7月6日に発売されたXREALの新型スマートグラス「XREAL xbx a01+」。XREALのサブブランド「xbx」の初代機となるデバイスである。価格は43,980円(税込)。正直、とても安価だ。一般的な映像観賞用のARグラス・スマートグラスが6~8万円の価格という状況なので、破格の値段である。
しかし、問題なのは実際の性能。今回あらためて本機を手に取ったので、使い心地をレビューしていこう。
軽い! そしてカッコいい!
そもそも「XREAL xbx a01+」は、PCやスマートフォンにケーブルで接続して映像やゲームを観賞する目的のデバイスだ。断っておくと、今秋発売予定のARグラス「XREAL Aura」のような高性能なAIのナビゲーションやAR体験ができるものではない。スマホの画面を大画面にして、きれいな映像を楽しむことに特化したものだ。
手に持ってみる。軽い。重さは全体で62g(前面フレーム装着時)ほど。XREALのARグラス「XREAL 1S」の重さは、約82g(ノーズパッド除く)なので、約20gほど軽量化されていることになる。その差は歴然。これまで、映像を表示するタイプのスマートグラスは、グラス部分にディスプレイを表示するためにどうしても鼻の部分に重さを感じやすく、長時間使用でズレてきてしまう印象があったが、この重さならズレ落ちにくい。
そして、さっきから気になるのが、カッコよさだ。前面のレンズ部分がとても鮮やかなブルーで、良い意味でガジェットっぽさが薄い。これまでのARグラスでは、ディスプレイの表示用のパーツがグラス越しにどうしても透けて見えてしまうので、一見だけで普通のサングラスとは違うことが分かってしまうのだが、本機にはそれがない。そのことがカッコよさに繋がっている。公式サイトの雰囲気を見ても分かるが、このデバイスのターゲットは、明らかに20~30代の、グラスを使ったことのない初心者ユーザー。彼ら彼女らが手に取るためには、これだけのデザインのこだわりが必要だったのだろう。
この明るさは、いろんな不満点を帳消しにしてくれる
さて、気になるスペックは表のとおりだ。「XREAL 1S」と比較した方が分かりやすいので、併記する。
| 項目 | XREAL xbx a01+ | XREAL 1S |
| 価格(税込) | 43,980円 | 67,980円 |
| 本体重量 | 62g(レンズカバー脱着時 56g) | 82g |
| 空間プロセッサ | 非搭載 | XREAL X1(4nm) 搭載 |
| トラッキング機能 | 0DoF(追従表示・ブレ補正モード) | ネイティブ 3DoF(画面の空間固定・ウルトラワイド対応) |
| ディスプレイ | SeeYa製 0.6インチ Micro-OLED | ソニー製 0.68インチ Micro-OLED |
| 解像度(片眼) | 1920 × 1080(FHD / 16:9) | 1920 × 1200(WUXGA / 16:10) |
| 視野角(FOV) | 50度(4m先に約147インチ相当) | 52度(10m先に約385~500インチ相当) |
| 最大輝度 | 1,600 nits | 700 nits |
| リフレッシュレート | 最大 120Hz | 最大 120Hz |
| 画質・HDR機能 | HDR10 / AI SDR-to-HDR変換 | ΔE < 3 色精度 / HDR |
| リアルタイム2D→3D変換 | 非対応 | 対応(REAL 3D機能) |
| 調光機能 | 着脱式100%遮光レンズシールド | エレクトロクロミック自動・手動調光 |
| オーディオ | マスタースピーカー(耳元最適化設計) | Bose監修 シネマティックサウンド |
| 接続方式 | USB-C(DP Alt Mode) | USB-C(DP Alt Mode) |
気になるのは、解像度や視野角が縮小されており、オーディオもBoseのシネマティックサウンドでは無くなっている。また調光機能をはじめ、バーチャルなディスプレイの位置を固定できるXREAL 1Sの機能や、映像のリアルタイム3D化機能なども無し。正直に言えば、性能に関しては、かなり削られている印象だ。
しかし、実際につけてみると、驚くことに映像が見やすい。映像はとてもくっきりだ。これは、おそらく最大輝度の影響だ。本機は1,600 nitsと、1Sと比べて非常に明るい。PDFの細かい文字などは正直見にくいと思うのだが、アニメやゲームなどではこの明るさがとても嬉しく思える。そういう意味でも「映像をみるためのデバイス」と振り切って設計されていると感じる。著者は正直、最初は安価なデバイスだからこそ、ディスプレイの見やすさには期待していなかったのだが、この明るさが色んな不足部分を帳消ししてくれている気がするのだ。
一方で、明確な不満点もある。フレームには明るさ/ボリュームを調節できるバーがそなえつけられているが、音量を変えたいのに明るさの変更になってしまうことが度々あった。バーを長押しして切り替えという仕様なのだが、これの切り替わりタイミングが初見ではかなり分かりにくい。操作にはある程度慣れが必要になることは覚えておくとよいだろう。
また、メニュー画面でディスプレイの大きさや手ぶれ補正のモードの切り替えなどが可能だが、このボタン操作が快適ではない。ボタンを押した後の反映にラグがある気がするし、押し間違えが何度も発生してしまった。これは、XREAL 1Sのときには感じなかった不快感なので、本機ならではの課題だろう。とはいえ、そんなに細かな調整を必要とするデバイスでもないので、そういうものだと割り切っても良いのかもしれない。
ちなみに、手ぶれ補正のモードは常時ONにしたいほど自分にとっては良かった。特に寝そべったり、上を向いたりしたいユーザーであれば、少しの頭の動きで画面がズレるのはストレスなので、この仕様はありがたい。
このように、ユーザーにとって必要最低限の機能がそろっているデバイスと言えるだろう。もちろん、ARデバイスを数多く試したことのあるユーザーであれば、物足りない、もっと改善してほしいといった要望は間違いなくある。ただ「スマートグラスというものが気になっているけど、なかなか手が出せなかった」という初心者ユーザーには、オススメできる。最初に戻るが、やはりこの価格帯は手が出しやすい。家族や親しい友人にならプレゼントできる範囲の値段だ(もし今回記事に紹介した課題が気になるのであれば、XREAL 1Sを選んでも良し。現状ベストの機器が欲しいのであれば、今年秋に発売予定のXREAL Auraを待ってからでも遅くない)。
夏休みの遠出中に大画面で動画を視聴したい、涼しい家の中で寝転がったままゲームを楽しみたい。そういった気持ちから、このスマートグラス「XREAL xbx a01+」を手に取ってみてはいかがだろうか?




