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VTuber 2021.03.17

VTuberが海外で活躍するための秘訣は? 杏仁ミルインタビュー

日本国外でもVTuberの文化が広がる昨今、英語や中国語、ポルトガル語などを話して行われる配信は増加しており、視聴者の幅が広がりつつあります。

今回は、MoguLiveで1月に実施した「2021年期待したいVTuber」アンケートで1位を獲得した杏仁ミルさんにインタビューを実施。中国語や日本語などを使い分けながら配信を行い、界隈の枠を超えた活動にも積極的な彼女ならではの活動の秘訣や、多言語の視聴者に向けた配信で心がけていることなどをお聞きしました。

自分ができることは全てやっちゃいたい

――はじめに、MoguLive読者の方々に向けて、普段どのような活動を行っているか教えてください。

杏仁ミル:

ミルの普段の活動はゲーム、雑談、歌がメインで、中国語と日本語と英語を使い分けながら配信しています!みんなを笑顔にするための配信をしたいと思ったのが始めるきっかけで、最近は少しずつできるようになってきているかなと思っています。

――MoguLiveで実施したアンケートで1位を獲得されましたが、知った当時の感想などはありますか?

杏仁ミル:

アンケートで1位を獲得した時はすごくびっくりしました。TwitterでMoguLiveさんのアンケートを知って、「最も期待されるVTuberになりたいな」と思ってリツイートしたら、たくさんのファンがアンケートに記入してくれて、本当に感謝しています。ファンの皆様だと思ってすごく嬉しくて、これからの活動もみんなの期待を裏切らないよう、120%、1000%の勢いで行こうと思いました!

――アンケートでは、「とても笑顔になれる配信をしている」という声がたくさん寄せられていました。コラボ配信などで特に心がけていることはありますか?

杏仁ミル:

コラボ相手にはすごく感謝していますし、友達とも思っているので、できるだけ迷惑かけないようにしています。自分ができることは全てやっちゃいたいですね。例えば最近流行っている「Among Us」(※1)だと、視聴者が退屈しないようにネタっぽい変なアクションをしちゃったりとか、ついついやっちゃう(笑)。ミル自身も楽しみつつ、みんなも楽しんで欲しいなと思って配信していますね。

※1「Among Us」……宇宙船を舞台にした人狼ゲーム。プレイヤーは「クルー(乗組員)」と「インポスター(詐欺師)」に分かれ、クルーは生還を、インポスターはクルーの殺害を目指して行動する。

多言語配信に踏み出すきっかけ

――コラボと言えば、CRカップ(※2)でストリーマーのstylishnoobさんとSPYGEAさん(※3)との3人チームでたくさん配信をされたことをきっかけに、杏仁ミルさんを知ったという方も多く見受けられました。コラボ当時の感想や、チーム結成から今までの印象の変化はありましたか?

※2「CRカップ」……プロゲーミングチーム「Crazy raccoon」が主催するeスポーツ大会。杏仁ミルさんはFPSゲーム「Apex Legends」の大会に出場した。

※3「stylishnoobさん・SPYGEAさん」……プロゲーミングチーム「DeToNator」所属のストリーマー(stylishnoobさんは2021年3月末で脱退予定)。Twitchで「Apex Legends」などのゲームの配信を行っている。

杏仁ミル:

お二人は日本でとても有名なので、チームに入るときはすごく緊張していて……自分がうまくできなかったらどうしようと思ったんですけど、お二人ともすごく温かく話を合わせてくれたり、裏でもAPEXについてたくさん教えてくれてたんですよ。だから感謝しかないですね。多分こうしてインタビューをお受けしたりとか、日本のファンもついてきてくれるようになったのもお二人の力かなと思います。

ミルはお二人とチーム組む前は中国語で活動していたので、あんまり日本の方が見るようなVTuberじゃなかったんですよ。CRカップ以降は日本のファンの方もたくさん増えて、そこで中国語と日本語を半分半分で喋ろうと考えるようになったんです。中国語を喋ると日本の方がわからなくて配信を楽しめなくなるのが心配で、今は同じ内容を中国語と日本語で喋って配信していますね。

――多言語で配信するのはCRカップがきっかけだったんですね。同時通訳ではないですが、とても高度なことをされていると思います。

杏仁ミル:

ミルは同時に二つの言語を喋るのは大変だとは思わないんですよ。ただ脳の容量が少なくて、一度言ったことを同じ言葉で繰り返したり、自分で何を話しているのか分からなくなって「ミル大丈夫? 疲れてない?」ってよく心配されます(笑)。多分大変なのはミルではなく視聴者さんですね。

――配信上でのファンとのやり取りなどで、特に印象深いエピソードはありますか?

杏仁ミル:

日本の方はすごく勉強熱心で、中国語を話す方もたくさんいるじゃないですか。配信の中で「日本語教えて」「中国語教えて」みたいな流れになる時がありますね。

そして、そういう時はみんなだいたい下ネタに走ります。最近ミルが逆に勉強になったんですよ、なんか「エチチコンロ」? っていう言葉の意味を知って……

――たぶん覚えなくていい日本語だとは思うんですけど……。

杏仁ミル:

使わないですか!?

――(笑)。色んなワードややり取りをきっかけに視聴者の方と仲良くなることもあるわけですね。 VTuberファンの間でよく使われる「てぇてぇ」といった言葉もありますし。

杏仁ミル:

そうそうそう(笑)。ミルのファンは色んなVTuberさんのファンでもあるから、ミルよりそういう言葉に詳しいかもしれないです。

――言語を超えてそういったやり取りをしているのは面白いですね。多言語というところにフォーカスしますと、多言語を喋れるようになったきっかけっていうのはあるのでしょうか。

杏仁ミル:

中国語はミルの母国語で、日本語は1年くらい前から勉強しました。「スマイルプリキュア!」や「NARUTO」とかのアニメを見たり、ドラマCDや「歌ってみた」とかのニコ生を聞いたりして、そこからわからない言葉を一個一個ググって覚えましたね。中国語で考えず、ずっと日本語で考えられるようになって、今に至るという感じです。

あとゲームも日本語でやったり、スマホやパソコンの言語設定を日本語にしたりして、全て分からなくてもなんとなくこの言葉はこういう意味だなって覚えていくと、なんとなく理解していけました。言語を習うとき、生活全てを習う言葉にすれば早くなると聞いたので、思い切って何もかも日本語にしたら、なんとなく喋れるようになるんですよ。

――簡単に仰っていますが、かなり凄いことをされていると思います……!

杏仁ミル:

いえいえいえ!結構なまりがあるとは言われてますね。人の言葉を聞いて、それを真似して喋ろうとするから、人と長い時間一緒に遊んでたら口調が映っちゃいます。たとえば一時期stylishnoobさんとSPYGEAさんとよく遊んでたら、最近はファンの人たちから「おじさん口調になってるよ」って指摘されますね。

――「ヤバすぎ」とかですか。

杏仁ミル:

そうです、「ヤバすぎ」「キモすぎ」とか移っちゃうんですよ(笑)。そこはミルが気をつけないといけないところかなと思っています。

――先ほどのワードに比べれば大丈夫ですかね(笑)。なるほど、そういうふうに生活そのものから変えて学習されていったんですね。英語に関してはどう学んでいったんでしょう?

杏仁ミル:

英語は学校で勉強しましたね。実は日本語覚えてたら、英語がすごい変なことになっちゃって……。英語でも韓国語でも大体聞くとなんとなく意味は分かりますし、書くのもできますが、喋るのはちょっと苦手かもしれないですね。日本語ほど喋れるレベルにはなっていないです。

――英語での配信も期待しています。

杏仁ミル:

これからも頑張りたいと思います!

自然体の自分を見せる

――杏仁ミルさんが個人的に思う活動の秘訣はどのようなものだと思いますか?

杏仁ミル:

秘訣……かどうかは分からないですが、「地道に頑張る」「誰よりもやめないこと」この2つですね。何があってもやめないぞ! やめられないぞ! っていう感じで(笑)。ミルは個人でやってるから、配信も動画も、自分がやりたいことしかやらないんですよ。だから、視聴者数を伸ばしたいからやろうと思うと、徐々にプレッシャーを感じてしまう人もいたりするのかなと思うんです。

だから、自分がやりたいことばっかりやって、素の「杏仁ミル」を見せています。それを受け入れてくれる方が付いてきてくれれば長くやっていけると思うので、それが秘訣なのかなと。

――自然体で活動すれば、その自然体を好きになってもらえるし、無理せず好きなことをたくさんやれる。すごく良い循環を生み出しているんですね。

杏仁ミル:

そうですね! あと、いろんなことにチャレンジしていく精神もすごく大事かなと思います。何か機会があればそのチャンスを逃さずにちゃんと掴むようにしてますね。昔はミルも自信がなくて、人になかなか声がかけられなかったんですが、自分から動かないと相手に都合がつかないのかなって思われがちじゃないですか。それで誘われなかったりすることもあるので、相手に敬意を持ちつつまず声をかけてみるようにしてます。

――その通りだなと思いますし、同時に、こうした真っすぐなことをやり続けるのが一番難しいとも感じます。先ほどの日本語学習もですが、きっぱりやり続けることを大事にしているんですね。

杏仁ミル:

よくストイックって言われるんですよ。結構ストイックかもしれないです!

――多言語を使って配信されていますが、いろんな層の視聴者さんに対応する時に大変だと思うことはありますか?

最近、日本語を喋るファンと中国語を喋るファンがすごく仲良くなっているんですよ。ミルは自分のことをナイスバディって思っているんですが、皆しめし合わせて平たいとか行ってくるんです! ちょっとそこは困ってるかな?(笑)ここだけはね!このインタビューを通して、全世界にミルはでかいと伝えてください!

――杏仁ミルさんがそう言っている、ということを公平に伝えさせていただきます(笑)。では、多言語の視聴者に対応する中でも大変とはあまり感じず、和気あいあいとされているんですね。

杏仁ミル:

好きな言葉で、好きなことしかしてないですからね! ただ、ちゃんとみんなが私の配信を見て楽しめているかはここ最近心配してます。中国語も日本語も同時に喋ると、配信時間が結構長くなっちゃうんですよ。みんな忙しいと思うので、休憩がてら配信を見ようと思ってる方は疲れちゃうかもなと思ってます。

――長時間配信に関する気遣いという面では、杏仁ミルさんの公式切り抜きチャンネルでもたくさん動画が投稿されていますね。

杏仁ミル:

そうですね。切り抜き専用チャンネルに日本語字幕の付いた切り抜き動画があるので、もし時間がなくてもミルのことをもっと知って楽しめるかなと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=ojLZ5KvVbnI

――様々な気遣いをされていますね。活動を続ける上で、個人的に努力していることやトレーニングしていることはありますか?

杏仁ミル:

ゲーム、雑談、歌などいろんなジャンルに挑戦していきたいと思っているので、動画制作と配信以外の時間はゲームを練習したり、歌の練習をしたりしてますね。視聴者さんから歌を聴いて元気になったって言葉をもらった時すごく嬉しかったので、配信の裏でも色々練習していきたいと思っています。

――アンケートでも、頑張っている姿が好きという声が多かったです。

杏仁ミル:

なんか恥ずかしいですね……! ミルの中では頑張っているというより、「誰にも負けたくないからやろう!」っていう気持ちですね!やるのであれば最高のパフォーマンスを見せたいとは思っています!

――本当に、想像以上の努力が垣間見えました。今後個人的に挑戦してみたいことや目標があればお聞きしたいです。

杏仁ミル:

日本での活動をもっと幅広く行ってみたいですね! バイきんぐの小峠英二さんがやってる「超人女子戦士 ガリベンガーV」に出てみたいです! 小峠さんが話もツッコミも面白くて好きなので、どういう風にツッコミされるんだろうかワクワクします。

――小峠さんは中国系カルチャーを紹介する「ブイ子のバズっちゃいな」にも出演されているので、もしかしたら興味を持つかもしれないですね。

杏仁ミル:

色々やります! 翻訳でもいいからやらせてください! 結果出して頑張ります! 「番組出てみた感想はどうですか」ってまたインタビューしてもらいます!

――また是非インタビューさせてください。本日はありがとうございました!

執筆:佐藤ホームズ


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