4月8日(木)観光やショッピングを通して交流できるプラットフォーム「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」が発表され、ネットで注目の的となりました。コロナ収束後の観光産業の回復と地域活性化を目的に、バーチャル空間を構築するということで計画された事業ですが、YouTubeでのPR動画に対して、そのクオリティを問題視する声が寄せられています。
一方、このプロジェクトが発表される以前より、日本各地を再現したコンテンツは数多く公開されてきました。スマートフォンやPCの画面でアバターを動かして動き回る今回のプロジェクトに近いものもあれば、VRヘッドセットを使ってその空間にどっぷりと浸かれるものも。この記事では、そんな、本格的な“バーチャルジャパン”コンテンツを紹介します。
「VR JAPAN」
Steamで公開されたVRコンテンツ「VR JAPAN」では、VRヘッドセットを使うことでどこか見覚えのある日本の空間を体験できます。ノスタルジックな路地裏の店先に並ぶ提灯や東京の地下鉄通路でよく見る看板など、細部へのこだわりが徹底しており、思わず「日本じゃん…!」と言いたくなる出来栄え。作成したのは環境アート制作者のKraft Maru氏。公式HPでは過去の制作物もチェックできます。
PROJECT JAPANELAND
2万分の1スケールの日本列島をバーチャル空間(VRChat)に再現。日本全土の立体地形の上を他のユーザーと一緒に巡れます。このワールドを起点にして、「銭洗弁天」や「友ヶ島」などさまざまなクリエイターが制作した観光スポットにも移動できます。VRChatでの体験が可能なため、PCの画面でもVRヘッドセットでも体験できます。
製作者は、VRクリエイターのVoxelKei氏で、過去に制作した「日本列島VR」が元になっています。派生ワールドとして、飛行しながら巡れる「JAPANELAND SKY」「JAPANELAND NIGHTSKY」というワールドもあります。詳細はこちらを確認ください。
バーチャル渋谷
「バーチャル渋谷」はclusterで展開中の渋谷区公認配信プラットフォームです。渋谷駅周辺の景色が再現されただけでなく、バーチャルならではの演出も数多く盛り込まれています。これまで「攻殻機動隊」とのコラボやクリスマスイベント、音楽ライブなど、さまざまなイベント企画が行われ、“渋谷らしい”コンテンツを発信・体験する場所として活用されています。スマートフォンにも対応していますが、PCでアクセスするとVRヘッドセットで体験することも出来ます。
バーチャル東大
東京大学の学生有志が、clusterで公開したバーチャル空間です。高校生のためのオープンキャンパス2020でお披露目され、令和2年度の「東京大学総長賞」の「東京大学総長大賞」を受賞しています。東大の名所として有名な「赤門」や「安田講堂」を再現。東大生の通学気分をバーチャルで体験できます。スマートフォンにも対応していますが、PCでアクセスするとVRヘッドセットで体験することも出来ます。
ポピー横丁
「ポピー横丁」はVRChatで公開されているワールドです。特定の地域を再現したものではありませんが、新宿ゴールデン街のような懐かしい飲み屋街が見られます。飲食店にも入店可能で、多くのユーザーたちのたまり場として利用されています。こちらもPCの画面でもVRヘッドセットでも体験できます。
バーチャルな日本を巡ってみよう
他にもVRChatやclusterには多数の日本の名所を再現したバーチャル空間が公開されているので、自宅にいながらでも気軽に観光を堪能できます。4月中には、沖縄の国際通りを再現したバーチャル空間も公開予定となっており、どのようなワールドとなるのか期待したいところ。
また2020年10月にグッドデザイン賞を受賞した「バーチャル静岡」や、国土交通省主導の3D都市モデル整備プロジェクト「Project PLATEAU(プロジェクト・プラトー)」など、最近ではより本格的な国土3D化プロジェクトも進行しており、それらを活用すると今後ますます面白い“バーチャルジャパン”を体感できるコンテンツが増えそうです。ゆくゆくはバーチャルでの日本観光が自然なものとなる未来も訪れるかもしれません。
(参考)VRChat、cluster