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VRChat 2023.04.20

MV全編をVRChatで収録! クリエイターチーム「VisitoR」×音楽ユニット「ハジマルイオン」が目指す“新しい表現”に迫る

ボカロPと歌い手による新進気鋭の音楽ユニット「ハジマルイオン」の新曲「遊覧空間」が、4月28日(金)に配信がスタートします。本楽曲のMVは、ソーシャルVR「VRChat」にて全編収録されているのが大きな特徴です。

ティザー動画でも、短いカットに「VRChat」の光景がいくつも詰め込まれています。MV制作に携わったのは、「VRChat」を舞台に活躍するクリエイターチーム「VisitoR」。4月19日(水)には、「遊覧空間」リリースを記念するワールドが「VRChat」にて公開されています。

ボカロP&歌い手ユニットと、VRChatクリエイターチーム


(ハジマルイオンの公式キャラクター「イオ」と「クーロ」。デザインは漫画『日常』で知られるあらゐけいいち氏)

ハジマルイオンは2022年11月デビュー。ボカロPの鶴三さんと、歌い手のムイカさんによる音楽ユニット。「エレクトロ,フュージョン,ジャズ,クラブミュージック,ロックを新たな感覚で融合させた“キメ”まくりで刺激的なJ-POP」の提唱をコンセプトに掲げ活動を展開しています。

そして、MV制作に携わったのはVisitoR。出自も国籍も異なる様々なVRChatユーザーによるクリエイターチームで、これまで数多くの楽曲を、ハイクオリティなMVとともに送り出してきました。MVは全編「VRChat」で収録されており、収録ワールドやアバターなどの制作、アクターやパフォーマーのアサインなども手掛けています。

そんな異色の組み合わせによるMVが制作された「遊覧空間」は、「ハジマルイオン」の3rdシングルとなります。楽曲そのものは4月28日(金)AM0:00に配信予定ですが、配信までに「VRChat」を軸に様々な展開が実施されます。

楽曲記念ワールドが公開! MV試写会が開催へ

4月19日(水)に「VRChat」に「+⁄- Theater」というワールドが公開されました。「ハジマルイオン」の公開を記念したオリジナルワールドです。

ワールドは一見すると、電光掲示板が輝くおしゃれな街並み。しかし、光があふれる場所へ足を踏み入れると……

「ハジマルイオン」をイメージしたかのようなポップな空間へ移動します!

このエリアには、漫画家のあらゐけいいち氏がキャラクターデザインした「ハジマルイオン」の公式キャラクター「イオ」と「クーロ」のアバターが設置されています。触れれば、その場で自分のアバターとして着替えることができます。

人間のほうが「イオ」、その頭に乗った犬のようなものが「クーロ」です。アバターは期間限定公開なので、ぜひ一度着てみてください!

公式ワールド「+⁄- Theater」では、4月27日(木)22時に「ハジマルイオン」MVのプレミアム試写会の開催が予定されています。全編「VRChat」で撮影されたMVを一足早く見るチャンスです。ワールドそのものも試写会のタイミングでアップデートされるとのことなので、ぜひチェックしてみてください。

ワールドへのアクセスはこちら(Meta Quest 2、またはPC接続型VRヘッドセット、高スペックPCが必要です)。
https://vrchat.com/home/launch?worldId=wrld_c7ee2985-c8a8-4848-9448-c8e2dec36d34

フォトコンテストも開催。「イオ」と「クーロ」にVRChatの世界を見せよう

そして、「+⁄- Theater」で手に入る「イオ」と「クーロ」のアバターを用いたフォトコンテストも開催されます。

フォトコンテストの内容は、「『イオ』と『クーロ』になって、その姿をVRChatの様々な世界で撮影する」というもの。MVの中で表現されているように、ユーザー自らが彼らの旅を新たに作り出してほしい……という想いが込められています。

まだ生まれたばかりのキャラクターに、様々な”世界”を見せてあげる、ワクワクするコンセプトのフォトコンテストです。応募期間は4月19日(水)から4月25日(火)。ハッシュタグ「#遊覧空間フォト」をつけて写真をTwitterに投稿することで応募できます。応募作品は審査を経た後、「+⁄- Theater」内に掲載されるとのことです。

ボカロ文化とVRChatはどう交差したのか? 制作チームに聞く

この挑戦的な展開の数々はどのようにして生まれたのか。MV制作を担当した「VisitoR」の代表メンバーと、「ハジマルイオン」の制作チームメンバーに話をうかがいました。

まず、「現実とはちがう場所で誰かと出会い、活躍する」という「遊覧空間」の楽曲のコンセプトから、MV撮影の場として「VRChat」は早い段階で候補に上がったとのことです。

その上で「VisitoR」に白羽の矢が立ったのは、制作数の多さとクオリティの高さはもちろん、制作した楽曲がメタバースに関わるものながら「壮大さ」ではなく「人」にフィーチャーしている点が「遊覧空間」にマッチしていたのが決め手だったそうです。

そして「VisitoR」の方も、「遊覧空間」という楽曲に対して「様々なものが入り混じったごった煮感・新しさ」を感じ取り、そこが「VRChat」に通ずると捉えたそうです。こうして両チームは意気投合し、MV制作に取り掛かりました。

1月に打診を受けてから、MV制作がスタートしたのは2月ごろになり、早めに試し撮りを進めながら2ヶ月ほどの急ピッチで制作。「+⁄- Theater」もおよそ半月で制作されています。その速度感は、これまでチームでハイクオリティな作品を手掛けてきた「VisitoR」の強みが活きていそうです。

なお、MVへの出演人数は90人以上という大規模なものだったらしく、使用許可をもらったアセットも170超、収録ワールドも90を超えており、とても多くの人が「遊覧空間」のMV制作に携わったとのことです。そして、関係者は全てMVのエンドクレジットに記載されているのだそう。「VisitoR」の手腕に感服すると同時に、「ハジマルイオン」チームの「VRChat」に関わるクリエイターへのリスペクトも感じられます。

「ボカロPと歌い手のユニット」と「VRChat」という組み合わせに対し、筆者は最初話を聞いたとき、いまいちピンときていませんでした。しかし、経緯を詳しく聞いてみると、お互いが「新しいところを目指す」という方向性で、これ以上とないほどマッチしていると納得できました。

「遊覧空間」MVティザー映像の説明文には、「現実では出来ないこと、やってみたいことが何でもできる夢のような『リアル』」という一文が添えられています。ボカロと歌い手、そしてVRChat。三者三様のカルチャーを担うクリエイターたちが作り出した曲と映像が、どのような世界を織り成すか、筆者も心待ちにしています。

「ハジマルイオン」3rdシングル「遊覧空間」は、4月28日(金)AM0:00にリリース予定です。

(参考)ハジマルイオン公式サイト


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