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イベント情報 2019.08.03

香りだけで味が変わる!? 食べるVRこと「Tasted VR」レポ

7月30日、食事と連動した“食べるVR”コンテンツ「Tasted VR」が発表されました。これは口に含んだフローズンの味が、VR映像に合わせて4種類に変化するというもの。
今回、MoguLiveでは「Tasted VR」の事前体験会に参加。8月3日の一般公開よりもひと足先に“変化”を体験、その様子ををレポートします。


(「Tasted VR」は8月3日~4日の期間限定。東京・新宿のカラオケファンタジー新宿東口店の店頭で一般公開、税込380円で体験可能だ)

変化するのは味ではなく「香り」

「Tasted VR」は、色のほぼついていないフローズンを食べながら楽しむVRコンテンツ。コントローラのトリガーを引くたびにVR内のフローズンが4種類の見た目(イチゴ・レモン・メロン・ブルーハワイ)に切り替わり、同時に味までもが変化します。


(見た目はやや白っぽい。はじめ、VR内では無色透明だが……)


(コントローラーを操作するとイチゴ味に)


(ブルーハワイ味にも)

現実の食べ物が一瞬で味を変える不思議な体験。そのトリックは味覚ではなく「嗅覚」にあります。「かき氷のシロップはどれも同じ味」という話をご存知の方も多いのではないでしょうか。人間は「色」と「香り」を味に結びつけることで、「イチゴ味」や「メロン味」といったフレーバーを認知しているのです。

「Tasted VR」で変化するのも味ではなく「香り」。「Tasted VR」には、VR体験に匂いを加えるデバイス「VAQSO VR」が使われています。


ヘッドマウントディスプレイに装着された「VAQSO VR」は、事前にセットした最大5種類の香りをコンテンツと連動して放出できます。フローズンの見た目が切り替わると同時に香りが発生し、脳が舌の上のそれを「イチゴ味」「メロン味」と錯覚する仕組みです。

発表会場では実際に「Tasted VR」を体験できました。舌の上で変化する味は、たしかに普段食べているかき氷そのもの。ただ甘いだけの氷が色味を持つ魔法のような体験に、心から驚かざるを得ませんでした。

「Tasted VR」が示した可能性

2017年の発表以来、「VAQSO VR」は東京ゲームショウや海外アートフェスに出展し、「VRの新たな可能性」として国内外の注目を集めてきました。弊紙も体験デモの感想を取り上げています。当時のデモの内容は「VR空間のアイテムや人に顔を近づけると匂いが感じられる」というシンプルなものでした。

今回お披露目された「Tasted VR」は、VRに香りがもたらす更なる可能性を示唆しています。人間にとって現実とは、脳が認知した事物を指します。認知の仕組みを理解し、コンテンツに応用することで、バーチャル(仮想)の域を超えた体験を生み出せるかもしれません。

「色」と「香り」を付加した甘い汁をイチゴシロップと呼べるのなら、その手段が「着色料」だろうと「VR」だろうと、あるいは「香料」だろうと「カートリッジ」だろうと、本質的には何も変わらないのではないでしょうか。

VAQSO Inc.のCEOである川口健太郎氏は今後の展望として、容量削減が求められる宇宙食への利用や、飲食・食料品業界におけるプロモーションでの利用を挙げています。

「VAQSO VR」はコンテンツ開発者向けのデベロッパーキット(999$)を販売中。一般販売は2019年内を予定しています。


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