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VTuber 2022.04.29

VTuberの先駆的存在・雪猫カゥル氏が活動10周年 これまでの活動を本人に聞いてみた

VTuberの先駆的存在として知られる雪猫カゥルさんが、2022年の4月21日(木)で活動10周年を突破しました。

雪猫カゥルさんは、ニコニコ生放送でバーチャル生主として活動を2012年4月から開始し、CGを使ったリアルタイムの劇場を展開。キズナアイさんなどのVTuberが注目されて以降は、VTuberの先駆的な存在としても知られるようになりました。現在もニコニコ生放送で活動を継続中。YouTubeでもアーカイブを視聴可能です。

MoguLive編集部では、今回雪猫カゥルさん本人に活動10周年について振り返ってもらうインタビューを実施しました。

雪猫カゥルインタビュー

――10周年おめでとうございます。これまで活動を続けられてきたことに対するお気持ちをお聞かせください。

雪猫カゥル:
ありがとうございます! しかし10周年といっても自分としてはまだ大きな山の麓に居るという感覚があり、これから先の方が長く大変だろうなと思っています。

――現在の雪猫カゥルさんの活動がどういったものなのか、読者の方に紹介をお願いいたします。

雪猫カゥル:
近頃は「無重力都市ジーナイク」というオリジナルSF作品の3DCGを作りつつ、その世界の中からライブ配信するという活動をしています(無重力都市ジーナイクという名称は以前は無重力都市ジーナイトにしていましたが、ジーナイクの方がユニークなので名称を変更しました)。

もともと「無重力都市ジーナイク」は2007年の年末ごろに構想が閃いて、その3DCGを作り始めていたのですけど、2012年以降はカゥルの生CG劇場を配信するために制作を一時中断していたのです。だから現在はライブ配信で、本来作ろうとしていたメイン作品の制作を再開してそれを配信しているという状況です。

「無重力都市ジーナイク」に必要な3DCGの物品数は膨大にあるし、地球文明とは全く違う世界なので、設定やデザインを考えるのも難しいです。登場人物達はみんな無重力状態の中で動くのでモーションキャプチャーが使えなく、モーションは全て手付けで作らなければなりません。だから全てのCGが出来るのは、これから更に膨大な年月が掛かるだろうと覚悟しています。

それでさすがに何年も何も発表せずに黙々と一人で作り続けているのはまずいので、作っていく過程も公開しているのです。そうすれば作品の完成前に評価されてファンになってくれる方も見つかるかもしれないですからね。

ライブ配信は初期の頃は雪猫カゥルがVOICEROIDを使って喋っていました。しかし、ハムスターコロユキの方が喋るのが早いので、もうここ数年はコロユキがライブ配信での解説係をやっています。カゥルもコロユキも同じ作者の化身キャラです。

――VTuberが流行する以前から活動されていますが、VTuberが世に大きく注目を集めるようになって以降、活動に変化などはありましたか?

雪猫カゥル:
2017年の年末にニコニコ動画でバーチャルYouTuberよくばりセットを見た時に、これは祭りが始まったなとワクワクしました。自分もこの祭りに混ざりたいなと思い、そのためにVTuberとしての自己紹介動画を改めて作ってYouTubeにアップしました。その自己紹介動画は狙い通りバーチャルYouTuberよくばりセットにピックアップされて、雪猫カゥルも超古参のVTuberとして再評価されました。

ファンの方が描くVTuber集合絵にも雪猫カゥルを入れてもらえたりして嬉しかったですね。

CG専門雑誌の「CGWORLD」でバーチャルYouTuber特集が組まれたときに雪猫カゥルが紹介されたのも良い記念になりました。「CGWORLD」は昔から毎月買っている雑誌で自分も載りたかった雑誌だったのです。

自分は他のVTuberの方とはライブ配信でのコラボレーションはやらないですけど、短い動画を提供したり雪猫カゥルの3Dモデルデータを提供するようなコラボレーションは時々やる事がありましたよ。今年2月のキズナアイさんのラストライブではバーチャルゲストが募集されていたので自分も応募して、1,809名のゲストの一人としてキズナアイさんのライブに参加したりもしました。あれは感慨深かったですね。

基本的には自分のオリジナル作品を作るのに集中したいと思っているんですけども、存在を忘れられないように、たまに他のVTuberの方の企画に参加する事もあるという感じです。

――これまで活動を継続できた秘訣や、継続のモチベーションの保ち方などがあれば、お聞かせください。

雪猫カゥル:
本当はもっと大きくて大変な事をやろうとしているのです。自分は子供の頃に歴史に残るような凄い事をしようと決意したんですよ。それは歳を取るにしたがって具体的になっていきました。今では人生の全てを3DCGの作品制作に使うと覚悟を決めています。

雪猫カゥルの生CG劇場は10年続けてきましたけど、その活動が歴史に残るぐらい凄い事かというと、まだまだ足りないですね。もともと設定していた大きな目標に比べると10年の活動は楽なものだなと思っています。将来、無重力都市が完成したときに初めて達成感を感じるでしょう。

あと活動は自分一人で休み時間を使ってやっている事も続ける秘訣かもしれません。自分自身の意思だけで続けられるのですから。まだ完成していない作品の内容が凄いものだという事を自分は知っています。それが自信というものです。

――10年のなかで最も大変だった、苦労したことなどはどういったことでしょうか?

雪猫カゥル:
自分が作っているCG作品を観に来てくれる方が居るというのは嬉しい事なので、基本的には大変でもないし苦労も感じていないです。他に観るものが膨大にある中でわざわざ自分のライブ配信や動画を観てくれる人がいるんですから。

平日は普通に会社に行って仕事をしていてCG制作も配信活動も休み時間にしか出来ないのですけど、ライブ配信は毎週1回は必ずやる事に決めています。この10年間で配信できなかった週は2週しかないんですよ。それは引っ越しをした週と、なぜかマンション全体がネットに繋がらなくなった週でした。その2回の休みは手の打ちようが無かったですね。PCがネットに繋がらなくなると配信できないです。

ライブ配信の日時は毎週日曜日の夜9時にしています。なにげに配信開始時間に遅刻した事も殆ど無いですね。そのあたりは我ながらかなり几帳面だなと思います。列車は走り始めが一番エネルギーがいるけど、一度始めたら止まらずに走り続けた方が省エネなので、配信も習慣付けて規則的にやるのがむしろ楽ですね。

10年間でPCを修理に出した事は3回あって、それは結構なピンチでした。でも故障したPCが修理から帰って来るまでは古いPCを起動して配信をしましたよ。意外とPCはよく壊れる物なので起動できるPCは常に2台はあった方がいいですね。

PCは自分の体の半分と言っていいぐらい重要な物で、PCが壊れるのは自分が病気になるのと同じほどのダメージだと感じます。

ちなみに「無重力都市ジーナイク」にはロボットの相棒が登場するんですけど、そのロボットと主人公の関係には、PCと自分の関係が表れていたりします。

そのほか、3DCGを作るのに使っていた「Softimage」というツールがバージョン2015で開発終了になってしまい、メインの3DCG制作ツールをMayaへ切り替える事になったのは非常に大きな痛手になりました。もし最初からメインツールをMayaにしていたら、数年単位の膨大な時間ロスを防げたと思います。

PCはハードもソフトも本当に重要で、たまにトラブルがあるとさすが困ってしまいます。だからPCハードとソフトを開発してくれている方々にも、いつもありがとうと感謝を伝えたいですね。

――今後の活動目標をお聞かせください。

雪猫カゥル:
2012年にニコニコ生放送で雪猫カゥルの生CG劇場を開始した時から、「無重力都市ジーナイク」のクライマックスシーン映像を発表出来る日まで配信は続けようと思っていました。その映像が出来るのは、これから更に20年ぐらい先になりそうですけど、不屈の精神で完成させたいです。

あと無重力都市の他にも生CG劇場には、雪猫カゥルがインドの仙人にお茶っ葉をもらいにいく話や、ハムスターコロユキのパワーの秘密が明かされる話などのサブエピソードもあるんですけど、それらも話が最後まで進んでいないです。そのサブエピソードも完結させたいですね。

――ありがとうございました! 引き続き活動を応援しております。

雪猫カゥルさんの活動は以下をご覧ください。
YouTubeチャンネル:
https://www.youtube.com/c/kaluru

ニコニコ生放送:
https://com.nicovideo.jp/community/co1614769


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