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VR動画 2018.12.02

世界の魅力的なVR映画を体験しよう! – 待場勝利の「VR映画の夜明け前」第10回

昨年の12月から続けてきたこの連載も、ついに10回目を迎えました。当初から「世界中の魅力的なVR映画作品を紹介したい」という思いで連載を続けてきましたが、ここに来てようやく、気軽に世界の魅力的なVR映画を見られるようになりました。というのも弊社も運営に関わっている店舗常設型VRサービス“VR THEATER”の中で、国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」が厳選した、国内外の魅力的なVR映画を体験することができるようになったのです(※)。

どの作品も世界中のクリエイターたちがVRならではの映像演出を試行錯誤していて、作品自体が魅力的なのはもちろんのこと、フレーム映像にはない斬新な演出に驚かされます。ぜひ、世界の魅力的なVR映画を体験してみてください。

(※”VR THEATER”の一部店舗ではご覧になれません。”VR THEATER”のウェブサイトで詳細をご確認ください。)

”VR THEATER”で見られるオススメ作品

「Eyes In The Red Wind」は今年のサンダンス映画祭を皮切りに、世界中の映画祭で評価を得ている作品です。監督のSngmoo Lee氏はスクリーン映画「Warrior’s Way」の脚本・監督を担当し、韓国技術総合学校マルチメディア映画科の教授も務めています。

待場の見所①<計算されたVRワイヤーカメラ>

この作品の見所の一つがこのVRワイヤーカメラです。聞いたところによると、カメラはNokiaの「OZO」を使って撮影したようで、この撮影のためにVRワイヤーカメラを準備したそうです。

この作品はワンショット撮影のため、全編VRワイヤーカメラだけで撮影をしています。中型ぐらいの大きさのボート上で話が進むのですが、このVRワイヤーカメラの動きがあるため全く飽きない映像になっています。作品の冒頭はボートを見下ろすような視点で始まります。誰の視点というわけではない浮遊しているような視点です。上空から船上で祈祷している霊媒師に向かってゆっくりと視点が降りて行きます。このVRワイヤーカメラのゆったりとした動きと、激しい民俗音楽にのせて踊る祈祷師の映像が合わさり、作品全体の何とも不気味な雰囲気を作り出しています。

待場の見所②<スクリーン映画のような映像美>

この作品は360°-3Dで撮影されています。画質や3Dの品質はもう少し改良の余地はあるとは思いましたが、作者はスクリーン映画のような映像美を目指して制作しているのではないかという意識を感じました。

映像は全体的にセピア色に近い暗い感じです。船上に白い布を敷き詰め、役者たちは全員黒の衣装を身にまとい白と黒のコントラストをハッキリ出しています。クライマックスでは船上の真っ白い布が、黒みに近い血で染められていく様子に作品の映像の美しさを感じました。

待場の見所③<ワンシチュエーションで魅せる作品>

本編の長さは約11分で、短編映画ぐらいの長さです。ワンシチュエーションで最後まで引き込むようなストーリーになっています。冒頭に状況説明のテロップが出るので何となくこの作品の向かう先が読めてしまうのが少し残念ですが、見所①に書かせていただいた全編を通したVRワイヤーカメラの視点が何を現わしているのかを考えさせるところがこの作品の面白さだと思います。

上空から船上で祈祷している霊媒師に向かっていく中で、霊媒師がチラリとこちらを見たり、最後に女性が倒れる前に何かを言いたげにじっとこちらを見つめたりと、体験者はこの物語の中に存在しているのではないかと感じさせられる瞬間が何度かあります。その度にドキッとさせられ、自分の存在が何なのかを考えさせられてしまうのです(誰の視点だったのかは、きっと見る人それぞれ違うと思うので、その答えはここでは伏せておきましょう)。

まとめ

この作品は冒頭の説明テロップ以外はセリフがありません。言葉がわからなくても、映像の雰囲気でわかるような作品になっています。しかし、ここ最近ではセリフを多用する作品も増えてきており、字幕や吹替音声などの対応をどうするかというローカライズの問題が出てきています。映画祭やいくつかの動画ポータルアプリの方では少しずつローカライズ対応はしてきているようですが、まだまだ日本語対応してくれるようなサービスはあまり無い状況です。

”VR THEATER“では日本語字幕対応をしているので、ぜひ足を運んでVR映画の魅力に触れていただければと思います。また、 ”VR THEATER“まで足を運ばなくても、ご自宅でもVR映画を楽しむ方法もあります。VR動画配信サービス360Channel内にある”VR CRUISチャンネル“でも「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」が厳選した、世界中のVR作品を体験することができます。ぜひこちらの方でも楽しんでみてください!

※本記事の内容はあくまで私見に基づくものです。ご了承ください。


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