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VRChat 2024.11.12

「VRoid Studio」のVRChatアバター向け改変システム(β)を試してみた 着せ替え手順を紹介

3Dキャラクター制作ソフト「VRoid Studio」に、「VRChat」向けアバターの服を変更できる“着せ替え機能”が実装されました(11月時点ではβ版)。

通常の場合、「VRChat」向けアバターの“改変”は、ゲームエンジン「Unity」を使いますが、スムーズな調整を行うためには、いくつかの追加ソフトを導入する必要があります。「VRoid Studio」に追加された着せ替え機能を使うと、より“手間が少ない”形で、改変作業を行えます。

今回は、そんな「VRoid Studio」の新機能をテスト。使い心地や、「Unity」改変との違いなどを検証します。

着せ替え機能の下準備

VRoid Studioにβ版アップデートを導入

「VRoid Studio」で着せ替え機能を使用するためには、まずβ版アップデートを導入する必要があります。Steamのライブラリでソフトの“プロパティ”を選択後、ベータ欄を選ぶことで、アップデートを有効にできます。


(この部分を切り替えると、β版アップデートを導入可能)

「XWear Packager」を導入

着せ替え機能では、「VRChat」向けアバターで使用される「Unity」のプレハブ(prefab)ではなく、XAvatar(XWear)ファイルが必要になります。このデータは、「Unity」に専用ツール「XWear Packager」で生成できます。

「XWear Packager」は、VRoid公式サイトに掲載されているリンクをブラウザにコピペすることで、公式管理ツール「VRChat Creator Companion(VCC)」経由で「Unity」プロジェクトに導入できます。

(このアドレスをコピペすることで「VCC」のアドオンとして「XWear Packager」が表示されます)


(青枠の「I Understand〜」をクリックすることで登録が完了。その後使用したいプロジェクトに追加します)

改変するアバターをXAvatar化

今回は、アバター「Lapwing」と、男性アバター向けの非対応衣装「DOBUITA STYLE(メンズスカジャン)」をXAvatar(XWear)ファイル化して改変に使用します。

「Unity」のツールバーから「VRoid」を選択し、「XWear Packager」を起動します。この際「Lapwing」とスカジャンを、ヒエラルキーに展開しておきます。


(ここの「VRoid」欄を選んで、「XWear Packager」を起動)


(Lapwingとスカジャンを展開)

ウィンドウが開いた後は、“エクスポーター”を選びます。まずは「Lapwing」を変換したいのでアバターをドラッグアンドドロップして、“エクスポートを実行”を選択します。スカジャンの方は、エクスポート形式を「XWear」に切り替えた後、同様の手順を実行します。

(エラーが出た場合は「自動で修正」を選ぶとオート修正が行われます)

着せ替え機能を使って服を着せよう

ここからは「VRoid Studio」側に移って、実際に着せ替え機能を使って改変作業を行います。

アップデート後の「VRoid Studio」を起動した後は、メイン画面に表示される“着せ替え機能”をクリック。次に“着せ替え機能をはじめる”を選択することで、機能が起動します。

次は、改変に使用したいアバターと衣服のデータを「VRoid Studio」側に導入します。“素体を追加”を選択すると、ファイルが求められるので、先ほど作ったXAvatarとXWearファイル(今回はLapwingとスカジャン)を選びます。

アバターと衣服が表示されると、“フィッティング”の形式を選びます。これは、衣装の形を最優先するか、あるいは素体の形状にフィットさせることを最優先するかを選ぶ項目。今回は「素体に合わせる」を選択。

この時、着せたい衣服からはみ出たパーツを自動的に削除する機能も使えます。今回も使ってみたのですが、元から服側が大きかったからか、そこまで変化はありませんでした。

ボタンを押すと、自動的にフィッティングが行われます。この時点で、すでに“ボーン(アバターや衣服の可動部分)”は同期しており、アバターが動くと服も追従します。この後は、「Lapwing」のデフォルト服を消すと着せ替えは完了です。

ちなみにメイン画面左下の再生ボタンをクリックするとアニメーションが再生され、ボーンの同期テストが行えます。服の動きやアバター素体の貫通などをチェックできる仕組みです。

服のサイズを合わせて、より完成度をアップ

このまま改変が終わった「Lapwing」を「Unity」に戻すこともできますが、メンズの服なので、ちょっとダボッとした感じが目立ち気味。なので、もうひとつの機能“サイズ調整”を使用します。

サイズ調整は、その名の通り衣服の大きさをボーンごとに調節できる機能。同じシステムは「Unity」にもありますが、より細かい調整を行えるのが特徴です。

例えば「Hip」ボーンのサイズを変更すると、「Unity」では服全体の大きさが変わってしまいますが、「VRoid Studio」の場合、腰部分だけのサイズを微調整できます。


(各ボーンを個別に調整したい場合は、ここのチェックマークを外します)


(調整前)


(調整後。ウェスト部分がスマートになりました)

「Unity」にファイルを戻してアップロード

「Unity」で改変したアバターを使うためには、「VRoid Studio」でXAvatarファイルとして出力し、「XWear Packager」を通じてインポートする必要があります。

まずは「VRoid Studio」画面右上の“XAvatarエクスポート”を選択して、改変が終わった「Lapwing」のファイルを作成します。

XAvatarファイルが完成した後は「Unity」に戻って「XWear Packager」を使用。今回は“インポーター”を選んで、ファイルをインポートします。

インポートに成功したアバターは「Unity」のAssets欄に保存されます。


(XAvatarファイルをインポートすると、フォルダが生成されてアバターが保存されました)

この後の手順は、通常の作業と同じ。ヒエラルキーにアバターを展開して、「VRC SDK」からアップロードすることで「VRChat」にアバターを“持ち込む”ことができます。アップロード前には、一度「Unity」上でアバターを“再生”して、問題がないか確認するのがオススメです(今回はジャケットとコライダーが干渉したので、その部分だけ調整を行いました)。

まとめ

「VRoid Studio」の着せ替え機能は、アバター改変に便利なシステムがまとまった、良ツールです。「Unity」でも同様の操作や調整は行えますが、複数のプログラムやツールをBoothなどから導入する必要があります。「VRoid Studio」はシステムが単独で完結している上、操作が簡単。そこが大きなメリットと言えます。

唯一の欠点は、アバターの“移動”にXAvatarファイルを使う必要がある点。手順自体は複雑ではないのですが、「XWear Packager」のインストールといった事前準備も要求されるので、ある程度「VCC」や「Unity」の使い方に慣れている必要があります。


(VRChatにアップロードすると、こんな感じ)

個人的には、「Unity」上で着せ替えが機能する、あるいは「VRoid Studio」からアバターを直接アップロードできるようなシステムが実装されれば、利便性が大きく向上すると感じました(その場合、VRChat運営との連携が必要ですが)。

現在の着せ替え機能はβ版であり、今後ユーザーからのフィードバックを考慮した調整や改良が行われると思われます。正式版がどのような仕様になるのか。今から注目して待ちたいところです。

執筆:井文


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