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話題 2018.04.23

中絶反対進めるトランプ政権に対抗、米国の医療団体がVR活用

100年以上続く団体にとって、継続的に市民生活に根差した活動を続けることは困難が伴います。米国の医療サービス団体「プランド・ペアレントフッド(家族計画連盟)」にとってもそれは同じです。同団体では人工妊娠中絶への反対を掲げるトランプ政権に対抗するため、VRを含むテクノロジーの力を活用しています。

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トランプ政権下での逆風にテクノロジーで対抗

「プランド・ペアレントフッド」は人工妊娠中絶手術や避妊薬処方、性病治療等の支援を行っています。副代表Dawn Laguens氏は次のように話しています。「我々の活動の基本の考え方は、『あなたの身体と喜びはあなた自身のもの』ということです。これは101年間、団体の理念として変わりません」「しかし、MeToo運動への反応や、トランプ政権の対応を見ると、この考え方はまだ浸透していないようです」

2017年4月、トランプ政権は医療プログラム「タイトルX」への資金供給を停止する方針を打ち出しました。このプログラムは妊娠前検診および避妊などを低所得者層へ提供する生殖医療ケアです。実際にネブラスカ州では、「タイトルX」からの資金引き上げに関する法が制定されました。

「プランド・ペアレントフッド」は活動を進めるため、VRコンテンツや生理周期管理のアプリ、チャットボットといった技術を活用しています。女性の健康に関する重要な選択肢をなくそうとするトランプ政権に対しては、デジタル技術で対抗することが不可欠と考えているためです。

例えばチャットプログラムでは、健康に関する相談をインスタントメッセージで受け付けます。これを使い、2017年4月には100万件のやり取りがあったとされています。

VRコンテンツ、Facebook Spacesの活用

また「プランド・ペアレントフッド」はVRの活用を進めており、VRコンテンツ「Across the Line」を制作しました。このコンテンツは、中絶に向かう女性が医療機関の前で中絶反対を掲げるデモに遭遇する場面を描いています。

Laguens氏は、「このコンテンツを警官や法律機関の人にも見てもらいたいと考えています。少なくとも人々に、女性たちへの共感を持ち、何に直面しているかを理解してほしいのです」と話しています。

Across the Line meet the artist video from 371 Productions on Vimeo.

VRの進展に合わせ、同団体はマサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、フェイスブック、Oculusといった企業とも協力しています。今後困難に直面する若者に向けて、VRコンテンツを制作しようと考えています。

また、フェイスブックのソーシャルVRアプリ「Facebook Spaces」の活用も検討しています。VR空間でアバターを通せば、性に関することでも、ためらわずに話せるのではないかと期待しているのです。

「半分以上の親が、10代の子供と避妊について語ったことがないと言います」とLaguens氏は話します。「もし親子がFacebook Spacesでアバターを使って会話するなら、恥ずかしがらずにもっとよく会話できるのではないでしょうか?」

女性の中絶する権利について共感、思いやりを持つためのVR作品は、ポーランドでも制作事例があります。

(参考)FASTCOMPANY


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