日々クオリティの高い作品がアップされ続けている、VTuber(バーチャルユーチューバー)や、バーチャルクリエイターの動画。その中から独断と偏見で「この動画は是非見て欲しい」というものをご紹介。特にユニークな作品や技術力や企画力の高い作品、時事性のある作品などをさらに深掘りし、今のVTuberの面白さ、頑張り、才能をキャッチしていきます!
【ガチ外ロケ】ここはどこか歩いて当ててください。リアルで。【リアルジオゲッサーですわ~】
壱百満天原サロメが初の外ロケ動画をアップしました。実施したのはリアルジオゲッサー。「ジオゲッサー」は世界のどの地域にいるのかをピンポイントに当てるゲームですが、実際に全く知らない場所に連れて行かれて、そこがどこかを周辺の様子から当てる、という体当たり企画です。
車から出て外を歩き始めると、その後は壱百満天原サロメの姿はカメラには映らないのですが、彼女の言動がはっきりしているため実際にその場にいる感覚をイメージできるのが、今回の動画のキモです。長いスカートと髪を翻してパタパタ走り回る様子が容易に目に浮かびます。
いきなり走り出したり、海を見て感動したり、様々なものを観間違えてはしゃいだり、心が折れたりと、彼女の普段からの感情のアップダウンがこの動画には凝縮されて詰まっています。
リアクションが大きく、しんどさと楽しさが交互にやってくる様子がわかりやすい壱百満天原サロメにぴったりの企画でした。
【SeeHa】迫力あるぞ!韓国のシルムを簡単解説![#伝統スポーツ]
韓国語と日本語の両方を話すことができ、それぞれの国の文化を積極的に紹介しているイム・シハ。今回彼が紹介しているのは韓国のシルムという伝統スポーツです。流暢な日本語と丁寧な字幕を用いて、韓国のこの文化を初めて見る人でもわかりやすいように解説しています。
どんな競技か、という内容のみならず、歴史や用語、階級などについても要点がしっかり理解しやすくまとめられています。話に出てくる単語は、ハングルを中心にローマ字読みと日本語の字幕がついており、日本と韓国両方の人が見やすくなる配慮がなされているのがわかります。語りのテンポもよく、文化を知る第一歩として観るのにぴったりです。
日本の相撲を韓国に伝える動画もアップされています。こちらは韓国語で話しているので日本語話者だとわからない部分もどうしてもありますが、大切なポイントになる用語の字幕は日本語を軸にローマ字読みハングルの3つの言語で表記しており、とても丁寧です。
K-POPなど最近の話題から歴史的な内容まで、日本に韓国文化を、韓国に日本文化を伝える動画がたくさんアップされていますのでチェックしてみてください。配信では様々な韓国のVTuberともコラボしています。
【VRChat】Xで1000いいね超えの動画まとめ【ネタ動画】
普段はメタバースあるあるネタや、その際に生まれる心のゆらぎの歌、ラブソングなどをアップしているミュージシャンのてんてい。最近はXにコミカルなショート動画を大量にアップしています。それをまとめた動画がYouTubeで公開中です。
アバター改変やサキュバス化、V睡にお砂糖など、VRChatユーザーには特に笑える鋭いネタ満載です。プレイヤー全員がこうだというわけではないのですが、VRChatの定番ネタをコミカルに観せてくれる内容は寸劇としてかなりユニークです。VRChatを知らない人にはわからない単語も多いかもしれませんが、人間関係の新しい形を知る面白さは通じると思います。
曲はメタバースでの「あるある」を感じさせながら、かなり心にグサッとくる切り口のものもあります。コミュニケーションの寂しさ、自分のVRChatでのアイデンティティ、お砂糖とお塩の感覚等、かなりブルース感強め。弾き語り多めで歌う曲はキャッチーで、歌声も聞きやすく印象的。VRChat芸人的な側面とVSingerとしての実力で人気の存在です。
にじGTAが良かったという話をします 木緒ラジオ【56】
盛り上がりを見せた10日間の「にじGTA」。でも終わった後から知った人だと、どこがどう面白いのか、つかみどころがわかりづらいです。あまりにもボリュームがありすぎて情報が膨れ上がっているからです。
そこで観てほしいのが、木緒なちの「どこが良かったのか」をまとめて解説している配信です。
「にじさんじ」という箱の魅力をおおまかに解説しながら、今回の魅力をパートごとにわけて解説。ここで語られている視点を持っておくと、にじGTAをアーカイブで観る際に楽しみ方が増えるはずです。
たとえばにじGTAはどこまで真剣でどこまでネタでどこまで素なのか、観続けないと分かりづらい部分があります。しかもこれはライバーごとにさじ加減が違います。その「半分くらいRPというバランス」こそが面白い、と木緒なちは語ります。
また切り抜き文化や二次創作など、外部の盛り上がりも俯瞰して見ながらしっかり語っています。今回のにじGTAはまるで映画のような数多くの力作切り抜きが作られており、「切り抜きを観る配信」をライバーが各々やっているほどです。
その他にも、視点を切り替えて何度も楽しめることや、先輩後輩でのいじりあいをできる垣根の少なさ、しっかりした運営形態、新人ライバーの認知なども高く評価しています。
木緒なちの語りはとても熱がこもっており、心の底から「にじGTA」を楽しんでいたのが伝わってきます。この配信を聴くと刺激されて、アーカイブを観たくなる気持ちがぐっと高まると思うので、興味があるけど一歩踏み出せない、という方にはぜひ観てほしい配信です。
【雑談】オタクの収入大公開!スパチャ戦士たちの生態に迫る【小花衣しぃ】
小花衣しぃの行った配信は、視聴者の給与明細や資産のデータなどを集めて公開する生々しいものでした。スパチャをぽんぽん投げる人が多いVTuber界ですが、リスナーは実際のところどんな仕事をしていくらくらい稼いでいるのか、実際の数値で観ることができます。
この配信で興味深いのは、性別、年齢、資格も一部公開されていることと、それにあわせて年収の数字を出していることです。中には職業も書いているので、かなりファンの生活の解像度が高めです。
がっつり稼いでいる人、貯金のある人ない人、株をやっている人など多々観ることができます。そしてみんなちゃんと頑張って生きている、というのがひしひしと感じられます。
中には仕事の苦労の結果、彼女の配信にたどり着いた、なんて話も出てきて人生を深く考えさせられる一面も。その上でのスーパーチャットのお金だと考えると、さらに深みが感じられます。
繊細な話題ではありますし、かなり気をつけて扱われてはいますが、小花衣しぃのトークが軽快でテンポが良く、リスナーもノリノリでネタを突っ込んでいるので、配信はライトに楽しめる内容になっています。配信者とリスナーの息のあった空気づくりと信頼関係がなせる技です。
Stellar Stellar / covered by 心音淡雪(CV.佐倉綾音)
アニメ「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」はVTuberを題材にした作品。その中に登場する、配信切り忘れでお嬢様キャラから呑兵衛な部分がむきだしになってしまったVTuberが、心音淡雪というキャラクター。声優は佐倉綾音です。
アニメ放映に合わせてつくられたのが「ライブオン公式動画&切り抜き Ch.」という架空のVTuber企業チャンネル。そこに、心音淡雪によるカバー曲がアップされた、というのが今回の流れです。歌った曲は星街すいせいの「Stellar Stellar」。なぜこの曲を選んだのかなど、番組スタッフの考える「VTuber」像を考える意味でも興味深いところです。
アニメの情報の他にも、作中のVTuberキャラクターたちによるゲーム実況などの動画もあがっています。架空のVTuberたちが実在しているかのような空気がこのチャンネルにはあります。LIVE2Dもしっかり作り込まれていて、知らない人だったら本物のVTuberではないかと勘違いしてもおかしくないレベルです。アニメの内容共々、VTuberの活動やファンの反応など、VTuber界隈への解像度がとても高い作品なだけに、今後のこちらのチャンネルの充実度も期待してしまいます。
ユニークなのは、このアニメはいわゆる「中の人」と呼ばれるようなリアルなアクターの表現が一切されていないところです。配信画面はLIVE2Dのキャラクターアバター。配信している人物も同じ姿、という表現方法をブレることなく守っています。アクターの物語であれば人物を描くのが一般的ですが、あくまでもVTuberの物語であるという理念があるからのようにも見えますが果たして…? このチャンネルとアニメ本編がVTuberをどう描くか、注目しておきたいところです。
「#vocaduo2024」に参加したVTuberの楽曲ピックアップ
ボーカリストやボカロPなどが集まってチームを組んで制作する企画「#vocaduo2024」。VTuber・VSingerも多数参加しています。その中からいくつかピックアップしてご紹介。
シノウサギが参加している「チームしやかく4」の作品「よまいごとランド」は、曲も映像もかなり凝ったアーティスティックなMVです。巨大な羽を失った天使が街の上から憂鬱そうにしている描写はかなりインパクトがあります。
「毎夜」「内臓」「迷子」「世迷い言」などの単語で韻をたっぷり踏んだ歌詞はとても聞きやすく記憶に残ります。これをテンポよく、抑え込んだ感情を感じる歌声から、徐々に解放されていくのを表現したボーカルは圧巻。大サビでの異なる歌詞が重なるハーモニーパートは、聴いていてカタルシスがあります。普段から多様な歌動画をアップしているシノウサギの歌唱力が発揮された作品になっています。
盛り上がりにあわせて、天使の映像には色がつき、そして飛び回る黄色いなにかののびのびとしたアニメーションが重なり、MVは変化していきます。歌と曲と映像のシンクロ感によって高まりを表現した作品づくりのチームワークは見事です。
夏をたっぷりと感じるような音作りが印象的。チーム「真澄 -Masumi-」でボーカルを務める紫月るぴと餅屋羽乃の楽曲「影法師」は、ロックテイストの音作りでありつつ、去っていく時間の儚さ、消えていく思いが込められたエモーショナルな作品です。
風鈴、陽炎、螢火、如雨露と、夏の単語の使い方が巧みです。この歌詞を切なさと強さの両方を兼ね備えたようなボーカルで歌いつつ、ラストはギターの音と共に徐々に去っていくことでじんわりと後味を残しています。特にふたりのハーモニーが入る大サビのあと、そっと入る最後のボーカルは、聞き終わった後の寂しさすら感じてしまいます。
そのやまりりらのチーム「Starry Phantom」がアップした楽曲「アルフィルク」は疾走感のあるメロディと風のように駆け抜けていくボーカルが魅力の作品です。ハイトーンパートが非常に多く難易度の高そうな曲なのにもかかわらず、音をしっかりキープしながら感情を豊かに表現しています。特にメロディラインで一音だけ高くなる部分が多数あり、その重要な音をしっかり再現して曲を引き立たせている技術はかなり聴き応えがあります。後半の感情の高まりを伝える細かなボーカル表現は必聴です。
別チーム「sensory world」で作ったMV「時計仕掛けの箱庭少女」は逆にゆったりしたメロディを繊細に柔らかく歌った作品。透明感あふれるボーカルをじっくり味わうことができます。
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