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話題 2022.05.01

国境を超えて活躍するVRChat発のクリエイティブグループ「VisitoR」 とは?

「VRChat」上で活動する音楽・動画制作グループ「VisitoR」をご存知でしょうか? 国境を越えて様々なメンバーが参加し、楽曲のみならず、ハイクオリティなMVも「VRChat」上で撮影・制作する、新進気鋭のクリエイティブグループです。

本記事では「VisitoR」のこれまでの活動である、4月29日に発表された新曲を含む4つの楽曲・MVと、同日に公開された活動を紹介するVRChatワールドをご紹介します。

「VisitoR」とは

「VisitoR」は、2021年10月から活動を開始した有志による音楽・動画制作グループです。日本ユーザーで作詞担当兼ディレクターのtai_taiさんと、韓国ユーザーでラップ担当のminigunさんが「何か歌を作ってみない?」ということで活動を始めたのがきっかけで、出自も国籍の異なる様々なVRChatユーザーが集まり、VR空間にて楽曲制作やMV制作を行っています。

現在、「VisitoR」はYouTube上での作品発表を行っているほか、「TikTok」でもショート動画の投稿を実施しています。

これまでの楽曲

「VisitoR」がこれまで発表したMVは4つ。オリジナル曲が3曲、カバーが1曲です。最大の特徴は、これら全てのMVに連なったストーリーがある点です。1曲ずつ紹介していきます。

VisitoR

記念すべき最初の曲である「VisitoR」は、低音が響くラップとのびやかな歌声が、不思議と一つに絡み合う、「VisitoR」を象徴するような一曲。MVでは、日常生活に疲れた主人公が「VRChat」の世界を訪れ、多くの人との出会いを通して「本当の自分」に出会うというストーリーが描かれています。

たくさんのワールドで遊び、人々と交流し、なにかを見つけていく。多くの「VRChat」のユーザーも体験してきたであろう物語を描く歌詞とMVは、「VRChat」に愛着がある人ほど胸を打つかもしれません。

なお、MVでは10を超えるワールドが撮影に使われていますが、このMVのために新規に制作されたワールドもあるとのこと。ワールド制作という「VRChat」ならではのクリエイティブもカバーしていることには驚きを隠せません。

フクロウ~フクロウが知らせる客が来たと~(カバー曲)

2曲目は、KOKIA「フクロウ~フクロウが知らせる客が来たと~」のカバー。森の中に迷い込んだ少年が、「森のプリンセス」と「フクロウ」たちが舞うダークで幻想的な世界を体験するという物語が描かれるMVは、オーケストラアレンジと相まって、壮大な世界観が織りなされています。

「次の作品は早く発表したいね」ということでカバー曲を選択されたとのことですが、楽曲はフルアレンジ、MV撮影にあたっても、映像内に登場する「フクロウ」役のためにフルスクラッチで衣装を制作するなど、クリエイティブは全く手抜かりなく発揮されています。

Deviate

3曲目の「Deviate」は、1分20秒のさわやかで正統派な一曲。「このまま諦めてなるものか」という叫びとともに、夢に向かって駆け出していく疾走感が、楽曲からもMVからも感じさせます。背中を押してくれるようなメッセージに、勇気づけられる人が多いはずです。

この曲の主人公は「POKO」という名前の少女。実は「VisitoR」のMVにも登場しており、「VisitoR」のMVの出来事を経て、一度は諦めた夢に再び挑もうとする……というストーリーがあります。複数のMVがひとつの物語を描くという構図が、ここから明らかになっていきます。

Hello!Metaverse.

4月29日に発表された新曲「Hello!Metaverse.」は、これまでとは打って変わってロックサウンド。楽曲のテーマはタイトルの通り、昨今バズワードとしても急速に広まった「メタバース」です。数多の「メタバース像」が入り乱れるいま、「VRChat」に生きる人々から見える「メタバース」を伝える一曲となっています。

今回のMVはAudioLinkが組み込まれた、撮影用の新作ワールドにて収録。さらに、「VRChat」で活動するダンサーが多くMVに参加し、MVのクライマックスをパワフルに盛り上げます。さらに、「Deviate」に登場したPOKOがDJ役として出演し、「フクロウ~フクロウが知らせる客が来たと~」に登場した「森のプリンセス」もMVに登場。「VisitoR」の世界観が一挙に集結した映像となっています。

「VisitoR」の活動を紹介するワールドも公開

新曲「Hello!Metaverse.」の発表に合わせ、「VisitoR」のこれまでの活動を紹介する展示ワールド「Exhibition VisitoR」が先行公開されました(Public化は5月6日を予定)。

ワールドでは、上記4曲をイメージしたコーナーが設けられ、イメージカットや、MVのキーアイテムが展示されています。各コーナーごとに聞こえてくるBGMも異なるという細かな作り込みも光ります。

「Deviate」コーナーは、POKOの自室をイメージしたものとなっています。仲間と撮った写真や、彼女が主催するものと思われるDJイベントのポスターも見られており、彼女がなにを夢見ているかが伺えそうです。

また、このワールドには、MV撮影のために制作されたワールドのポータル(入口)も設置されています。楽曲の世界観をより深く追体験できるため、あわせて訪れていただきたいところです。

最奥には、動画プレイヤーが設置されたミニシアターが設置されています。ここでならさらにリッチなMV鑑賞もできるはずです!

ワールドのリンクはこちら(Meta Quest 2、またはPC接続型VRヘッドセット、高スペックPCが必要です)。
https://vrchat.com/home/world/wrld_cfe615c9-2c21-4a62-aa90-f1f14f34d962

「様々な人と出会いenhanceしていく」――境界を超えて生み出される「VRChat」発の音楽

「VisitoR」を立ち上げた一人であるtai_taiさんによれば、「VisitoR」の活動には「VR空間の中で曲を作っていくことで、様々な人と出会い、enhanceしていく」というコンセプトがあるとのことです。

楽曲制作にとどまらず、MV撮影や、MVに必要なワールド・小道具制作など、「VisitoR」のクリエイティブは多岐に渡りますが、いずれも活動する中で「必要だ!」となったときに、参加メンバーの誰かが着手し、生み出されていったのだそうです。楽曲の収録も遠隔で実施するなど、「VRChat」を通じて現実の距離を大きく乗り越えて活動が展開されていると話してくれました。

様々な境界を超えて集まった人々で、大きな熱量をもってひとつのものを作り上げていく。その喜びや素晴らしさは、彼らが作り出す音楽と映像からも伝わってきます。いまや、メタバースの代表格となりつつある「VRChat」から生まれた音楽とメッセージ。メタバースの住民はもちろん、メタバースに降り立ったばかりの「Visitor」な人も、ぜひ触れてみてください。

(参考)VisitoR YouTubeチャンネル


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