5月2日(土)、HTC NIPPON株式会社がバーチャル空間店舗「VIVE VR Store」をオープンしました。HTCのVRヘッドセット「VIVE」をバーチャル空間で展示・販売するECストアです。
店舗の場所はなんとVRChatのワールド内! スペックを満たしたパソコンさえあれば24時間いつでも訪れられます。
現在、毎週土曜日の23:00からGugenka所属のVTuberが店員としてショップに立ち、お客さんに向けて製品を紹介しています。今回そんな「VIVE VR Store」へ潜入取材。VTuberたちがどんな接客販売を行っているのか、調べてきました。
VIVE VR Storeに行ってみた
VIVE VR Storeが店を構えるのは、VRChatのワールド「Gugenka Virtual Shop」の3階部分。ワールドに入って階段を上がればたどり着けます。
左手に見える「TOUCH HERE」と書かれたVIVEロゴにふれると、アニメーションが展開し
、店内に入れるようになります。
店内には、3D化されたVIVEのヘッドマウントディスプレイが展示されています。各製品の横では、VIVE Cosmosシリーズ、VIVE Focusシリーズ、VIVE Proシリーズ、VIVEPORTの製品紹介ムービーが流れていました。
VRChat上にある店舗ということもあり、人目を気にする必要はありません。1人で足を運んで品定めしてもいいですし、友達と一緒に訪れてあれこれと話しながら商品を比較することもできます。
この日は事前に予約した3人のお客さんが訪れ、VIVEのスタッフさんから説明を聞いていました。説明会はVIVE上級者やVR開発者向けのセッションで、参加する人の多くはすでにVR機器を持っている様子。お客さん側も新製品の仕様や今後の商品展開など、気になる点を積極的に質問されていました。
展示物とムービーによって製品を使っているイメージが実感しやすく、店内イベントに参加すれば、詳しい説明をスタッフさんから直に聞くこともできる。家に居ながらにして製品を「体感」できる空間として、VIVE VR Storeは魅力的な試みだと感じられました。
VRに詳しくなくても安心! VTuberが案内する初心者ツアー
しばらくすると、「公式VIVEアンバサダー(※1)」として活動されているVTuberのみなさんが登場。バーチャル美少女ねむさん、オニャンコポンさん、レオン・ゼロミヤさん、エニルさん、そしてエピトさんが来店し、お店が賑やかになりました。
23:00からは「VIVE VR Store アンバサダー(※2)」に任命されたGugenka所属VTuberによるセッションを開催しました。このセッションは初心者向けのツアーとなっており、VR機器を持っていない人でも気軽に参加できます。定員15名の事前予約制で、23:00~23:30と23:30~24:00の2回に分けて開催。この日はどちらの回も満員となっており、大盛況でし
た。
※1…公式VIVEアンバサダーは、5月にVTuberを中心とした8人が宣伝大使として就任したグループ。現在はVIVEに関する感想や情報をSNS上でPRしている。詳細はこちら。
※2…VIVE VR Store アンバサダーは、東雲めぐさんをはじめとしたGugenka所属のバーチャルタレントで、ストアを訪れたユーザーにVIVE製品の魅力を伝えている。
説明を担当するのは、エピトさんとガーベルフォンさんの2人です。ゆるい雰囲気でまったり進行。お客さんも「なるほどー」「たしかに!」と呟きながら説明を聞いていました。
基本的にはガーベルフォンさんが各製品について紹介しつつ、エピトさんが補足説明を加えていくような流れ。明るく聞き取りやすい声で話すガーベルフォンさんの説明は初心者目線でも分かりやすいものでした。エピトさんのトークも見事で、淀みない口調とツッコミで自然とお客さんの反応を呼び起こしていました。
Twitterの「#VIVEVRStore」に投稿された参加者の感想も、満足度が非常に高かったです。
質問コーナーもあり、VIVEのスタッフさんにも詳しく話を聞けます。VRにまつわる基本的な知識から、技術面での疑問、VIVE製品の最新情報まで、予定時間ギリギリまで質問が飛び交っていました。
前述の説明会もそうですが、参加者のみなさんだけではなく、スタッフさんたちも楽しみながら話していらっしゃる様子が印象的。企業とユーザーが直に交流できる空間としても、「バーチャルショップ」の可能性を感じさせられました。
最後に記念撮影をして、約30分間のセッションは終了。毎週末のイベントは6月27日まで開催されているそうなので、気になる方はHTC VIVE JAPANの公式Twitterをチェックしてください。
VIVE VR Storeの魅力とは? 関係者インタビュー
さらに今回は、HTC NIPPON代表・児島全克さんと、Gugenka代表・三上昌史さん、そしてVIVE VR Store アンバサダーであるVTuber・エピトさんにインタビュー。バーチャルショップに携わってきて、どのような感触を得られたのか。お話を聞きました。
――VIVEの製品とコンテンツの魅力を発信する「公式VIVEアンバサダー」。そのメンバーとしてVTuberを多く起用していることが話題になりましたが、企画の狙いをお聞かせください。
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児島:
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VTuberはアメリカやヨーロッパにはない日本特有の文化です。また日本におけるVRは主にソーシャルコミュニケーションの場として機能しており、それを牽引しているのが、VTuberのみなさんです。そんな方々と一緒にこの業界全体を盛り上げていければいいなと考えて、今回のアンバサダープログラムを始めました。
――「VIVE VR Store」の評判はいかがですか?
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児島:
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毎週大盛況です! 特に5月の連休中はオープン記念として、VIVE VR Store アンバサダーを務めるGugenkaさんのVTuberさんに毎日1時間ずつ来ていただいたのですが、とても盛り上がりました。
VIVE VR Storeは基本的に24時間365日開いているのですが、1週間に1回、毎週土曜日の23:00~24:00には、VIVE VR Store アンバサダーのみなさんに接客をお願いしています。人数限定の事前予約制にも関わらず、たくさんの人の申込みがあってですね。いつも300%を超えているかもしれません。
――300%はすごいですね……! お客さんの中には、すでにVR機器を持っていらっしゃる方も多いのでしょうか。
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児島:
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PCで来られている方も結構いらっしゃいますね。「これからVRをやってみたいのだけれど……」と、ちょっと話を聞くために来店される方も見られます。VR機器は量販店さんでもいろいろ教えてもらえますが、こうやってメーカーの人やアンバサダーに直接聞ける機会は珍しいのではないでしょうか。
そういえば三上さんがお話されていたと思うのですが、接客中、お客さんがVTuberさんと仲良くなると、高い確率で機材を買ってくれるそうです。
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三上:
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そうですね。このフロアで販売しているARフィギュア「HoloModels」も説明することでより理解度が高まる商品なので、こういう機会に魅力を知っていただけています。そういう点も、このVRショップのいいところですね。
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エピト:
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僕はHoloModelsについて説明する時に、「こういうふうに写真を撮ったり飾ったりするといいですよ!」と具体例を出してお話するのですが、そうすると「あ、欲しいな」って思ってくださる方が多いように感じます。
VRでなら実際に物をさわって、これくらいの大きさで……っていうのも実感してもらえますね。VIVE VR Storeの場合も同様です。僕くらいの身長のアバターの方だったら、展示されているヘッドマウントディスプレイをリアルに近い感覚で装着できます。そういった実感が伝わるからこそ、納得したうえで買っていただけているのではないでしょうか。
――先ほどのセッションでも、スタッフの方が「HMDを付けている状態のアバター」に着替えつつ解説され、わかりやすく感じました。
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エピト:
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「目に見えてわかりやすい」のに加えて「わからない疑問点もしっかり聞ける」のが、このストアの魅力だと思います。まずはPCでVRChatを始めて、その次のステップとして「VR機器を揃えたい!」と考えている方が足を運ぶ場所ですね。
「VIVE Cosmosがいいかな、それともVIVE Cosmos Elliteがいいかな……」と悩んでいる方に比較しながら説明すると「じゃあこっちにしよう!」とその場で決めてくださる方もいらっしゃいます。
――現在はGugenka Virtual Shopのワンフロアにお店を構えるVIVE VR Storeですが、今後拡張する予定はありますか?
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児島:
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すぐに計画されているものではありませんが、ゆくゆくはお店を広げて、いろいろなフロアを作りたいな、と考えています。今はGugenkaさんにおんぶに抱っこで3階に部屋を作っていただいていますが、それとは別にHTCの店も展開していきたいなと。
そのときには、HMDの部屋やアクセサリーの部屋、PCの部屋……他にもたとえばシアタールームや、みんなで遊べるチャットルームなど、訪れた人に「楽しい」と感じてもらえる場所を作りたいですね。みんなが入れるような、ソーシャル的な空間を目指していきたいと思います。
アンバサダーになって実感したVIVE製品の魅力と、フルトラへの憧れ
――エピトさんは「VIVE VR Store アンバサダー」の1人として接客をされていますが、アンバサダーに決まった時はどのように感じられましたか?
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エピト:
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嬉しかったです! 僕はVIVE VR Storeができる以前からGugenka Virtual Shopの店長としてもいろいろとやらせていただいていて、その時に「VIVEのお店ができたらおもしろそうですよね」みたいなことをお話させていただいていました。それが実際にこうして具現化して、とてもうれしく思います。
――エピトさんはこれまでGugenka Virtual Shopで大勢のお客さんと接し、製品の魅力を説明されてきていますね。その経験が、VIVE VR Storeでも活かせているようなイメージでしょうか。
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エピト:
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ノウハウがまったくない、というわけではありませんが……というのも、僕は楽しんでやっているだけですので。今までGugenka Virtual Shopで多くの方を接客してきた僕たちが、VIVE VR Storeでも店員をすることによって、その楽しさがお客さんにも伝わって購買につながればいいなと思います。
それに「今後も一緒にいろいろなことをできたらいいな」って思うくらいにVIVEのみなさんも僕たちに寄り添ってくださっているので。ここに来ると楽しくて仕方ないです!
――実際にVIVE VR Storeで接客をして、Gugenka Virtual Shopと勝手が違うように感じられた点などはありますか?
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エピト:
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Gugenka Virtual Shopでは「このお店の商品について一番詳しい人」という立ち位置でしたので、お客さんに質問をいただいてもすんなりお答えすることができていました。今回のVIVE VR Storeでもお客さんに説明をさせていただいているのですが、僕たちアンバサダーだけではなくVIVEの店員さんも常にいてくださるので、雰囲気はぜんぜん違いますね。
僕たちだけじゃフォローしきれない技術的な話や、より詳しく聞きたい人に関してはVIVEの店員さんにバトンタッチして説明をお願いしています。まずは僕たちが軽く説明させていただいて、さらに詳しく聞きたい人は店員さんに……という感じで、自然と役割分担ができているような。入り口として僕たちがいて、その奥に店員さんがいてくださるので、すごく心強く感じます。この構成が、お客さんにも理解を深めていただきやすくなっているのではないでしょうか。
――VIVEのスタッフさんたちと二人三脚で接客されているのですね。ショップに立つことでVIVE製品とふれる機会も増えたのではないかと思いますが、エピトさんが感じるVIVE製品の魅力とは何でしょう?
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エピト:
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「常に進化している」のが、VIVEさんのすごいところだと思います。ちょうど先日、「VIVE Focus Plus」っていう完全に無線でPCVRを遊べるHMDが一般向けに販売されたのですが、どんどん新しいものが出てくるのが本当にすごいなと。
それに、VRが好きな人は興味深く感じられそうな研究もVIVEさんでは多くされていたりするので、僕たちもその魅力を伝えやすいんですよね。お客さんと話す時も、「VIVEさんの商品はこれだけ進化していて、こういうところがすごいんだよ!」と楽しく説明できています。
――今後、エピトさん自身がVRでやってみたいことはありますか?
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エピト:
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フルトラにすっごく憧れているんですよね……! VRChatを始めてから1年ちょっと経つのですが、これまでにいろいろな人とお会いしてきました。その中にはフルトラの人もいて、足が自由に動かせることのすごさを何度も見てきたので。僕もゆくゆくはVIVEさんのトラッカーをつけて、めちゃくちゃフルトラしたいな、って思います。
(※フルボディトラッキング:VRの基本装備であるVRゴーグルと両手のコントローラーだけではなく、腰や両足にトラッカーを装着することによって、全身の動きをトレースしてアバターに反映させる方法)
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児島:
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あ、後ろでオニャンコポンさんが……。
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オニャンコポン:
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フルトラは痩せる!
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バーチャル美少女ねむ:
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私もフルトラフルトラ!
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レオン・ゼロミヤ:
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足を上げる運動!
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エニル:
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腰の感じもね……!
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エピト:
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(笑)そうなんですよね。足も動かしたいですし。腰にもトラッカーを付けると動きがまた変わってくるので。
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レオン:
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楽しいです! フルトラ! 今日、相撲したんですけどおもしろかったです!
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一同:
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「「「相撲!?」」」
短時間のインタビューではありましたが、今回お話を聞いた誰もが「VR」の魅力についてアツくお話されていたのが、筆者には何よりも印象的でした。VRに興味を持った方、あるいは手を出すべきか迷っていた方は、VIVE VR Storeに足を運んでみてください。
VIVE VR Storeのアクセス方法はこちら。
執筆:けいろー