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イベント情報 2019.03.16

参加サークル400以上に急拡大 VR即売会「バーチャルマーケット2」現地レポ

VR法人HIKKYは、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」において2019年3月8日から10日にかけての3日間、3Dアバター・3Dモデル展示即売会「バーチャルマーケット2」(以下Vケット2)を開催しました。

Vケット2には企業・個人を含めた429サークルが参加しており、テーマごとに分けられた専用のワールドで展示を行っています。企業ブースでは「upd8」や「にじさんじ」といったVTuberに関連したブースから「セブン&アイ・ホールディングス」まで幅広い出展が行われ、大規模なイベントとなりました。

本記事ではこの「Vケット2」の会場の様子と、注目ブースのピックアップレポートをお届けします。

バーチャルマーケットとは

「バーチャルマーケット」とは、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」で開催されるVR空間上での3Dモデルの展示・即売会です。参加者は展示されたアバターをその場で試着でき、展示物は外部の販売サイト「BOOTH」にてすぐに購入することができます。2018年8月に行われた第1回では、約80サークルが参加して賑わい、当日のTwitterでは日本のトレンドで1位になりました。

テーマごとに分けられたワールド

Vケット2の展示会場は、テーマごとに入場ゲートを含む6つのワールドに分けられています。出展者は自分の出展モデルに合わせて会場を選ぶことができ、来場者は見た目も世界観も全く違う会場の数々を楽しめます。

VMエントランス(入場ゲート)

Vケット2にログインすると、まず最初に訪れるのはどこかの一室。部屋を突き破って現れた幻想的なゲートをくぐると、空を泳ぐ巨大なクジラ型の会場へとワープします。他の5会場へ移動するポータルのほか、企業ブースが出展されています。

今回展示されていたのは8ブース。VTuberの支援サービスを行う「upd8」やVTuberグループ「にじさんじ」、また「セブン&アイ・ホールディングス」といった幅広い企業が参加をしていました。前回のVケットから協賛が増えたことからも、VR関連の企業だけでなくより大きな範囲にVケット2が注目されていることが伺えます。

エントランスを抜けると、今度はテーマごとに分かれた5つのワールドにテレポートすることができます。前回のVケットでは展示ワールドがひとつしかなく、データ容量が多かったために読み込みの遅さや負荷によって快適とは言えない状態でした。Vケット2では軽量化に力を入れてワールドを分けることで最適化に成功していました。

バーチャルミュージアム

幾何学図形が床や空中に浮くオブジェを形作るワールド。白を基調とした空間に、ノンジャンルの様々な個性を放つ出展がなされています。特定のテーマに属さなかった作品が集合しており、他のワールドよりも賑やかな印象がありました。

Future Terminal

青系統の光が張り巡らされたサイバーチックなワールド。ロボットや銃器の出展が多く見られました。他のワールドと違い印象に残ったのは大型ロボットの展示の仕方です。ポージングを決めた姿が展示されているさまは、まるでフィギュアが本物になったよう印象を与えてくれました。

異世界マルシェ

浮遊する島がある異世界の城下町を再現したワールド。中世ヨーロッパの雰囲気を出した落ち着いたワールドで、ファンタジックな作品が多く見られました。町並みに沿って展示されていたブースはまるでフリーマーケットのようで、世界観とマッチしていました。


モクリバザール

バーチャルワールドでの体験型コンテンツ「モクリプロジェクト」とのコラボワールド。モクリが見る夢の世界をイメージしており、自然が溢れるケモノの村となっています。人間ではなく獣人などのアバターが多く出展されており、独特な印象がありました。


絢爛博覧会

和風とスチームパンクを融合させたワールド。絢爛豪華な雰囲気が溢れるワールドではメタリックに輝く歯車と鮮やかな朱色を基調とした出展が多く見られました。SNSなどでも非常に注目度が高く、今回の出展ワールドで1、2を争う人気でした。


注目ブースピックアップ!

VMエントランス

にじさんじ

バーチャルライバーグループ「にじさんじ」の企業ブース。にじさんじの「JK組」(月ノ美兎さん、樋口楓さん、静凛さん)の3Dモデルが展示されています。ブースでは様々なにじさんじメンバーのこれまでの配信が観られるようになっており、にじさんじの賑やかさを感じられました。

バーチャルミュージアム

・UDONYA(Gazi(フィレオ)さん、うつつさん、銀狗さん、おぎーノさん、長兎路こよりさん、つーがさん、Elimi_85さん、むたさん、あおいげるさん)

モデラー集団「UDONYA」の合同ブース。VRChat内でも有名なモデラーさんたちの個性あふれるモデルがずらりと並ぶさまは壮観です。新作のモデルも販売されており、やはり今回のVケット2でも話題となっていました。

Future Terminal

・YORIMIYA PARTICLE LIVE(YORIMIYAさん)

光や文字の演出が乱舞する「パーティクルライブ」が楽しめるブース。PVの中に飛び込んだかのようなライブ体験は圧巻の一言。個人による出展という点にも驚嘆しました。VRChat内でこのような「パーティクルライブ」は人気が上がってきており、注目を集めています。

異世界マルシェ

・藍夜野雑貨 booth支店(藍夜野レイラさん)

ブースの中に入ると360°のパノラマ空間に入れたブース。販売しているアバターと景色が非常にマッチしており、世界観に飲み込まれる作りが印象的でした。出店されているアバターはレースなどを使った細かい細工が目立ちます。

・イワシと愉快な仲間達(ヨツミフレームさん、ナルさん、ちうさん、ikukoさん)

愉快な外見が目立つブース。外見とは逆に出展者はUnity技術の高いメンバーの集まりで、VRChat内で扱える便利な道具などがありました。

モクリバザール

・udon-cat-works(うどん猫さん)

全てのブースの中でも特に「動き」があるのが特徴的。全てのアバターにアニメーションが仕込まれてキャラクターが動いており、イメージが掴みやすくなっていました。

・えるふ造園(ぐねしさん)

ワールドに設置できる素材の樹木を販売していたブース。最近のVRChatではワールド制作の需要が非常に高く、自由に使うことのできる素材は重宝されています。

絢爛博覧会

・第六製鉄部(ケト中佐さん)

Vケット2での限定販売アバターが話題となっていたブース。現在普及している販売アバターの価格を大幅に上回る価格での販売でしたが、相当数の購入者もいたようで新しい需要を見せてくれました。

・「Dのアトリエ、R.E.G.Shop、100円外務省、ST-12ay 1am B」合同ブース(唐沢銀さん、れじさん、みりの/millinoさん、火村ユウヤさん)

4名の出展者さんが合同で3Dモデルを出展するブース。次第に増えつつある合同ブースは大きめの展示スペースで世界観を作ることができ、単独ブースよりも強いインパクトを与えられるため非常に効果的です。

2回目にして規模が大きく拡大、今後の動向にも注目

今回のVケット2は前回よりも大規模な開催となりました。一般クリエイターの参加だけでなくスポンサー企業の参加も多く、まさにVRのコミケといった展示会になっていました。

前回の展示会では3Dアバターの出展が一番多く、その次に武器モデルが多いという傾向でしたが、今回もその比率自体は変わらない模様でした。そんな中、今回から出展数が増えてきているアバター用のアクセサリーやワールド制作用の素材などは非常に売れ行きもよく、注目を浴びた新しい分野となっていました。

イベントの運営については複数のワールドを用意するなど軽量化について工夫していたようですが、それでもまだ全てのVRChatプレイヤーが参加できるほどに軽量化はできていないようで、前回に引き続きVケット運営の課題となっているそうです。

参加者からの声としては、400以上というブース数も相まって3日間では回りきれないという声が多く、Vケット2のワールドのパブリック(いつでも自由に入れる状態)化が待ち望まれています。

次回の開催についてはまだ時期は未定となっていますが、SNSなどを見ると次回のVケットに参加希望するクリエイターも多く、今回のVケットでは行われなかったブースの抽選も行われる可能性があるかもしれません。

クリエイターのほか企業も注目を集める「バーチャルマーケット」の動向は、今後も目が離せないでしょう。

(参考)バーチャルマーケット2 公式Webサイト


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