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【レビュー】アメリカの夢、すでにカルト思想 VRゲーム「アメリカン・ドリーム」

※本記事はOculus Rift/HTC Vive/PlayStation VR(プレイステーションVR・PSVR)用ゲーム「The American Dream」のレビューであり、内容にはフィクションが含まれます。


「The American Dream」はVRで楽しむレールシューターです。ステージをクリアしていくと最後にボスが待ち受けているオーソドックスなスタイルです。しかし、このゲームのオリジナリティは単にVRで様々な銃器を使って撃ち合いをすることではありません。

では、いったいどんな形で世界最先端の思想を学べるのでしょうか? 上の写真は筆者がこのゲームをプレイしている最中の写真です。この作品は基本的には2丁拳銃でプレイします。さて、銃を持って闘っているのはゾンビでしょうか? それともギャングでしょうか? いいえ、実は算数を解いているんですね。

2+2の答え、本当に難しいですよね。VRでシューターを遊ぶと、マウスとキーボードで遊ぶFPSのようにはなかなかプレイできません。答えは間違いなく4だとわかっているのに、弾がなかなか当たりません。まるで生まれたての赤ん坊のようです……というより、このステージでのプレイヤーの立場は本当に生まれたての赤ん坊で、母親から勉強を教わっているシーンなんです。

このステージはチュートリアルも兼ねており、ゲームの遊び方のみならず、あなたが人生でまずなにを覚えるべきかを伝えてくれます。人生ではまず何が必要ですか? そう、コミュニケーションですよね。言葉を話す、身振り手振り、コミュニケーションの形は様々です。そこで「The American Dream」は言葉を超えたコミュニケーションを提案します。そう、全てのコミュニケーションで二丁拳銃を撃ちまくることです。


(初めての父とのキャッチボール。向かってくるボールを打ち落とし、もちろん最後は父の手のひらを銃撃してハイタッチする)

両親の期待に応えるためには二丁拳銃を撃つしかありませんよね。両親も自分が生まれたことを祝福するように、拳銃で食事を食べさせてくれましたし、これから輝かしい未来を生きていくため、銃弾を発射することからすべてのコミュニケーションが始まることを教えてくれます。

人生とは一発の銃弾である


(ゲームの始まりは銃弾の形のコースターに乗りこみ、人生の様々なステージを体験していきます)

アメリカの思想はシンプルで力強いです。人生を一発の銃弾に例えます。かの国で誕生するということはすなわち生命の弾丸が発射されたということであり、着弾して死ぬまでが人生だと教えてくれるのです。プレイヤーは銃弾の形のコースターに乗りこみ、文字通り人生の各ステージを二丁拳銃を乱射することで進めていきます。


(初めての遊園地でのデート。マルクス風の共産主義者を酸の海に沈める射的場でかっこいいところを見せ、猟銃でわたあめを彼女に作って食べさせてあげます)

銃弾はやがて青春期に入ることでその速度を伸ばします。初めての恋……デート……結婚……仕事……そのすべてを銃弾を発射することで実現していきます。銃弾をばらまき火薬の匂いを残すこととは、人生で自由と強さを証明するということです。


(恋人同士がお互いに2丁拳銃を持ち、ダンスする。決闘ではありません。愛の表現です)

極めつけは高校の卒業前に、相手を誘ってパーティーに行くプロムです。ここで彼女とダンスをするのですが、このシーンには驚かされました。映画監督ジョン・ウーの「男たちの挽歌」などで有名な、スローモーションで銃弾をばらまく演出を銃撃のバレエダンスだと評されるのですが、ここでは恋人とのダンスが本当に銃撃のダンスになります。

アメリカ思想と隣り合うライフル協会

銃弾を最適な目標に向かって発射するためには、狙いをつけなければなりません。そこで照準器が狙いをつけるのに役立ちます。私たちの人生の照準を合わせてくれるのがBuddy Washingtonです。彼はゲームプレイはもちろん、スピーカー付きのゴールデンレトリバーの置物を通じてアメリカ文化や思想を親切丁寧に教えてくれます。

ユーモアもたっぷりなんです。ある時は赤ちゃん、ある時はお医者さんになって緊張感を和らげてくれます。人生はすべて堅苦しいことはない。ユーモアやブラックジョークが必要ですよね。ゴールデンレトリバーはアメリカライフル協会(American Rifle Association,以下ARA) の象徴でもあります。


(赤ちゃんが生まれたら、 早速第一子をARAのメンバーにしてお金を支払おう)

ARAはアメリカの思想である、独立と自衛を象徴する銃を使うことを私たちに啓蒙し、銃弾を使ったコミュニケーションや人生設計のやりかたを導いてくれます。本作ではステージクリア時のスコアは金銭という形で表示されます。

ふつうのレールシューターならば徹底してゲームプレイの上手さから高いスコアが加算されていくのですが、こちらは人生の大事な段階にあわせてARAに会費を支払います。頑張ってテクニックを生かして獲得したお金を協会に支払うのは心苦しいですが、人生とは照準器がなければエイムしにくいもの。ありがたく支払いましょう。

50年代のアメリカ的思想が典型的でグロテスクな悪になる時代

それにしても、「The American Dream」というゲームは50年代のアメリカの思想をここまで美しく教えてくれるというのに、まったく最近のエンターテインメントはどうなっているのでしょうか?「FALLOUT3」や「BIOSHOCK」シリーズなど、50年代のアメリカを題材にすることは多いのですが、まるでグロテスクな思想としてアメリカン・ドリームを取り扱っているではありませんか。

(映画「シェイプ・オブ・ウォーター」では50年代を舞台に、怪物だけではなく女性や同性愛者、外国人を追い詰める典型的な悪として当時の理想的なアメリカ社会を体現する白人男性が登場する。画像は日本版公式サイトのトレーラーより)

挙句の果てには先日のアカデミー賞です。少々映画の話題に脱線しますが、ギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」ではマイノリティの主人公たちを追い詰める巨悪として、50年代の美しい思想そのものを体現したアメリカ白人男性が選ばれているのです。まさか最近のエンターテインメントではアメリカン・ドリームをまるでカルト的な思想だとでも言うのでしょうか?

いや、そんなものは信じません。みんな「The American Dream」が教えてくれたアメリカの思想を信じているはずだ。すこしインターネットを見て確認しましょう。……ちょっと待ってください。どういうことでしょう。今年3月、全米でMarch For Our Lives(命のための行進)というデモが発生。これは2月14日、まさかのバレンタインデーに発生したフロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の銃乱射事件を受け、全米の高校生たちが銃規制を求める活動を始めているではありませんか。活動の支援者には著名人も含まれており、なんとあのスティーブン・スピルバーグまでも支援しています。

嘘です、自分が信じているのがカルト思想なわけがない。「The American Dream」が教えてくれた、世界をリードする思想のはずです。銃撃というコミュニケーションから結婚を誓った彼女とのディナー、食後のデザートでロシアンルーレットで発射された銃弾をおいしく食べたほうがラッキーだという思い出深いデートも記憶に残っています。

そもそもカルト思想だというならば、現実を超越した作り物の神を信じさせるようなあちら側の世界を見せるようなことまではしないはずです。筆者はBuddy Washingtonを信じます。人生という銃弾が着弾するとき、そこには栄光があるようにこのレールシューターの最後には望ましい人生が待っているはずですから。


(人生の銃弾が着弾する寸前の終盤のステージ)

……待ってください、これはどういうことなのでしょう。「The American Dream」のレールの最後までたどり着いた先、現実ではないここはどこなんでしょう。まさか、筆者が信じ込んでいたのは本当にカルトだったのでしょうか? 自分は、自らの意志で銃撃を選び、銃撃こそがコミュニケーションであり強さだと認めています。一本のレールを進んできたわけがありません。すべて自分の意志で選択したことのはずです。

筆者の自我は崩壊を始め、何が本当のことなのかを自らに問いかけました。拳銃を使った自らとのコミュニケーションとはたったひとつですよね。こめかみに銃口を当てて撃鉄を落とすことです。せめて人生でとても美しかった記憶、高校卒業を前に彼女とのプロムのステージを思い出しながら自らと拳銃でコミュニケーションをとることにします。

あのパーティでは最後にふたりで写真を撮ります。そこで拳銃を使い、自らとコミュニケーションを取ろうと思います。この自問自答を選んだ果てに自分自身がそこに映っているのだと信じます。写真が撮影されました。

でもそこには二丁拳銃以外には誰も映ってはいませんでした。自分は「The American Dream」のどこにもいなかったのです。自分自身の意思でアメリカの思想や強さを選択しているのだと思い込んでいましたが、実際は生まれた環境や歴史のなか漠然と培われた価値観のレールに乗ったのに過ぎなかったのです。

かつてのアメリカの夢は、もはや自我の消えたカルト的な思想に近いのかもしれません。現在の価値観ではもう銃は強さを証明するものでもコミュニケーションの道具でもなんでもない。銃を中心とした“アメリカンドリーム”は、典型的な悪としてグロテスクな意味合いを強めています。筆者は二丁拳銃を置きました。

ゲーム詳細

タイトル

The American Dream

価格

2,050円

開発

Samurai Punk

対応デバイス

Oculus Rift、HTC Vive、PlayStation VR
※PSVRは北米ストアでのみ販売

対応OS

Windows

クリア時間

約3時間

ストア

Steam
PS Store(北米/リンク先英語)

この記事を書いた人

葛西 祝(かさい はじめ)

葛西 祝(かさい はじめ)(@EAbase887
blog「game scope size」を中心に格闘技・アニメーションと3つのブログを運営。現在、各種ゲームメディアでライターとしても活動。

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