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VRヘッドセット 2024.09.18

VRヘッドセットを選ぶ際、まず気にするべき10のポイント

2024年秋、Meta QuestやPICO、VIVEなど、いくつもの企業が新型VRヘッドセットを予告しており、大きな盛り上がりを見せています。一方、各メーカーではスペック表を提示していますが、専門用語が並んでおり、具体的にどこを見て判断すればいいか分からない人は少なくないでしょう。

今回はこれから新規デバイスが出揃うにあたり、VRヘッドセットを購入するときに注目すべきポイントを解説し、自分に合ったヘッドセットを選べるよう紹介します。

目次

1.ディスプレイ解像度&リフレッシュレート
2.デバイスの重さ
3.視野角(FOV度)&レンズ
4.体験できるコンテンツの量&独占コンテンツ
5.処理能力
6.独自機能の有無
7.コントローラーの機能性
8.ベースステーションが必要かどうか
9.設定や準備が面倒ではないか
10.公式・サードパーティ製のアクセサリーの対応の幅

1.ディスプレイ解像度&リフレッシュレート

ディスプレイ解像度は、ヘッドセットを被ったときに見えるディスプレイの解像度です。解像度が高ければ高いほど、グラフィックが鮮明になり、リアルな映像体験ができます。近年の最新モデルは、片目解像度が縦2,000×横2,000オーバーのものが増えてきました。

リフレッシュレートは、1秒間に何回映像を描写できるかの数値です。高いほど映像が滑らかになり、細かな動きまで確認しやすくなります。VRでは非常に重要な数値で、高いとVR酔いが発生しにくい傾向があります(人によって差異あり)。最大値は90〜120Hzの範囲のものが多いようです。

・ディスプレイ解像度、リフレッシュレートともに数値が高いほど、鮮明で滑らかな映像を楽しめる。
・リフレッシュレートが高ければVR酔いしにくくなる。
・どちらも性能が高いと高額になる場合あり。

2.デバイスの重さ

前提として、VRヘッドセットは頭部に装着する都合上、なるべく軽いほうが快適に操作できます。バッテリー内蔵型の場合、基本的な重さは500〜800gの範囲。500g台なら体を大きく動かすアプリでも十分快適にプレイできます。


(Meta Quest 3は顔の部分に重さを感じるタイプ。ストラップの変更によって改善することも)

ただし、軽さだけでなく重量バランスや締めつけも重要な要素です。例えば、Meta Quest 3のようにバッテリーが前頭部の方にあるタイプは、長時間の使用で目の周りや頬骨あたりに重みや締めつけを感じることも。こういった問題は、公式やサードパーティ製のストラップと組み合わせると、バランスの良くなるケースもあります。


(とにかく軽量さを押し出す「Bigscreen Beyond」)

近年では「Bigscreen Beyond(本体127g)」「MeganeX(約320g)」「VIVE XR Elite(バッテリーを外すと273.5g)」といった、これまで以上に軽量なデバイスが次々と登場しています。装着感は非常に快適であるものの、外部デバイスから電源供給するための接続が必須のため、VR体験中にコードが邪魔になる問題が起こりがちです。また、どれも10〜20万円を超える高額の傾向にあります。

その他、海外製のデバイスは、日本ユーザーが装着した際、目元や鼻のあたりから外部の光が漏れるケースがあったり、装着した際にすぐズレてしまったりするケースもあるので、できれば購入前に装着感を試しておいたほうが良いでしょう。

・軽ければ軽いほど快適だが、500g台の重さでも十分楽しめる。
・へビーウェイトによる重みや締めつけに注意。ストラップで改善できるので購入を検討するのがおすすめ。
・メガネ型デバイスは圧倒的に軽いが、外部デバイスとコード接続が必須。高額の傾向。

3.視野角(FOV度)&レンズ

視野角が広いほど見られる映像の範囲が広がり、人間の自然な視野に近づきます。最新モデルでは水平が110度ほどあるものが増えました。ただし、単純に広ければ良いというわけではなく、焦点の合いやすい範囲(スイートスポット)の広さ、レンズの影響による画面の歪みのなさなども気にしたほうが良いでしょう。

レンズには主に「フレネルレンズ」と「パンケーキレンズ」という種類があります。フレネルレンズは同心円状の溝が刻まれており、パンケーキレンズは文字通りパンケーキのような薄いレンズです。見えやすさやデバイスのコンパクトさではパンケーキレンズに軍配が上がりますが、その分高価な最新モデルに採用されているケースが多いです。

なお、VRヘッドセットには「瞳孔間距離(IAD)」があるのも重要なポイントです。これは自分の両目の幅とレンズの幅のことで、デバイスによって調整方法が異なっており、PICO 4のような自動調整式、Meta Quest 3のようなダイヤル式などがあります。デバイスによっては細かな調整ができなかったりするケースもあるので注意。

・視野角が広いほど見られる映像の範囲が広がる。
・フレネルレンズとパンケーキレンズがあり、最新モデルではパンケーキレンズが主流。
・瞳孔間距離の調整はデバイスによって異なる。

4.体験できるコンテンツの量&独占コンテンツの有無

VRヘッドセットの性能がよくても「遊びたいゲームが対応していない」「ゲームストアのタイトルラインナップが少ない」といったケースがあることも。

多くのコンテンツを配信しているのがMetaストアとSteamVRです。MetaストアはVRヘッドセット単独で多くのタイトルが遊べる強みがあり、日本語コンテンツも充実しています。SteamVRはPC接続前提ですが、MODも含めて幅広い選択肢があります。

PICIストアもVRヘッドセット単独でプレイでき、人気タイトルもあるものの、中国語圏のコンテンツがメインのため、Metaと比べると馴染のないものが多い印象です。PSストアでは、全体的にコンテンツ数が少ないのが現状です。

それでも、多くのヘッドセットはPCと接続してSteamVRを体験できるので、コンテンツ不足は解消できます(PSVR2の場合、専用ケーブルが必要)。どのストアにアクセスできるか、先にチェックしておきましょう。

あわせて押さえておきたいのが「独占コンテンツ」の有無です。先にあげたPSストアでは、コンテンツの少なさは否めないものの「バイオハザード」シリーズや「グランツーリスモ」など、圧倒的に人気のあるコンテンツのVR版を楽しめます。またMetaストアで発売されている「Beat Saber」は、PICOストアでは販売されていない等、一部のストアでは対象外になっているというケースもあります。自分の体験したいタイトルが、特定のストアの独占になっていないかも事前に確認しておくのがおすすめです。

・コンテンツ量ではMetaストアとSteamVRが2強。
・大半のヘッドセットではPCと接続してSteamVRが使えるので、コンテンツ不足を解消できる。
・独占コンテンツのラインナップも押さえておこう

5.処理能力

PCやスマートフォンと同様、どのような処理能力のSoC(System on Chip)を採用しているかにも注目すべきでしょう。これにより、VRデバイスを単独で起動した場合に、どれだけのクオリティのゲームやアプリを快適に体験できるのかの指標になります。

例えば、MetaやPICOではSnapdragonを採用。スマホでも使われているチップセットですが、VRでは最新の「Snapdragon XR2 Gen 2」といったVR/MR向けにカスタマイズされたものが使われています。一方、Apple Vision Proは「Apple R1チップ」などといった独自規格のものを使用しています。

ただし最初からPCやゲーム機に接続して遊ぶVRコンテンツのみを想定しているのであれば、重要となるのはPCやゲーム機器側のスペックです。タイトルごとに必要なスペックはSteamなどのページに書いてあるので確認してください。

・チップセット次第でゲームやアプリを快適さが向上する。
・現在最新モデルに使われているのは「Snapdragon XR2 Gen 2」。
・PCやゲーム機に接続する場合、そちら側のスペックが重要になる。

6.独自機能の有無

Meta Quest 3とPICO 4 Ultraのように、基本的に最新モデルになるほど性能の差が少なくなっていきます。そんなとき判断材料になるのが、独自機能があるかないかです。例えばMeta Quest 3の場合は最近のアップデートで、横になったままでも使える「寝そべりモード」などが追加されました。

PlayStation VR2の場合、「ハプティックフィードバック」と「アダプティブトリガー」と呼ばれる振動機能が備わっており、本デバイスの目玉機能となっています。PS5と接続したときのみ利用できるので、他のVRヘッドセットでは現状体験できません。

こういった機能は新デバイスが発表された際、大々的に宣伝されるので、各メーカーの発表は要チェックです。

・ヘッドセットの独自機能がセールスポイントになる。
・Meta Questの寝そべりモード、PSVR2の振動機能など。
・新機能が公開される各メーカーの発表会は要チェック。

7.コントローラーの機能性

ヘッドセット本体がよくても、コントローラーが微妙という場合もあります。両手のコントローラーがしっかりと動きを追従できているか、細かな手の動きを再現できているか、激しい動きをする際に、操作がズレたりしないか。握りやすさ、重さなども重要なポイントです。

これらは実際に体験しないと判断し辛いですが、メディアのレビューなどで使い心地が分かるので判断材料となります。また、基本的に最新モデルはリング上のセンサーがなくなって軽量・小型化したため、使い勝手は上がっています。またヘッドセットの種類によっては、他社のコントローラーのみ組み合わせ可能なケースもあるので、事前にヘッドセットの対応コントローラー機種を調べておくのもおすすめです。

・コントローラーの重さや追従性などで体験は大きく変わってくる。
・最新モデルは軽量・小型化している。
・購入前にメディアのレビューなどをチェック。

8.ベースステーションが必要かどうか

自分と合うVRヘッドセットを買ってきて、いざ動かそうと思ったのにまったく動かなかったという事態になったら目も当てられません。VRヘッドセットは外部センサーが必要な「アウトサイドイン」と外部センサーのいらない「インサイドアウト方式」があり、アウトサイドインの場合は外部センサーの「ベースステーション」の設置が必須となっています。

MetaやPICOなど、主要なメーカーのモデルはインサイドアウト方式などで安心して使えますが、最軽量の最新モデルである「Bigscreen Beyond」にはベースステーションが必要です。また、VIVE製のヘッドセットは、種類によってベースステーションが必要かどうかが変わっていきます。

ベースステーション自体は非常に優れたセンサーのため、今後ともインサイドアウト方式のモデルは出てくる可能性があります。買う前にかならずチェックしましょう。

・VRヘッドセットには外部センサーのベースステーションが必要なものがある。
・MetaやPICOなどの主要なメーカーには使われてないので安心して買える。
・買っても動かないという事態を避けるため、購入前に必ずチェック。

19.設定や準備が面倒ではないか

上記のベースステーションのように、VRをはじめる前に事前に取り付けが必要な機材が無いかを確認するのも必要です。VRデバイスによってはヘッドセット以外のコントローラーやセンサーを別途購入必須というケースもあるので、販売サイトで必ずセット内容をチェックしておきましょう。購入後に「実は別の機材も必要だった」と気づくといった悲劇は回避しておきたいところです。

また、購入後の設定が面倒でないかも、気にしておいた方が良いポイントです。現状のMeta QuestシリーズやPICOシリーズでは、事前にVR用のアカウントの作成が必要です。また、設定時にスマホのアプリインストールを必須とするタイプのデバイスもあります。それだけであれば問題はなさそうですが、中にはそもそも明確なチュートリアルが無く、設定方法を海外サイトを翻訳しながら自分で調べてなければならない場合も……。そもそも、自分の選ぶデバイスが準備に非常に手間のかかるタイプかどうかも確認しておきましょう。「何となくデザインがかっこいいから」だけで選ぶと、大変な目にあってしまうかもしれません。

・ヘッドセット以外に必要なものが無いかを確認しておこう。
・事前にアカウント作成やアプリインストールが必要なケースもある。
・そもそもチュートリアルガイドが海外サイトにしかないようなケースもあるので注意。

10.公式・サードパーティ製のアクセサリーの対応の幅

もっとVRの体験を良くするための、公式またはサードパーティ製のアクセサリーの幅があると良いでしょう。ヘッドストラップやバッテリー、埋め込み式の視力矯正レンズなどがあれば、利便性がぐんと増します。

中でもバリエーションが豊富なのがMetaです。公式サイトでEliteストラップや充電ドックのようなアクセサリーの他、「Meta専用製品(Made for Meta)」と呼ばれるパートナー製品もストアで取り扱っています。それ以外にも、Amazonなどでサードパーティ製アクセサリーが充実しています。今後発売される新型ヘッドセットでも充実することが見込まれるでしょう。

ヘッドセットによっては、全身をトラッキングできるデバイスと互換性があり、VRChatなどメタバースの体験などと相性が良いです。これらは対応ヘッドセットが公式サイトなどに書いてあるので、買う前に確認しましょう。

・公式またはサードパーティ製のアクセサリーがあれば、利便性が増す。
・Metaは公式ストア及びAmazonなどでアクセサリーが充実している。
・メタバース向けの全身トラッキングデバイスもある。ヘッドセットに対応しているか確認。

まとめ

これらの情報は今まで発売されたVRヘッドセットを元に情報をまとめましたが、これから発表される新型ヘッドセットにも同じことが言えます。スペック表を眺めたとき、それらがどんな意味なのか分かると、より自分に合う製品がどれか判断しやすくなるはずです。予算と相談しながら、これから買うときの参考にしてください。


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