2019年はバーチャルライバーグループ「にじさんじ」や「ホロスターズ」といった企業からさまざまな男性VTuberたちがデビューを飾り、活躍する年になりました。「ひま食堂」や「MonsterZ MATE(モンスターズメイト)」など、YouTube配信に留まらず、音楽活動やイベント開催など外部メディアへの露出を積極的に行っているグループの成長も目覚ましいものがあります。
そこで今回は、普段から男性VTuberを追っている女性限界オタクの方々に、2019年の活躍を振り返る座談会を開催。日頃のファンとしての考えや今後に期待することなど、思いの丈を語ってもらいました!
座談会メンバー紹介
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紹介 |
五十嵐アキト(ライター)Twitter ・ネットでの活動 ・現在応援してるVTuber |
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おもも Twitter ・ネットでの活動 ・現在応援しているVTuber |
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Aさん(ゲームサークルカツサダのメンバー) ・ネットでの活動 ・現在応援しているVTuber |
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ゆりいか(司会進行) Twitter ・ネットでの活動 ・現在応援しているVTuber |
男性VTuber今年の出来事といえば?
――2019年は個人企業ともに活躍する男性VTuberが多数見られました。2年前とくらべると大きな変化があったのではと思っています。日頃男性VTuberを応援している女性リスナー視点で、それぞれ想いを語っていただけたら幸いです。年末ですし、忘年会みたいなノリでお願いします(笑)
- 一同:
- いえーい!
――さっそくですが、「今年印象に残ったVTuberの出来事」はなんでしょうか?
- 五十嵐:
- 11月に行われた「イケメンV祭」が特に印象に残っていますね。前半のトークや企画は笑える内容が盛りだくさんで楽しめて、後半のライブパートはバシっとかっこ良く決める構成が最高でした。企業、個人の垣根を越えて、男性VTuberが集まったイベントというだけでテンションが上がりました。あと会場に男性ファンが多くて…体感では女性7:男性3くらい? 会場入り前はもっと女性が多いと思っていました。
- おもも:
- 私も「イケメンV祭」行きました!けっこう男性もいましたね~。
- 五十嵐:
- 皆さんイケメンVTuberですが、容姿だけでなく、トークの面白さだったり歌の良さだったりで男性ファンから評価されていると実感する空間でした。いちファンとして、性別関係なくたくさんのファンの姿を見られたことに感動しましたね。
- Aさん:
- 私が以前「ひま食堂(以下ひま食)」のイベントに行った時も、動画のクオリティの高さからファンになったという男性がいましたね。ひま食の動画は料理とか、男性も女性も大人も子供も楽しめる内容だから。あと「イケメンV祭」だと、面白さを重視したバラエティ動画を多く出している「MonsterZ MATE(以下MZM)」がいたからこそ、男性ファンも多く来ていたのかなと思いました。
- 五十嵐:
- 確かにMZMは男性ファンの歓声も大きかったですね。
- Aさん:
- やっぱりな~。
――おももさんは「イケメンV祭」に参加していかがでしたか?
- おもも:
- 「イケメン」ってタイトル通り、開幕から乙女ゲームのあるあるシチュエーション(※)で始まったところが楽しかったです。(※イベントは出演者紹介も兼ねて、1人ひとりが乙女ゲームや少女漫画お決まりの出会い方を演じる映像からスタート。イケメン学園に転校してきた主人公が、遅刻遅刻と言いながら出演者にぶつかるなどの演出が見られた。)
- 五十嵐:
- あのノリ面白かった~!
- おもも:
- 普段から交流のあるメンバーだからこその、楽しい掛け合いや空気感もあったのかなと思いました。あとVTuberファンって男性女性で判断しないで、シンプルに「面白いから応援する」って考えの人が多いですよね。私「バーチャルフリーク」にも行ったんですけど、男性9:女性1の客層で…。
――ずいぶんと男女比に差がありますね。
- おもも:
- でも、男性ファンの方と話してみると、ちゃんと男性VTuberを認知しているというか、動画までしっかり見ている方が多いんですよ。それこそ私の推しの「ダンテズピーク(以下ダンテピ)」も知ってて「アモンかっこいいよねえ」「あのゲーム実況面白かったよね」みたいな。この界隈は男性VTuber女性VTuberだからではなく、「VTuber」というジャンルそのものが好きなファンが多い印象を受けましたね。
- Aさん:
- インターネット上だけ見てると割とディープなファン層が目に入りがちだけど、いざ現場に出てみると幅広くライトにVTuberを応援している方も見かけますよね。
――「男性ファンだから男性VTuberを見ないという空気」はあまりないかもしれませんね。
- おもも:
- 面白ければ性別は関係ないですからね。あと、七瀬タク君の「イケメンV祭」振り返り配信で、グッズのトレーディングの話をしてて…「VTuberファンも結局銀の袋(※)からは逃れられないんやろなあ」って話していて笑いました。(※缶バッジなど主にランダム封入のグッズの梱包に使用される)
- Aさん:
- 「グッズトレーディングに! チケ争奪戦争に! うわー!」みたいなね(笑)
――「イケメンV祭り」に限らず、2019年は男性VTuberのイベントが増えました。
- 五十嵐:
- 反対に最近まで「男性VTuberのイベントです!」といった企画はあまりなかったので、本当にここ半年~1年の話ですね。
- Aさん:
- そうですね~。
- 五十嵐:
- 「イケメンV祭」をはじめ、仲良しな男性VTuberが「みんなで界隈を盛り上げていこうぜ!」って空気感がすごく良いなと。今はライバルとして対立するのではなく、事務所の垣根を越えてイベントやコラボしよう姿勢や、男性VTuber同士仲の良い姿を見られること自体がファンとして楽しいです。
――皆さんはほかに参加したVTuberイベントはありますか?
- おもも:
- 私はダンテピのイベントによく行きますね。ダンテピは元々オトメイトビルで「会いに行けるVTuber」として、リアイベがメイン活動なので…。しかも最初のイベントは無料なうえ、チケットも買いやすくて何回でもお話しできたんだけど、3回目くらいからは販売時間に待っていないと買えないくらいの人気になりました。ちなみに10月のイベントは追加チケット分も全部売れて、全体的にファンが増えたな~って感覚でしたね。
――急激にファンが増加したと。
- おもも:
- う~ん…たとえば参加者の「楽しかった~」って感想を見かけて、前回イベントに行かなかった人たちが「次は行こうかな!」ってチケットを買っていた印象がありますね。単純にダンテピの認知自体が広がったこともあるかも。
――ダンテズピークには「知る人ぞ知る」という雰囲気がありますね。
- おもも:
- 刺さる人にとことん刺さるVTuberというか(笑)熱狂的なファンが多いし、二ッチなニーズを満たしているのかなと思いました。今もリアイベは1対1、もしくは三者面談スタイルを守ってて…。
- Aさん:
- まじか! いいなあ~。
- おもも:
- しかも「イベントで喋ったことは絶対に周りには話さないで」って言われるんですよ! それで、ダンテピのお二人も、「ここで話したことは口外しないから」って言うし…もう恋させに来てる(笑)
- Aさん:
- いいなー! そういうのいいなー!
- おもも:
- いいでしょ、いいでしょ(笑)
- 五十嵐:
- 最近は「おしゃべりフェスティバル」とか、1対1で話すイベントが定番化してきましたが、ダンテピは男性VTuberの中では先駆け的な事をしていたんですね。VTuberはリアイベでステージに立つ姿を見るかツイッターや配信での交流が基本の中で「会いに行けるアイドル」などが好きな層のニーズを満たしたんだなと思いました。
今年活躍していた男性VTuberといえば?
――ダンテズピークが話題に上がりましたが、皆さんの「今年活躍していたと思う男性VTuber」はどなたでしょうか?
- Aさん:
- 個人勢の粛正罰丸君の勢いはやばかったですね…。「イケメンV祭」に個人勢で1人で参戦してたし。あと、お絵描き動画でバズっててVTuberファン以外の層からも関心を持たれてる。
- おもも:
- お絵描き動画めちゃくちゃすごいですよね!!
- 五十嵐:
- あれはイラストを描く方から見ても衝撃の仕上がりなんですか?
- おもも:
- すごい…すごい…!
- Aさん:
- 絵を仕上げる過程がめちゃくちゃ丁寧なんでしょうね。成長スピードがすごい。
――粛正罰丸さんはイベントにも積極的に出演されていますよね。
- 五十嵐:
- 粛正罰丸君はご本人が何でもできるっていう…声も良いし歌もうまいし、動画も面白いしクリエイターとして才能に溢れている人ですよね。今年評価されるべくして注目を集めたんだと思いました。
――トークに熱が入ってきましたね(笑)五十嵐さんは活躍したVTuberを挙げるなら、どなたでしょうか?
- 五十嵐:
- 2019年活躍したと言えばMZMですね。2018年年末の「VTuber紅白歌合戦」で大きくバズったし、メジャーデビューにイベントにと、アーティストとしての活動が幅広くなったというか。あと初期と比べて女性ファンがとても増えた印象です。
――MZMはVTuberのファッションショー「FAVRIC」でもランウェイを歩きましたね。
- Aさん
- MZMはデビュー当初からプロ意識が高くて、動画を定期的に更新していたし、オリジナル曲を出していて…こちらも評価されるべくして評価されたんだなと思いますね。
それぞれの“角度”から見えたものは?「FAVRIC」クロスレビュー
- 五十嵐:
- 才能があって魅力的な男性VTuberは元々たくさんいらっしゃいました。2019年VTuber自体がさらに盛り上がり、イベントやテレビ出演など幅広い層の目に触れたことが大きかったのかなと思います。ご本人たちの長きに渡る努力ももちろんですが、ファンの目に触れる場が多くなったからこその2019年の盛り上がりにつながったと。
――おももさんはいかがですか?
- おもも:
- MZMもなんですけど、「カナメとハルキー(以下カナハル)」の人気もすごいなと思います。デビュー当時「こういう風に僕たちを推してね応援してね」っていう提示がうまくてわかりやすかったです。カナハルはほかのVTuberとの絡みが少ないからこそ、女性ファンはアニメなど他ジャンルにも浸りながら応援できる。そのコンパクトさが「新しい!」と思いました。
「にじさんじ」や「ホロスターズ」への印象は?
――ちなみに「にじさんじ」や「ホロスターズ」といった大型のグループに所属している男性VTuberの印象はいかがでしょうか?
- 五十嵐:
- 私の感覚では「にじさんじ」を推してる人は男性ライバー女性ライバー関係なくて、「にじさんじという箱が好き」な印象が強いですね。それに対して「男性VTuberが好き」と表現する方は、たとえば個人勢だったり、大型事務所の箱以外のイケメンVTuberだったりも推してる気がします。
- 五十嵐:
- その感覚すごく分かります。
女性VTuberとの応援の違いは?
――ちなみに皆さんは女性VTuberも応援されていますか?
- 五十嵐:
- むしろ私は女性VTuberの配信を見ることの方が多いです。最初の方で男性ファンも性別でVTuberを判断しない話題が出ましたが、女性ファンも同じく性別で視聴を決めているわけじゃないですね。「可愛いな~トーク面白いな~」って思いながら、女性VTuberさんの配信を見ています。
――おももさんは先ほど、銀河アリスさんの名前を挙げられていましたが、いかがでしょう?
- おもも:
- そうですね~私は元々ギャルゲーやアイドルが好きだったので。最初は男性VTuberがきっかけでハマったけど、たとえばMZMは女性VTuberと良くコラボをしているじゃないですか。その動画を見て「女性VTuberかわいい~」って配信や動画を見に行くようになりましたね。今は女性VTuberのライブにも行きます。
- Aさん:
- 女性VTuberは個人勢の子を良く見てます。応援もしているけど友達感覚で見てることが多いかも。
――イベントの取材に行くと、女性VTuberの方に歓声を上げている女性ファンの姿はよく目にしますね。
- Aさん:
- 女性声優さんのイベントの感覚に近いのかもしれませんね。アイドル好きな女の子もいますし。たとえば「にじさんじ」の樋口楓ちゃんを好きって女性ファンは多いですよね。サバサバしててかっこいいし。
――たしかに樋口楓さんのファンは女性の方も多いイメージです。
- Aさん:
- 「にじさんじ」のライバーって「女性」を前面に出すというより、お茶の間に出る「エンタテイナー」な面が大きいのかもしれません。だから比較的女性ファンも入りやすいのかな~と思いました。
- おもも:
- 郡道美玲先生とか?
- 五十嵐:
- いちごちゃんは可愛くて、癒されるし元気をもらえますよね。ちょっと身も蓋もない表現ですが、私は男性VTuberに癒しは求めていなくて…「疲れた~~~」って時は、落ち着いた女の子の雑談を聞いたり楽しそうにゲームしている姿を見たりしますね。男性VTuberは「気合入れて応援するぞ!」って対象というか。
――スタンスに違いはあれど、男女問わず応援されているのですね。
- Aさん:
- やっぱり面白さに性別関係ないですよね。
VTuber沼にハマる前は、どのジャンルに沈んでいた?
――皆さんはVTuberにハマる前はどんなジャンルを楽しんでいましたか?
- おもも:
- 私は「刀剣乱舞」や「アイナナ」などのゲームやアニメとか。二次元にいましたね。
- Aさん:
- 私はなんだっけ…ジャンル変わると前のジャンル忘れる…。
- おもも:
- わかる…(笑)
――以前とある女性VTuberファンの方にお聞きした時は2.5次元界隈にハマられていました。
- 五十嵐:
- あ~2.5次元のリアル寄出身か、アニメやゲームなどの二次元出身かで、ハマりやすいVTuberも違ってくる気がしますね。
- Aさん:
- 確かに。
- おもも:
- それわかる~。
- 五十嵐:
- たとえばカナハルはおももさんが言った「提示された楽しみ方」に合わせて楽しみたい女性ファンに刺さったというか。だから私の印象では二次元出身、兼任してる女性ファンが多いですね。逆にキャラクターを演じるのではなく、自然体なトーク、リアルさが売りの…たとえば「にじさんじ」のようなタイプは、2.5次元とか声優さんとか一度生身の推しを通ってきた人の方がとっつきやすいなと思います。
- Aさん:
- あ! ハマってたジャンル思い出した!
- おもも:
- おっ記憶をすくい上げてきた(笑)
- Aさん:
- 「ドリフェス」っていう5次元アイドルを推してましたね。感覚としてはけっこうVTuberに近いジャンルかも。
――五十嵐さんはどのジャンルからVTuberにハマったのですか?
- 五十嵐:
- 私はここ数年オタ卒してて…偶然キズナアイちゃんの体力測定動画を見かけてVTuberの存在を知りました。「かつて好きだったアニメやゲームのキャラクターが話しかけてくれる! 可愛い~!」って衝撃を受けましたね。
――AさんがVTuberにハマったきっかけはどういったものでしたか?
――沼にハマるほどに、推しを見つけられたということですね。
- 五十嵐:
- そうですねえ。
VTuberをどのように推していきたい?
――皆さんは推しのVTuberに対して、どのように応援されているのですか?
- 五十嵐:
- 同じ女性ファンでも、直接推しにリプを送ったりファンアートを描いたりして応援の声を届けたいタイプと、認知されたくなくて遠巻きにテレビ感覚で楽しみたいタイプがいますね。だから楽しみ方次第で自然と棲み分けられている印象です。踏み込んだことを言えば、直接推しに声を届けたい熱心なファン層は、いわゆる二次元的な妄想思考を持ってても、表には決して出さないかなと。
- Aさん:
- ドキッ(笑)
- おもも:
- (笑)
- 五十嵐:
- 応援用のきれいな言葉を届けるアカウントと、そうじゃないオタク思考を出すためのアカウント分けてませんか?
- おもも:
- あ、分けてます(笑)私は「おもも」っていうのがVTuberを応援するリスナー人格みたいな。だって、二次元の感覚で「〇〇君かわいい~」とかツイートすると、ご本人から「いいね」が飛んで来るんですよ!? こわいこわいこわいと思って…妄想とか見られたくないから、アカウントは絶対分けます。
- Aさん:
- こっちがVTuberを見てるだけじゃなくて、向こうもファンを見てくるから怖いみたいな。
- おもも:
- そうそうそう!
- Aさん:
- 相手に迷惑をかけたくない以前にまずツイートを見られたくない!
- おもも:
- 「これはまずいまずい!」ってね。元々自分も遠くから見るタイプのファンだったけど、ご本人がこういう形で応援してほしいって言うから、リスナーとしてリプライ送って声を届けようと(笑)
- Aさん:
- 「いいファンでいよう」と。
- 五十嵐:
- わかる!
- おもも:
- そうそう。でもそうやって応援を求められているうちに気づいたら自分の方が推しを好きになってたみたいなね。だからきれいな女性ファンとしてのアカウントを用意して…みたいな。気づけば「あれ私こんな深いところまで来ちゃった!?」っていう…。
- 五十嵐:
- VTuberご本人に見えるところでは言葉を選びますし、いろいろ配慮してる。
- おもも:
- してる(笑)
- Aさん:
- 自分はこういうちゃんとしなきゃって雰囲気が若干息苦しかった時期もあって…。特に企業のVTuberの方だと、「自分もきれいめリスナーでいなきゃ!」って意識があって。でも演じていることに心苦しさを感じて、それで段々と個人VTuberを応援するようになりましたね。
- おもも:
- わかる…!!!
――応援の仕方は男性VTuberによって違いますか?
- 五十嵐:
- 全然違いますね。まずはファンの雰囲気とご本人がどう応援してほしいかを感じ取り、周りと足並みをそろえることから始めます。「自分がこうやって応援したいんだ」というよりは「ご本人や古参ファンの意向に沿って応援すること」を考える。ある意味リスナーも見られるジャンルだからこそ、そこはみんな気を遣ってると思いますね。
- Aさん:
- そうですね。細かいTPOって大事ですよね。
――例えば「にじさんじ」の中でも、ファンの応援スタイルはライバーごとに大きな違いが見られます。
- 五十嵐:
- そうですね~。「にじさんじ」だけでもライバーさんによってファン層は全然違うし、ご本人が希望する応援の仕方も違うから…。
推しVTuberのグッズは買っておくべき?
――VTuberのリアイベでグッズなどは購入されますか?
- おもも:
- 男性VTuberで積極的にグッズ出してるのはひま食とアリアーテ辺りですかね? にじさんじやホロスターズはグッズも充実していますけど。
――グッズをコンプリートする勢いで購入している女性ファンも多い印象があります。
- Aさん:
- 確かに、痛バ(※)は作りたいしね。(※痛いバッグ、缶バッジやキャラグッズでデコレーションしたバッグのこと)
- おもも:
- つくりたーい!
- 五十嵐:
- 私はグッズ買いますね。それこそ1年前はグッズも少なくて、組みたくても痛バが組めない状況だったし…。グッズやボイスでなければお布施できないVTuberも多いですし。私もグッズを全く買わない人間だったんですけど、推しのいるコンテンツが長生きしてほしいから、できる範囲でお金は出したい思考に変わりました。
- Aさん:
- あ~そういえば私グッズに思い出があって…いつ応援してるVTuberのグッズを買うか迷ってたら、引退する兆しがあって慌てて買いましたね…(笑)
- おもも:
- かなしい…!
- Aさん:
- グッズがいらなかったわけじゃないけど、決心したのがそのタイミングでしたね。お金を出したいだけならスパチャがあるから。
――個人的な観測範囲ですが、女性オタクのほうが、その作品が終わってからもずっと二次創作を生み出し続けていることってありませんか? それこそ10年ほどの長い期間ずっと。
- 一同:
- します!
- 五十嵐:
- 新しいジャンルに行く女性ファンももちろんいるけど、たとえ作品が終わって新しい供給がなくてもこれまでの思い出で創作はできるから。
- Aさん:
- 「代わりがないから」というのもありますね。ほかの作品とかキャラクターでは埋められないものがある。
――引退したVTuberのファンアートを描き続けるファンも少なくありませんね…。
- Aさん:
- めちゃくちゃいますよ。すでにたくさんいます。)
- 五十嵐:
- 私の周りにもたくさんいます。ちょっと悲しい話になりますが、VTuberは1年以上活動を続けている方が今のところ少数派ですから
- Aさん:
- そうですね~。
- 五十嵐:
- だからVTuberの推しを失って1年以上経ってなお、ファンアートを描き続けている知り合いが複数いますよ。
推しのVTuberが引退! その後も応援をするか?
- おもも:
- 引退は怖いですよね。アニメやゲームの作品が終わったりキャラクターが死亡することと、VTuberの引退は全然違うじゃないですか。
- Aさん:
- うんうんうん。
- おもも:
- でも引退はフッと来てしまう。だから2~3日ツイッターの更新がないと不安になる。
- 五十嵐:
- わかります…。私の推しもデビュー間もなくいろいろあって、引退寸前、数か月消息不明だったので…。Twitterの「いいね」が動いているのを確認できれば安心するし、配信がなくても生きててくれるだけで十分です。
- おもも:
- わかる…。
- 五十嵐:
- 突然推しを失って苦しむファンの方々を近くで見てきたので、それを思うと活動していること自体が奇跡なんですよ。贅沢なことは何も言えない。いつか必ず来る別れの時まで、自分ができる範囲で推そうと思います。
- Aさん:
- だからこそ二次創作の世界で生かそうと考えるファンもいるし、そこはアイドルが引退したのとは違う感覚かもしれない。
- おもも:
- 特に企業勢って運営している事業部があって、経営判断が上にある以上、いつ何をどう判断されるかわからない気持ちが常にあって。リアイベに行くと「幸せ~!」ってなるけど、この幸せメーターを察知した瞬間に「これが最後かもしれないから、あんまり浮かれないでおこう…」って感情をすっと抑えつけちゃう。
(一同苦笑)
- おもも:
- 「これ以上好きになっても後がつらいだけだよ…!」って気持ちになります。
- Aさん:
- わかる…!
- 五十嵐:
- 「この幸せが当たり前じゃないんだぞ」って戒めの気持ちが常にあって、明日終わるかもしれない前提で推してる。
- おもも:
- 「いつかやって来るお別れを育てて歩いてんだ!」って気持ちですね。
- 五十嵐:
- 推しがいずれ卒業して次のステージに進むとき、俺はファンに応援してもらってたと、少しでも良い思い出が残ってくれたら嬉しいし私自身が後悔したくない。だから別れはつらいけど、そこから逃げないで推し続けたいという勝手なファン心理です(笑)
ファン同士での交流で気をつけるべきことは?
ーー皆さんはほかのVTuberファンの方と交流されることはありますか?
- Aさん:
- 男性ファンも女性ファンも交流しますよ~。
- 五十嵐:
- 推しが同じで交流のある男性ファンもいるし、私が女性VTuberを応援してて、そこの男性ファンの方とお話しすることも良くあります。性別の壁を感じたことはないですね。話が合わないとか価値観が違うといった経験もないです。
- おもも:
- 確かにないですね。
- Aさん:
- 好きなものが同じだと価値観も似てきますからね。
――ひとつのジャンルでも、ファン同士で男女対立が起きることはよくありますが、VTuber界隈では少ないように感じます。
- 五十嵐:
- ほかのファンへの対立思考を持っている人は、そもそもファン同士の交流を図りませんね。思想が違う人と関わって対立を起こさないように、各自で自衛していると思います。
- おもも:
- 己の身を守ってますよね。
- Aさん:
- VTuberはファンの層が広いからこそ、どこのジャンルから来た人かによって推しが同じでも応援の仕方など考え方が違うこともありますからね。ちょっと様子見て話してみて、考えが違うと思ったら距離を置くみたいな空気はあるかも。
- 五十嵐:
- そうですよね。対立する以前に気が合いそうな人としか深く仲良くならないです。もし対立してトラブルを起こせば、推し自体に迷惑をかける可能性もあるし、ファンのせいで推しの評価を落としてしまう。だからVTuberというジャンルはファン同士でもかなり配慮はしていると思います。
――そういったところがトラブルの少なさにも繋がっているのかもしれないですね。
- おもも:
- これが大多数の意見かはわからないんですけど、私がダンテピにハマったときは、古参の女性ファンを刺激しないという気持ちで臨んでました(笑)
- 五十嵐:
- わかります。まずは古参の動きを見るみたいな。
- おもも:
- そうそうそう。古参は絶対に怒らせないぞって(笑)実際にお会いしてみると本当に暖かく迎えていただいたから、怖い思いをしたわけじゃないんだけど、どういう界隈かわからなかったからこそ、入りたてはまさに「半年ROMる」の精神だった。
- Aさん:
- それこそ私は再生数や登録者数少ないころから推してる個人VTuberもいて…最初はファンの数が少ないからこそ応援の声を届けなきゃって気持ちが強い。でも徐々に人が増えてくると「あの人古参だ」って新しいファンの人たちに認知されるのがちょっと苦手で…。
- おもも:
- その感覚わかります。
- Aさん:
- そのことをTwitterで触れられると「そんなことないです~」って、徐々に表から姿を消していくみたいな(笑)
- 五十嵐:
- 「あのVTuberの囲いやばい」って思われて、古参のせいで新しいファンが入りにくい状況だけは避けたい。だから推しにだんだんリプも送らなくなるし配信でコメントしなくなる。でも応援してる気持ちは変わらなくて、後方保護者面してるんですよね(笑)
- Aさん:
- 自分は仲いい人同士の交流ならそんなに気を遣わないけど、ほかのファンの目線を気にする優しい人も多いから、そういう方々も含めてみんな楽しくやれるのが良いと配慮はしますね。
- 五十嵐:
- ファン一丸となって「推しを応援するぞ!」っていうよりは、それぞれの考え方を尊重して対立しないことを第一に、いい塩梅を意識して…みたいな。
――コミュニケーションが重視されるコンテンツだからこそ、ファンも人間関係には気を遣うのですね。
- 五十嵐:
- そうですね。常に自分勝手なことはできない意識はあって自分を戒めてますね。
今後、男性VTuberに期待したいことは?
――今後男性VTuberに期待したい事や、こういう企画やイベントやってほしいみたいことはありますか?
- Aさん:
- やー生きてるだけでいいかなー!(笑)
- 五十嵐:
- 明日もツイッターにいてくれって気持ちですよね(笑)
- おもも:
- 「いいね」だけでもいいから!
- 五十嵐:
- 配信も無理しなくていいから、できれば生存してくれって感じです。
- Aさん:
- 限界越えてる(笑)
――「活動していなくてもいいから存在を感じさせてくれ」ということですね。
- Aさん:
- そうなんですよ~。
- 五十嵐:
- 配信してくれたらもちろん嬉しいですけど、その人がインターネット上に存在している。その存在感で明日も生きていける。
- Aさん:
- そうそうそう。活動はもう「好きな事やりたいようにやってー!」って。
- 五十嵐:
- 好きなように活動してほしいし、どうしても受け入れられない事があればその部分はリスナーが各自自衛して、距離を置くなり見たい配信だけを見ればいいので。
- おもも:
- 本当にそう。「求める事はキミが楽しく生きてることだよ」って。
――では今後VTuberのファンとして、やってみたい事はありますか? 「リアイベにもっと参加したい」や「二次創作したい」など、あればお聞きしたいです。
- 五十嵐:
- やっぱりリアイベには参戦したいです。配信でも推しとコミュニケーションはとれるけど、イベントはタイムラグなくファンの声援が推しの耳に直接届くあの勢いと空気感が好きですね。バーチャルって場所を選ばず楽しめることが強みだけど、ファンの熱気を感じつつステージを見ることはまた格別です。会場の熱でテンションが上がる感覚をたくさん味わいたいなと思います。
- Aさん:
- 「Skeb」を作ったなるがみさんが考えた「VTuberがバーテンダーをやる」案を見て、それが実現すればイベントじゃなくても個人VTuberも気軽にファンと触れ合えるのかなと思いました。
――今後はバーテンダーのように、推しのVTuberがバーチャルお仕事に励んでいるところを見られるかもしれません。
- おもも:
- うわ~見たすぎるそれ!
- 五十嵐:
- 男性VTuberの執事喫茶なんていいですね~。自分が推しと一対一で話したいわけじゃなくて、むしろ推しが何かをしていたりほかのVTuberと話している姿を遠くからずっと眺めたい(笑)
- おもも:
- 目で追いたい! 私はイベント行くことを続けたいのと、あとはフラスタも出してみたい!
- 五十嵐:
- いいですね~。
- おもも:
- あとは女性向けジャンルにいた時に、ファンの布教活動から流行ったコンテンツを見てきたので、VTuberの魅力をまだ知らない方面に向けて布教するための二次創作をしたいですね。これまでのVTuberのファンアートなどは、どちらかと言えば自分のパッションをぶつけるものが多かったので。
- 五十嵐:
- 後半は男性VTuberの活躍というより、女性ファンが普段考えていることを話す対談になってしまいましたね(笑)
- Aさん:
- 私たち女性ファンは「男性VTuberにこれだけ救われています」ということです。
――皆さん、本日はありがとうございました!
- 一同:
- ありがとうございましたー!
執筆:五十嵐アキト