえぎるUIをまとめ、よく使う機能にアクセスしやすくなり、エモートも使いやすくなります。
収益要素であるVアイテムですが、機能の説明が少ないという問題がありました。これらをリニューアルし、アイテムのバリエーションが増え、UIも変更、名前も「ギフト」へと変わります。
イベントページもリニューアルし、タグや検索で見つけやすくなり、イベント内の様子も分かりやすくなるとのこと。その他、VRサブ音声にも対応します。
各機能の追加スケジュールはこちら。
9月
・Vアイテムリニューアル
10月
・UIリニューアル
・VRサブ音声対応
・イベントページリニューアル
さらにライブハウス空間「Cluster Live Music Club」のスタートを告知。誰でも手軽にライブができる有料チケットサービスとして提供予定です。
加藤直人氏は、統計情報を確認できるクリエイター向けダッシュボード「Cluster Studio」も10月にリリースされると紹介します。一方、clusterではこれまで営利利用が禁止されていたことにも触れ、個人の営利利用を解禁すると発表しました。
本カンファレンスでは、バーチャル経済圏をつくるというビジョンのもと、さまざまな新機能が紹介されました。現場での印象としては、参加者たちがカンファレンス内で好意的な反応を示しており、プラットフォーム、クリエイターとも、新しいものを作っていくという意気込みを感じます。
収益化機能の強化により、国内発メタバースとしてどのようなものが出来上がっていくか、今後の発展が楽しみです。
(参考)clusterイベント、YouTube配信