シャープは2025年10月31日、VRグラス「Xrostella VR1」を発表した。PCとスマートフォンに接続することができ、トラッキングは外部センサーを使わないインサイドアウト方式を採用。コントローラーが付属する。
11月よりクラウドファンディングを予定しており、価格は15万円前後とのこと。
記者発表の会場では実機を体験できたので、その感想をお送りしよう。
Xrostella VR1とは?
シャープはXrostella VR1の発表を、同社のスマートフォン「AQUOS」シリーズの最新機種の発表と同時に行った。同時だったことには深い意味はなさそうで、ブランドとしても国内外に知られているAQUOSを冠さず、新たな名称としているため、別ラインナップとなっている。
特長としてはカタログスペックとして198gという重量に目が行くが、「軽量なのもそうだが、何より装着感を重視した」(シャープ担当者)とのこと。Meta QuestやPICOなど、市場にVRヘッドセットが多く登場している中で、VRのユーザーは着実に増加しており、特にPC接続型ヘッドセットのユーザーによる長時間利用も増えてきている。そうしたニーズに対応したデバイスとのことだ。

(軽さをアピール。Meta Quest 3Sの500g超と比べると半分以上の軽さだ。)
こだわりのつけ心地、バンドが鍵
まずは装着。
「VRグラス」と謳(うた)っているように、基本形状として後頭部までガッチリと固定するのではなく、耳にかける眼鏡のような形状を採用している。
まさにつけ心地へのこだわりは非常に強く感じられた。テンプル部だけで頭部にしっかりとホールドしようとすると198gのデバイスとはいえ、頭を振ったりしてもずれないようにするためには、かなり強く締め付けざるを得ない。そのため、頭部が痛くなってしまいそうなものだが、テンプルの可動部分をかなりしなやかな構造にしており、頭にかけて装着する瞬間も、装着したときのフィット感もテンプルだけに支えているにしてはなかなかだ。
では、装着感はどうかというと……やはり前部に重さは感じてしまう。ソファなどに半ば寝転んで顔の上に乗るような体験をするならまだしも、VRゲームやフィットネスをするような顔を真正面に向ける姿勢の場合、「あまり激しい動きはできないな」と思わせられる。
それを解決したのが、ヘッドバンドだ。簡易なものではあるが、左右のテンプルの先に繋ぎ、後頭部でバックルを嵌めることで装着が完了する。
このバンドをつけた瞬間、重心が一気に移動し、装着感は軽いものとなる。メーカーが謳う長時間利用や、ある程度動きを伴うVRの場合、このバンドは必須のように感じられた。
なお、ヘッドセットのフェイスクッションはマグネットにて簡単につけはずし可能。材質もラバーなので、簡単に拭いて消毒できるあたりは法人需要も見据えているからだろうか。
そして、VR機器で重要になるのが各種調整機構だ。左右の目の瞳孔間距離(IPD)はレンズを横に移動して調節ができる。
https://www.youtube.com/watch?v=ft8flwL4bxE
また、視力に関しては、レンズの周囲をダイヤルのように回すことで0.0から-9.0まで対応する。このあたりは使いまわしのときの煩わしさを考えると非常に素晴らしい機構だ。
ヘッドセットの底部には、ビデオパススルーに切り替えるボタンと音量調節のボタンが付属。音質を確認することはできなかったが、Xrostella VR1にはスピーカーとマイクが内蔵されている。
そして、ヘッドセットの前面は上部左右に2基のトラッキング用カメラ、中央にパススルー用のカメラが1基搭載されている。このトラッキング用カメラを使ってユーザーの動きを捕捉することになる。
続いてコントローラーだ。多くのPCVRは、いわゆるアウトサイドインと呼ばれる方式で、ベースステーションという外部デバイスを部屋に設置するタイプになっているため、コントローラーが別売りのヘッドセットも多く、プラス数万円の出費になってしまう。その点、Xrostella VR1には両手のコントローラーが付属することもポイントだ。
形状はMeta Quest 2やPico 4のコントローラーとほぼ類似だが、手をコントローラーに固定するバンドが標準搭載されており、手がかなりしっかりと固定される。
最も気になったのは……
記者会見会場では、スマートフォンに接続したモードとPCに接続し、SteamVRでVRコンテンツを体験する2種類のデモを体験できた。
まずはスマートフォンに接続するモード。スマートフォン側の専用アプリを通じて、映像を大画面で見るというもの。頭の動きに追従するのみのため、いわゆる0DoFだ。対応スマートフォンはAQUOSのみを予定しているとのことで、汎用性には欠けるかもしれない。
続いて本命のPCVRモード。筆者が体験できたときにはVRChatの接続が不具合でできず、SteamVRのいわゆるホームを体験するのみとなった。
(SteamVRには、Xrostella VR1の専用アイコンが表示されていた)
片眼2160 × 2160、最大90Hzの液晶ディスプレイは、Meta Quest 3S(1832×1920)よりもやや高い程度、見え方が大きく違うというよりは、「同じような体験が圧倒的に軽量のデバイスでできる」といったところだろうか。テレビなども製造しているシャープの“液晶”ではあるが、特別なディスプレイが搭載されているという言及はなく、体験した筆者も特別異なる印象は受けなかった。
視野角は90度ということでやや狭め。ただし小型軽量な本体とのトレードオフではあるので、広いほうが良いとはいえ、大きく気になることはなかった。
体験をしていて最も課題に感じたのは、トラッキング精度だ。それもヘッドトラッキングではなく、位置トラッキング(ポジショントラッキング)とコントローラーのトラッキングの追従性があまり良くなかった。つまり、現実の動きへの反応が遅い。
市場で主流になっているMeta QuestやPicoでは激しい動きを伴う、VRコンテンツに対応するために4基のトラッキング用カメラを搭載しており、さらに搭載箇所はできるだけ広い範囲を捕捉できるように左右の角に近い位置に配置をしている。
一方、Xrostella VR1では数が少ないカメラ2基、そしてカメラの位置はヘッドセットの比較的中央となる。トラッキング範囲、精度ともに動きのあるコンテンツを体験する場合には、課題を感じるものとなった。トラッキング技術に関してはどのような技術を採用しているのか質問をしてみたが「開発の都合上、答えられない」とのこと。
Xrostella VR1は、2025年11月下旬よりクラウドファンディングを開始。想定価格は15万円前後とのこと。
Shiftallの「MeganeX 8K Mark II」、SONYの「XYN XRヘッドセット」など、2025年は日本からVRヘッドセットの発表が続いている。さらに。グローバルにも目を向ければMeta QuestやPico、Bigscreen Beyondなど大小のヘッドセットメーカーがひしめいているが、とにかく特徴としてはユーザーの声を取り入れながら、時に細やかな改善を続けているということ。
Xrostella VR1はシャープが市場投入する最初のVRヘッドセットとなる。クラウドファンディングを通して「ユーザーの声に耳を傾ける」としており、今後どのような展開となるのか、注目したいところだ。










