AR業界の大きな課題の一つである「ARで表現されたオブジェクトと現実と相互作用性」に関する研究を、マサチューセッツ工科大学(MIT)が発表しました。
画面上のオブジェクトへの干渉
MITは最近、インタラクティブ・ダイナミック・ビデオ(Interactive Dynamic Video:IDV)と呼ばれる技術の研究を行っています。IDVは画面上に表された現実のオブジェクトに対し干渉(触れる・操作する)ことのできる技術であり、技術の紹介動画も公開されています。
Interactive Dynamic Video
画面上のオブジェクトに干渉し、動かしている様子が映されている
IDV技術では、オブジェクトの振動を計算するアルゴリズムを構築し、画面上の現実のオブジェクトに適用することで、オブジェクトがリアルに振動する様子を再現することが可能。そしてこの技術をARに応用することで、画面上のARオブジェクトが現実のオブジェクトに実際に触れている(影響を与えている)ような表現が可能となります。
恐竜のアイコンが画面上の現実の遊具に影響を与えているような描写
『ポケモンGO』にも応用が可能か
最近世界的に流行している『ポケモンGO』にはポケモンをカメラを用いて現実の風景と重ねるAR機能が実装されていますが、プレイヤーの動きやポケモン・モンスターボールの動作は背景画像に何ら影響を与えることはありません。
今回、IDV技術を発表した研究室はポケモンGOに適用した映像も公開しています。
Pokemon GO and Interactive Dynamic Video
葉から葉へとキャタピーが飛び移るたびに揺れる様子が確認できる
このようにIDVを応用したARのことを、研究者のAbe Davis氏はDAR(Dynamic Augmented Reality)のように呼んでいます。現時点で同技術は研究段階とのことですが、近い将来ARアプリケーションが新たな進化を見せる日が来るかもしれません。
(参考)
Amazing MIT Research Project Lets You Reach Into Augmented Reality(英語)
http://uploadvr.com/idv-augmented-reality/
※米UploadVRはMogura VRとパートナーシップを結んでいます。